仮想通貨FXの利益を脱税するとどうなるのか?
- 税金
- 2019.10.18.
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ビットコイン価格は2019年10月17日現在、86万円台をウロウロとしていますが、皆さん今年は利益が出ていますでしょうか。
一般的に年末にはビットコインの売りの要素が強くなるといわれています。
つまり値下がりする可能性が高いということです。
それは年内に利益を確定させ、来年に支払う税金の原資を作りたいからだそうですが、仮想通貨FXで利益が出た際に注意しなければならないのは確定申告と税の支払いです。
仮想通貨FXでの申告が必要な利益額や税率などについては、これまで何度もご紹介してきましたので今回は割愛させていただきます。
今回のブログでは、本来は申告が必要であるにもかかわらず申告をしなかったり、申告していても正しい申告内容になっていなかった場合にはどうなるか、つまり脱税したらどうなるのかについてご説明します。
海外の仮想通貨FX業者なら脱税しても分からない?
国内の仮想通貨FX業者を利用して取引をし、利益がでた場合は確実に税務署や国税庁に分かりますので、脱税することはできません。
海外の仮想通貨FX業者を使った場合にはどうなのかということをご説明する前に、国内の仮想通貨FX業者を利用しているとなぜ税務署や国税局に分かってしまうのかをご説明します。
日本国内の仮想通貨FX業者は、当然ですが日本の税法に従わねばなりません。
そのため税務署や国税局からの質問検査権を行使される可能性があります。
国税庁によると、質問検査権は以下のように定義されています。
質問検査権とは、適正公平な課税の確保の観点から、税務職員が各税の納税義務者等に対して質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる権限をいう。
引用:国税庁
この質問検査権は仮想通貨FX業者に対して行使されるものですが、仮想通貨FX業者は顧客のトレードによって利益を得ているわけですから、その内訳を示さなければ帳簿などの内容が正しいかどうか判断できません。
そのため、顧客の取引情報が筒抜けになる可能性があります。
またマルサと呼ばれる国税局の査察部が動いている場合には、裁判所令状を伴ってきますので、おそらく全ての取引情報が露わになってしまいます。
では海外の仮想通貨FX業者の場合、質問検査権などを行使される可能性はあるのでしょうか。
海外の仮想通貨FX業者は日本の法が適用されないために、上記のようなことはできません。
もしできたとしても利用者の情報開示を依頼する程度になりますが、近年では国税庁からの要請でその国の関係組織が仮想通貨FX業者の調査をする可能性が高まってきています。
つまり、海外の仮想通貨FX業者を使っていても、分かってしまう可能性が高いということです。
脱税にも色々なケースがある
脱税と聞くとイメージが悪いですが、その中には色々なケースが含まれます。
本来、脱税と呼ばれるのはマルサが動いて告発され、有罪が立証された場合を指します。
なお有罪が立証されると刑事罰となってしまい、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方が課せれられることになります。
告発されないまでも、意図的に税金から逃れていることが発覚した場合は「所得隠し」と呼ばれます。
また意図的に税金逃れをするつもりがなく、その証拠もない場合は「申告漏れ」となります。
そしてマルサが動いて刑事罰となる以外のケースでは、行政罰と呼ばれる本来支払うべき税金に色々な課税が加わってくるということになります。
行政罰としての付帯税
所得隠しや申告漏れが発覚した場合には、行政罰として付帯税を支払わなければなりません。
また税金から逃れたその内容などによって付帯税の種類は異なってきます。
過少申告加算税
申告そのものは期限までにおこなっていたが、意図的かミスかを問わず、本来納税しなければならない額よりも少なく申告していた場合に課税されるものです。
加算税率は、本来支払うべき税額に足らない分の10%となります。
ただし足らなかった税額が過少申告していた税額、もしくは50万円のどちらかを超えていた場合には、超えた分に対してのみ15%が課税されます。
無申告加算税
申告期限までに申告しなかった場合に課税されるものです。
このケースでも意図的かミスかを問わず加算されます。
加算税率は本来の税額のうち、50万円までは15%で、50万円を超えた分に対しては20%が課税されることになります。
重加算税
収入などをわざと粉飾したり、隠して申告しない、もしくは少なく申告して、それが非常に悪質だと判断された場合には、上記の過少申告加算税や無申告加算税に代えて課税されるものです。
なお、少なく申告した場合に課せられる過少申告加算税に代えて課税する場合には、正しい税額に足らなかった分の35%が加算されます。
また、期限までに申告しなかった場合に課せられる無申告加算税に代えて課税する場合には、正しい税額に足らなかった分の40%が加算されることになります。
延滞税
延滞金と同じ位置付けのもので、納付期限の翌日から加算され、納付日までの日数計算で算出して課税されます。
なお、延滞税は上記の各加算税とは別に必要となります。
利子税
税金を支払う際に現金が足らず、一括納税できない時には税額の一部を支払うしかありませんが、残りの税金を納めるまでの日数に応じて課税される、利子的なものが必要になります。
非常に厳しい行政罰
行政罰としての付帯税について説明しましたが、この内容をみると、世間でいわれるほど厳しくないと思われるかもしれません。
しかし重加算税の対象となるようなケースでは、税務所などから指摘されるまでにある程度の時間がかかることがほとんどで、その間は過少申告もしくは無申告となるわけです。
すると重加算税だけでなく、延滞税も一緒に課税されてしまうことになります。
もしすぐに全額納税できないとなると、さらに利子税まで課税されてしまいます。
これらを全て合算すると本来支払うべき税額の2倍の税金を支払わなくてはならず、非常に厳しいのが現実です。
税金に支払わなくてよい時効はあるのか
極論ではあるのですが、税金に時効があるのか、つまり支払わなくても良くなることがあるのかどうかについてご説明しましょう。
税金は、申告をして税額が確定してしまうといつまでも追及されるため、時効はありません。
一方申告しない、もしくは過少申告には時効があり、5年で時効となります。
具体的に説明すると2018年分の収入に対する申告は、2019年3月15日が期限となっていましたが、5年後の2024年3月15日を過ぎれば2018年分の税金は時効となり、支払う必要がなくなるわけです。
ただし上記のケースは申告漏れの場合が対象となります。
つまり申告の必要がないと思っていたり、うっかり忘れてしまったなどのケースです。
もし意図的に申告しなかったり、わざと少なくなるように申告していた場合には、時効が7年となります。
たかが2年かと思われるかもしれませんが、それだけ不正が発覚しやすくなるだけでなく、延滞税もその分増える計算になるので、発覚した場合に厳しい状況になるということです。
まとめ
仮想通貨FXで得た利益を脱税するとどうなるかについてご説明しました。
結局は脱税しても発覚する確率は高く、しかも発覚した際に余計厳しくなるだけだということがお判りいただけたでしょう。
また海外の仮想通貨FX業者を利用していたとしても、仮想通貨に対する規制が世界的に浸透しつつあり、各国がマネーロンダリング対策として、利用者の取引情報を相互に共有する体制が整いつつある現在では、発覚する確率が高くなってきています。
脱税していつ発覚するのかとビクビクしながら過ごすより、正しく申告して納税する方が落ち着いて仮想通貨FXにも取り組め、さらなる利益を追求することもできるのではないでしょうか。