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G20で採択された仮想通貨に対する共同声明とは

  • 仮想通貨関連
  • 2019.06.13.

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2019年6月8日から9日にかけて、福岡県で開催されていたG20財務大臣・中央銀行総裁会議が終了しました。

この会議では、仮想通貨関連議題に対して各国から積極的な意見がでて、今後の方針として一致を見たとのことです。

いったいどのような方針が立てられたのでしょうか。

 

G20での仮想通貨規制に対する決議は、今後の仮想通貨の在り方を大きく左右するとともに、値動きにも影響するといわれています。

仮想通貨取引に関心がある方なら、どなたも興味ある内容ではないでしょうか。

詳しくご説明しましょう。

 

IMFの仮想通貨に対する考え方

IMF クリスティーヌ・ラガルド氏

画像引用:国際通貨基金

G20には国際通貨基金(IMF)の専務理事であるクリスティーヌ・ラガルド氏が出席していました。

クリスティーヌ・ラガルド氏はG20の中で、ファイナンステクノロジー(フィンテック)が加速度的に進歩することによる様々な危険要素に対して留意する必要性を訴え、仮想通貨に対しても当会議に出席している国家間でも規制や考え方が異なる点を挙げ、国際規制を設けることに取り組んでいくことを明らかにしています。

 

仮想通貨に対する規制は、国家間でかなりの隔たりがあります。

仮想通貨は国の通貨と違い、取引に国境はありません。

それにもかかわらず国によって規制が異なるのでは、規制の意味がなくなってしまいます。

 

また規制がバラバラなままでは、フィンテックのさらなる発展を阻害しかねません。

これらのことを踏まえた国際規制の重要性を訴えたわけです。

 

G20での声明文について

G20で採択された声明文は財務省のHPで見ることができます。

財務省G20声明文

画像引用:財務省

声明文は1から14までの項に分かれています。

この中で、仮想通貨に関係する内容は大きく以下のようにまとめることができます。

  1. 金融システムについて
  2. マネーロンダリングについて
  3. 暗号資産の利用者保護について
  4. 分散型金融技術について
  5. デジタル課税について

この1から5までの内容について、声明文と照らし合わせしながらご説明しましょう。

 

1.金融システムについて

声明文の13の項に以下の内容が記載されています。

暗号資産の基礎となるものを含む技術革新は、金融システム及びより広く経済に重要な便益をもたらし得る。

引用:財務省「20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)」

これはブロックチェーン技術を応用することで、送金時の利便性が向上するだけでなく、金融システムに参加しづらい新興国や極貧国などの問題も解決することもできると位置づけています。

すなわち、仮想通貨関連技術はそれだけの価値があるものだと認めているわけです。

 

2.マネーロンダリングについて

声明文の13の項には以下の記述があり、

我々は、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策のため、最近改訂された、仮想資産や関連業者に対する金融活動作業部会(FATF)基準を適用するというコミットメントを再確認する。我々は、FATFが今月の会合にて、解釈ノート及びガイダンスを採択することを期待する。

14の項には以下の記述があります。

我々は、マネーロンダリング、テロ資金供与及び拡散金融と闘い、これを防止するための国際基準の設定主体としてのFATFの不可欠な役割を強調する国連安保理決議2462号を歓迎する。これらの脅威と闘う努力を強化することについての我々の強いコミットメントを再確認する。

引用:財務省「20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)」

 

今回のG20では新たなマネーロンダリングへの対策についての発表はありませんでした。

しかしFATFの基準を適用する考えや、迅速な履行について、参加国からの賛同を得ています。

 

FATFはG7(米・英・独・仏・伊・日・加の先進7か国蔵相、中央銀行総裁会議)を含めた36国と2つの地域組織で作られており、その目的はマネーロンダリング撲滅、テロリストに対する資金援助撲滅を目指して設立された組織です。

 

G20では新たな方針は打ち出していないものの、既に組織化され、稼働しているFATFの施策を支持し、マネーロンダリングやテロリストに対する資金援助とは断固として戦うことを明確にしています。

 

これはつまり仮想通貨がマネーロンダリングに利用されることは、世界的にしづらくなっていくことを示しており、仮想通貨に対する不信感の払拭につながっていくものだといえます。

 

3.暗号資産の利用者保護について

声明文の13の項に、以下の内容が記述されています。

我々は、消費者及び投資家保護や市場の健全性に関し、暗号資産取引プラットフォームについてのIOSCOの報告書を歓迎する。我々は、FSBの暗号資産当局者台帳や、暗号資産における現在の取組、規制アプローチ、及び潜在的なギャップに関する報告書を歓迎する。我々は、FSBと基準設定主体に対して、リスクを監視し、必要に応じ追加的な多国間での対応にかかる作業を検討することを要請する。

