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仮想通貨の流出事件の犯人は特定は難しい?コインチェック事件を例に解説!

  • 考察
  • 2019.06.06.

  • 仮想通貨FXブログ
  • 仮想通貨の流出事件の犯人は特定は難しい?コインチェック事件を例に解説!

仮想通貨の流出問題が一時期ニュースで騒がれていましたが、犯人が逮捕されたニュースはあまり聞いたことがないと思います。

原因は仮想通貨取引所をハッキングした犯人を特定することは難しく、複数の手続きを取らないといけないためです。

私たちに馴染みのある銀行口座に預けているお金は記録が残るので、なぜ犯人が特定できないのか疑問に感じる人もいるでしょう。

仮想通貨はネットで管理されているため記録が改ざんされることもあり、特定が難しいのです。

 

私たちがどうにかできる問題ではありませんが、危険性があることを知っておくことは重要です。

本記事ではコインチェックの流出事件を例に、犯人がとった行動と捜査を困難にしている要因を解説します。

 

仮想通貨の流出事件の犯人特定はなぜ難しい?主な理由を3つ解説!

仮面の画像

仮想通貨のハッキング犯を捕まえるのが難しい理由は大きく3つあります。

詳しくは後述しますが、今回はコインチェック事件で犯人が特定できなかった原因を基に解説します。

  • 追跡するためには膨大な作業量が必要になる
  • 他の通貨に交換されて追跡が難しくなった
  • 海外の仮想通貨交換所に対し情報提供を呼びかけなければならない

 

これらについて詳しくご説明しましょう。

特定するためには膨大な作業が必要

 

1つ目の要因として、犯人を特定するためには膨大な作業量が必要になってくるからです。

犯人が盗んだネムを複数のアドレスや取引所を介して移転を繰り返しており、警察の追跡を撹乱させているのです。

 

その例として、コインチェックのネム流出犯が使ったネムアドレス「NC4C…」における、流出事件が起こった日のトランザクションを見てみましょう。

 

ネム流出犯のネムアドレストランザクション

画像引用元:NEM – BlockChain Explorer

 

上記の画像は当該アドレスにおける通貨ネムの送受金記録で、インターネットに公開されているものです。

仮想通貨は個人情報まではわからないものの、送信者のアドレスや受信者のアドレスなど
どれくらいの量の通貨が送金されたかといったことが公開されており誰でも見ることができます。

 

画像の左から順に、通し番号、発生日時、送受金されたXEMの数量、送金手数料、送金元アドレス、受取人アドレスとなっています。

 

一番右の受取人アドレスが犯人側のアドレス、右から2番目の送金元アドレスがコインチェックのアドレスです。

 

1回あたりの送金に上限があるのか、1億XEMずつ送金していることがわかります。

 

犯人側のアドレスである「NC4・・(以下略)」に対して7回送金が行われ、合計5億2300万XEMがコインチェックから移転しています。

 

では、時間を少し後ろにずらした送金記録を見てみましょう。

 

ネム流出犯の送金記録

画像引用元:NEM – BlockChain Explorer

 

画像のXEMの数量の文字色が赤色なのは、「当該アドレスから送金された」ことを示しています。

 

8つのトランザクションがありますが、一番右の「受取人アドレス」は全て異なるアドレスとなっています。

つまり、当該アドレスから別の8つのアドレスに対して合計4億3300万XEMが送金されました。

 

その送付先の8つのアドレスのうち、ひとつの送金記録を見てみるとさらに別の9つのアドレスに送信されています。

 

このように、ネムが移されるアドレスがねずみ算式に増えていきます。

 

ネムの移転先を調べるにはこれらのすべてのアドレスを監視する必要があるため、膨大な作業量と時間が必要になってくるわけです。

 

アドレスは匿名でもてる

仮想通貨取引におけるアドレスとは、仮想通貨を保存する銀行口座のようなものです。

ネムの送金履歴が記載されるブロックチェーンにアクセスすることで作成でき、仮想通貨取引所を介さなくても誰もが簡単にそして無限にアドレスを保有できます。

 

アドレスを保有するには個人情報の登録は必要ありませんので、アドレスがわかったとしても犯人の身元には結びつきません。

身元が不明ですので送信先のアドレスが犯人のものなのか、犯人ではない一般の人のものなのか区別がつきません。

 

この「アドレス所有者の匿名性」と「無限に作成できる」という点が、捜査を混乱させる要因のひとつとなっています。

 

他の通貨と交換されてしまうと追跡が困難

 

膨大な時間がかかりますが、ネムが送金されたアドレスをたどっていくことで犯人を追跡することは可能です。

しかし、ネムの多くは追跡が困難になりました。

なぜなら、犯人は送信元のIPアドレスの特定が困難となるダークウェブ上に自ら仮想通貨交換所を立ち上げたからです。

 

「BTCまたはLTCを入金すれば、ネムを市場価格の15%引きで提供する」とサイト上で呼びかけました。

 

ネムのアドレスとビットコインのアドレスは互換性がないため、ネムと交換されたビットコインがあってもビットコインのブロックチェーン上に「ネムと交換された」という記録が残りません。

ゆえにネムから他の通貨に替えられてしまうと、資金の追跡は困難になってしまいます。

 

犯人は自ら交換所を立ち上げることで資金洗浄を一般の人たちに行わせ、逃げ切りを図りました。

 

また一部のネムは送金履歴を秘匿化できる仮想通貨「DASH」に交換された可能性があり、送金を追跡することが困難になっています。

 

ネム財団が追跡を中止したことで資金洗浄に拍車がかかった

ネムを発行・管理するネム財団は犯人が使ったネムのアドレスに印をつけ、資金の流れを監視していました。

併せて犯人のアドレスからネムが着金しても取引に応じないよう、世界中の取引所に対して要請していました。

 

