ビットコイン半減期がマイナーを余計に苦しめる?
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- 考察
- 2020.03.16.
- 仮想通貨FXブログ
- ビットコイン半減期がマイナーを余計に苦しめる?
新型コロナウイルスの感染拡大は世界中に広がっており、2020年3月16日現在では、感染の中心地は中国からヨーロッパに移ったといわれています。
感染が広がる国では人々の移動を禁止したり、生活必需品を取り扱う店舗以外を閉鎖するなど、生活に支障が出てきています。
また経済にも影響は及んでおり、金融資産は仮想通貨を含めてGOLDまでが値下がりしていました。
このような状況に危機感を持ったFRB(米連邦準備制度理事会)は政策金利を事実上の0%にまで引き下げましたが、ビットコイン価格を見る限りでは、その効果は限定的だったようです。
このような状況は、ビットコインのマイナーにとってどのような影響があるのでしょうか。
本来であれば5月の半減期を前にして、ビットコイン価格は値上がりし、マイナーもマイニングに精を出している時期だったはずです。
半減期を目前にして、新型コロナウイルスがビットコイン価格を下落させたことは、マイナーにとってどのような意味があるのかをご説明しましょう。
半減期前の価格上昇で利益が出るはずだった
ビットコインのマイナーは、マイニングに成功した際に得られる報酬であるビットコインを売ることによって収益を上げています。
もちろん、マイニングにはマイニングマシンの購入費用や電気代以外にも、人件費や地代家賃などの経費も必要になってきます。
しかもマイニングは他のマイナーとの競争に打ち勝っていかなければならないため、常に最新式のマイニングマシンを使っていなければマイニング競争に勝つことができません。
設備投資が頻繁に必要だということです。
このような環境で利益を出しているマイナーに取って、ビットコインの半減期は絶好の稼ぎ時だったはずです。
過去の半減期を見ると、半減期前には大きく価格が上昇していたからです。
つまり価格が高騰するタイミングでマイニング報酬であるビットコインを売却すれば、大きな利益を得ることができたはずだったわけです。
しかし価格が高騰すると考えられていたタイミングで、新型コロナウイルスの感染拡大が起こってしまったことになります。
3月16日のビットコイン価格推移
新型コロナウイルスによって金融市場はパニック状態になっています。
株価は下がり、有事の際の安全資産といわれていたGOLDも値下がりしていました。
この状況に対し、FRB(米連邦準備制度理事会)は2020年3月16日に臨時会合を開き、2020年3月3日に1.00~1.25%に引き下げたばかりであった政策金利を0~0.25%に引き下げました。
事実上のゼロ金利政策をとったということです。
FRBが事実上のゼロ金利政策を導入するのは4年3ケ月ぶりのこととなります。
以下のチャートは2020年3月16日14時過ぎのtradingviewBTCJPY 1日チャートです。
赤丸の部分が、ちょうどFRBがゼロ金利政策を発表したタイミングとなります。
このタイミングは週明けの金融市場が始まる前であり、FRBが素早く対応したことで投資家の心理を効果的に改善する狙いがあったとされているようです。
しかしFRBのサプライズ的なゼロ金利政策の効果も、ビットコインチャートをみる限りでは限定的だったようです。
一時的にビットコイン価格は8万円ほど上昇しましたが、すぐに元通りの価格帯であった56万円台にまで落ち込んでいます。
つまりFRBのゼロ金利政策は、ビットコイン価格に対しては無意味になっているといえます。
ただしNYダウやNASDAQなどの立会時間は、日本時間23:30から翌6:00、サマータイムでは22:30~翌5:00になっているため、FRBのゼロ金利政策のこれらに対する効果は判断できません。
もしNYダウやNASDAQなどがゼロ金利政策によって価格上昇すれば、それが刺激となってビットコイン価格の上昇につながる可能性も考えられますが、どうなるでしょう。
採算が取れないマイナーが出る可能性
現時点ではFRBのゼロ金利政策も不発に終わったようであり、ビットコイン価格は元通り低迷してしまっています。
では、ビットコイン価格の低迷状態が続くとどうなるのでしょうか。
まずビットコインを安価にマイニングできず、より高性能なマイニングマシンを購入することができないマイナーが、マイニングの原価割れに陥ってしまいます。
すなわちマイニングしても赤字になってしまうということです。
「半減期前の価格上昇で利益が出るはずだった」の項で説明したマイニングに必要なコストを、マイニング報酬であるビットコイン価格が下回ってしまうわけです。
このような状態に陥ったマイナーは、マイニングを停止するのが一般的であり、今回もマイニングを停止したマイナーが多く存在したようです。
それを示しているのが、以下のハッシュレートです。
このハッシュレートを見ると赤丸の部分(2020年3月13日)で大きく落ち込んでいることが分かります。
マイナーの利益に必要なビットコイン価格
ではマイニングに必要な原価、すなわちマイナーがマイニングを停止してしまうビットコイン価格とは幾らぐらいなのでしょうか。
マイニング原価は、マイニングをしている施設がある地域の電気代や、どんなマイニングマシンを使っているか、施設の規模などによって異なってきます。
電気代が高額な地域や古いマイニングマシンを使っているなどのケースでは、原価が高くなってしまうということです。
一般的に利益が出るか、出ないかが分かれる原価としてのビットコイン価格は、70万円から80万円とされているようです。
これはあくまでも平均的な金額であり、もう少し高くなるところや低くなるところもあるはずです。
しかし平均的な原価であったとしても、現在のビットコイン価格とは大きな開きがあり、マイニングを停止してしまうマイナーが増えていることに納得できるでしょう。
報酬が今の半分になる半減期
現在のビットコイン価格では原価割れになってしまうマイナーがいるとすれば、現在のマイニング報酬である12.5BTCが半減期を迎えて6.25BTCになるとどうなるのでしょう。
明らかに原価割れになってしまうマイナーが増えるというのが分かるでしょう。
つまり今のビットコイン価格が長引けば、マイニングをしたくてもできないマイナーが今よりも増えるということになるわけです。
長引けば長引くほどこの傾向は強くなっていくはずです。
すると体力のある大手マイナーはまだしも、体力に余力の少ないマイナーはマイニング事業から撤退しなければならなくなります。
もしマイナーが大手だけの数カ所に限定されてしまった場合、どのような問題が起きるでしょう。
最も大きな不安はセキュリティー面です。
例えばハッカーがひとつのマイナーを攻撃すれば、大きな被害が出てしまいます。
さらにビットコイン価格が下がったためにマイナーが続々と撤退していくと、それが投資家の仮想通貨に対する心理に悪影響を及ぼしかねません。
その一方で、市場の需要に対して供給量をわざと減らすことで、ビットコイン価格を高騰させるようになってしまう危険性もあります。
これはマイナーがビットコイン価格を操作できるようになるということですが、ボラティリティがこれまで以上に高くなってしまう可能性もあり、ビットコインの将来が閉ざされてしまうのと同じことになります。
まとめ
ビットコイン価格の低迷が続いた状態で半減期を迎えると、マイナーに大きな打撃を与えかねないことについてご説明しました。
新型コロナウイルスの影響が、半減期の意味をこれだけ変えてしまう可能性があります。
もちろんこれは仮想通貨だけの問題ではなく、世界の経済全体においても数々の問題が出てくるでしょう。
一刻も早く、新型コロナウイルスによる感染が収束してくれることを祈るしかありません。