引用:財務省「20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)」

 

仮想通貨取引における消費者や投資家を保護し、市場の健全性を保つためにIOSCO(証券監督者国際機構)の方針を支持することを打ち出しています。

 

IOSCOは投資家を保護し、市場の健全性や透明性を高めるためのインフラなどを国同士で協調できるようにする証券監督者国際機構です。

金融庁IOSCO

画像引用:金融庁 国際関係情報

 

またFSB(金融安定理事会)の報告書にある暗号資産当局者台帳や取り組み方、規制のあり方だけでなく、国によってこれらにギャップがあることをG20として認め、必要であれば多国間で対応してほしい旨が書かれています。

 

FSBは国際金融の安定化のため、タックスヘイブンやオフショア、マネーロンダリングなどを重点的に規制や監督などをおこなう組織です。

金融庁FSB

画像引用:金融庁 国際関係情報

 

声明文の内容では、利用者保護や健全性は重要であるが、国によって仮想通貨に対する規制や取り組み方などに大きなギャップがあり、基準と呼べるものがないこと、そして多国間で取り組んでほしい旨が書かれています。

これはつまり、今は世界基準がないので、問題が起こった時には当事国同士で相談してほしいといっているだけのものであり、世界的基準作りを直接的に促す内容にはなっていません。

 

4.分散型金融技術について

声明文の13の項に、以下の内容が記述されています。

我々はまた、分散型金融技術、それが金融安定性や規制、ガバナンスにもたらす潜在的な影響、及び当局が広範なステークホルダーとの対話をどのように強化できるかについてのFSBの報告書を歓迎する。
我々は、サイバーの強靭性を高める努力を強化し続けるとともに、サイバー攻撃への対応や復旧のための効果的な取組を明らかにするFSBのイニシアティブの進捗を歓迎する。

引用:財務省「20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)」

分散型金融技術とはオープンソースでありながらも、相互の運用性があるプログラムによって構築された、透明性の高い金融システムを作り上げる技術のことです。

 

この技術はいまだ未完成ではあるものの、この技術を完成・提供しようとする組織などと対話していくことが重要であること。

そしてサイバー攻撃に対しては、取り組みを強化していく必要性を認識していることが書かれています。

 

つまりブロックチェーン技術は、今後の経済発展に寄与することが十分期待できるが、未知のサイバー攻撃などには十分な対応策が必要であるということです。

「3.暗号資産の利用者保護」の内容と同様、必要性は十分に認識しているものの、サイバー攻撃などに対する記述は、従来のものと変わらず、あまり踏み込んだ内容になっていません。

 

5.デジタル課税について

声明文の11の項に、以下の内容が記述されています。

我々は、世界規模で公正、持続可能かつ現代的な国際課税システムのための協力を継続するとともに、成長志向の租税政策を推進するための国際協力を歓迎する。我々は、G20/OECD「税源浸食と利益移転(BEPS)」パッケージの世界的な実施及び税の安定性向上の重要性を再確認する。

(中略)

我々はまた、国際的に合意された税の透明性基準を満足に実施していない法域の更新されたリストを歓迎する。我々は、強化されたすべての基準を考慮した、OECDによるリストの更なる更新を期待する。リストに載った法域に対しては、防御的措置が検討される。

引用:財務省「20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)」

デジタル課税については、世界規模で国際課税システムを構築できるよう、各国の協力を求めています。

また中略以降では、タックスヘイブンを実施している国や地域に対して国際課税システムの採用することを求めています。

 

これはつまり国境のない仮想通貨取引で利益を上げても、タックスヘイブン地域であれば課税できない不均衡を是正しようとする内容です。

 

G20の声明文に欠けているもの

G20の声明文にある、仮想通貨に関連する内容についてご紹介しました。

項目としては、どれも仮想通貨が抱えている課題の解決に必要なものばかりではありますが、これまでの内容を踏襲したものや具体性がなく、問題意識を共有するだけに終わっているものが目立つ内容になっています。

 

仮想通貨そのものがまだ新しい存在であり、各国の取り組みや規制が統一されていないことは事実ですが、今後に向けての具体的な方針が整っていないことが明確になってしまいました。

 

今月末にはG20サミットがおこなわれ、これらの内容についてさらなる議論が重ねられるはずです。

その内容を仮想通貨市場がどう判断するかによって、値動きも変わってくることが予想されます。

G20サミット関連のニュース報道に注目しておきましょう。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

リスク警告

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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