しかしハッキングから約1カ月に方針を変更し、ネム財団は犯人が使ったアドレスの監視を中止することを発表しました。

 

この発表を受け、各仮想通貨取引所はネムの受け入れ制限を解除します。

犯人からネムを購入することをためらっていた人たちにとっては朗報だったようで
ネム財団の発表を期に犯人と取引する人が増加し、わずか2日間で犯人の資金洗浄は完了したのです。

 

犯人のアドレスを提供してくれる捜査協力者も

犯人追跡捜査に協力するために、犯人が立ち上げた仮想通貨交換所をあえて利用した人たちもいたようです。

 

犯人が提示した入金用ビットコインアドレスは使い捨てのアドレスでしたが
そのアドレスの資金の流れをたどることで、犯人が資金を保管しているビットコインアドレスが判明しました。

 

犯人はメインとなる4つのアドレスに、少なくとも約26億円相当のビットコインを保有しているとみられています。

 

このビットコインアドレスの資金の流れを追うことで犯人の身元が解明される可能性があり、現在も捜査が続いています。

 

海外の多くの取引所にも協力要請が必要

世界地図の画像

仮想通貨取引所において一定額以上のビットコインを換金するには、身元確認が必須です。

よって、人が換金しようとするタイミングで犯人の身元がわかる可能性が高いです。

 

犯人が取得したネムやビットコインは、海外のいくつかの仮想通貨取引所へ持ち込まれたことがわかっていますが
日本の警察は海外の取引所に対して直接捜査権限をもちません。

 

海外取引所が日本の警察の要請に応じてくれるかどうかが、今後の捜査の鍵を握っています。

 

 

コインチェック事件とは?580億円相当のネムは流出したまま?

ビットコインの画像

今回は580億円もの大金が流出してしまった「Coincheck事件」を例に取り上げていきます。

2018年1月26日、仮想通貨取引所のコインチェックがハッキングを受け
580億円相当の「NEM(ネム)」と呼ばれる仮想通貨が流出しました。

この事件が起こった真相や、仮想通貨の行方について解説します。

 

事件が起こった原因

ハッキングされた原因は、Coincheckの職員が会社宛に届いたメールに記載されていたリンクを開いてしまったことでした。

いわゆる「マルウェア感染」と言われるもので、
当時のコインチェックはオンライン上で仮想通貨を管理していたことが原因で盗まれてしまいました。

現在はコールドウォレットと呼ばれるオフラインで仮想通貨を管理する技術が普及しており、
セキュリティ対策がしっかりしている取引所が増えてきています。

 

Coincheckの犯人の特定方法を解説!

Coincheck事件では、ネム財団というネムの普及を目指して活動している団体の協力で追跡が行われました。

追跡のために行われた方法や財団について解説します。

 

ネム財団とホワイトハッカーへ依頼

Coincheckは、追跡のためにネム財団に協力を依頼しました。

依頼されたネム財団は、以前財団で働いていたホワイトハッカーの「みなりん」氏と協力して追跡を開始しました。

 

モザイク技術の駆使

ネムには独自のトークンを作成できるモザイク機能というものがあります。

みなりん氏はその技術を逆手に取り、犯人が使用している疑いのあるメールアドレスにモザイクを作成したトークンを送信しました。

このモザイクは作成者であるみなりん氏でないと解除ができないようになっており、通貨にマーキングすることで両替や使用を抑制しました

 

犯人らがとった行動を3つ解説!

犯人側も特定されないように複数の対策を行っていました。

特定を回避するために、犯人グループが行った行動を3つ紹介します。

 

ネムをダークウェブ上でロンダリング

ダークウェブとは普通のブラウザでは見られないウェブサイトで、薬物などの違法性の高いものが取引されています。

犯人は匿名性の高いダークウェブで仮想通貨取引所を開設し、ロンダリングを行ったのです。

普通の取引所よりも普通の取引所よりも安価に交換できるとあって、多くの取引が行われてしまいました。

 

モザイク技術を無効化する仮想通貨の入出

普通は、モザイクがかかったままだと取引所で交換が拒否されてしまいます。

しかし犯人はCoinPaymentsという決済プラットフォームを利用することで、モザイクがないアドレスに見せかけていたのです。

 

匿名性の高い仮想通貨へ交換

犯人は追跡を逃れるべくネムを他の通貨に交換しました。

一般的に普及している仮想通貨は取引の履歴が残るようになっています。

しかし犯人は「DASH」と呼ばれる、取引の内容が公表されない仮想通貨へと交換することで資金洗浄を行いました。

 

犯人の追跡は続いているのか?追跡は途中で打ち切りに!

犯人が仮想通貨のロンダリングに力を入れた結果、ネム財団は追跡を途中で諦めてしまいました。

・モザイクをかけても匿名性の高い通貨に交換されてしまった

・ダークウェブ上で多くの人に盗まれたコインが渡ってしまった

上記の理由で特定が困難だと判断しました。

 

事件の犯人は逮捕できたのか?逮捕者は通貨を取得した2名!

結局、犯人の特定や逮捕はできませんでした。

しかし、2020年にダークウェブ上で盗まれた通貨を交換したとして日本人2名が逮捕されました。
通常のレートよりも格安で交換できたこともあって、交換し利益を得ていたようです。

 

まとめ

携帯の画像

残念ながら、コインチェック事件では犯人を特定できませんでした。

・他国の協力が必要

・膨大な作業時間がかかる
上記の理由で特定は非常に困難となっているのです。

 

盗まれた通貨を交換してしまったことで逮捕された事例があるので、
万が一特殊な方法で取引を持ちかけられても応じないように気をつけましょう。

 

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