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レバレッジ4倍の自主規制は今後どうなっていくのか?

  • 考察
  • 2019.06.18.

2018年秋、仮想通貨業界の自主規制団体である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が最大レバレッジ倍率の自主規制を4倍に引き下げる旨の発表を行いました。

 

この発表以降、JVCEAに属する国内の仮想通貨交換業者は、レバレッジ倍率の自主的な変更を求められることになりました。

 

このレバレッジ自主規制はどうなっていくのでしょうか。

また、4倍よりも低く規制される可能性があるのでしょうか?

 

本記事ではこのレバレッジ倍率4倍の設定の根拠とともに、レバレッジ最大倍率自主規制の将来的な展望について考察します。

 

レバレッジ規制が求められた背景

レバレッジ規制が求められた背景には、仮想通貨の大きなボラティリティにより、利用者が損失を出すケースが多かったことが挙げられます。

 

自主規制前までの国内仮想通貨取引所では、最大で25倍のレバレッジ倍率を採用している業者が幾つも存在していました。

 

25倍のレバレッジは、外国為替証拠金取引(FX)と同じ倍率です。

しかし仮想通貨は法定通貨よりも価格変動が大きいため、外国為替証拠金取引と同じ倍率を適用していると、価格変動に対するリスクが大きくなってしまいます。

それゆえに、仮想通貨取引に参加する人が増えるほど損失を抱えてしまう利用者も増えてきていました。

 

仮想通貨FXを外国為替証拠金取引と同じレバレッジで扱うのではなく、25倍よりも低いレバレッジ倍率が適当であるとし、適切な倍率を定めるための話し合いが2018年春頃から始まりました。

 

レバレッジ倍率4倍の根拠

適切な倍率を「4倍」と提示したのは、業界の自主規制団体である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)です。

金融庁 仮想通貨交換業等に関する研究会資料

画像引用:金融庁 仮想通貨交換業等に関する研究会資料

 

4倍とした根拠は、「預けた証拠金以上の損失が発生する可能性が限りなく抑えられる」ということです。

 

JVCEAは、2018年3月31日を起点として、その前3ヶ月前と1年、そして3年のビットコインの日次変動率を調べました。

それぞれの期間で利用者が大きな損失を出すことのないデータが99.5%に収まる数値を調べた結果、ほとんどの日次変動率はおよそ25%以内に収まることがわかりました。

 

これは例えば、100万円のポジションを持ったとき、変動してもプラスマイナス25万円の幅に収まるということです。

もし予想と逆に相場が動いた場合、レバレッジ倍率が10倍であれば証拠金は10万円ですので、証拠金残高が-15万円(10万円-25万円)とマイナスになってしまいます(※)。

この条件で証拠金残高がぎりぎりマイナスにならないのは、レバレッジ倍率が4倍のときという計算が成り立ちます。

 

レバレッジ倍率が4倍なら、100万円のポジションを建てるのに必要な証拠金は25万円ですので、予想と逆に相場が動いても証拠金残高は0円(25万円-25万円)に収まるわけです(※)。

 

このように、25%以内のボラティリティであれば、口座残高がマイナスになる可能性がないということで、レバレッジの最大倍率は4倍に設定されました。

 

(※)実際は、証拠金残高が0円になる手前でロスカットされます

 

自主規則施行から1年間は猶予期間

最大レバレッジ倍率を4倍に定めたJVCEAの自主規制は、2018年10月24日から施行されましたが、施行から1年間は独自のレバレッジ倍率を定めても良いとされました。

つまり、2019年10月24日まではレバレッジ倍率4倍まで統一されるまでの猶予期間となっています。

 

ただし、顧客が預け入れた証拠金以上の損失を出した場合は、そのような損失がない水準に倍率を速やかに切り下げなければならないことが規定されています。

 

2019年6月現在の業者の対応状況

2019年6月現在の、国内業者のレバレッジ倍率対応状況は以下のようになっています。

 

証拠金取引サービスを実施している国内業者2018年11月時点2019年6月時点
株式会社bitFlyer15倍4倍
QUOINE株式会社25倍4倍
GMOコイン株式会社10倍4倍
株式会社ビットポイントジャパン25倍4倍
株式会社 DMM Bitcoin5倍4倍
TaoTao株式会社4倍
コインチェック株式会社5倍(※)5倍(※)
株式会社フィスコ仮想通貨取引所(Zaif)25倍25倍

※証拠金取引サービスを停止中

 

ご覧いただいたとおり、仮想通貨の証拠金取引サービスを行う国内事業者8社のうち、レバレッジ倍率を4倍に対応したのは6社で、未対応なのはコインチェックとフィスコ仮想通貨取引所が運営するZaifの2社のみとなっています。

 

コインチェックは2018年1月の仮想通貨流出事件から1年以上証拠金取引サービスを停止しており、レバレッジをかけた取引は行えないようになっています。

ゆえに証拠金取引サービスを再開する際に、レバレッジ倍率の変更がアナウンスされる可能性があります。

 

またフィスコ仮想通貨取引所では、現在Zaifとフィスコ仮想通貨取引所の2つのプラットフォームを運営していますが、2019年中にこの2つを統合することを発表しています。

新たなプラットフォームに統一される際に、レバレッジ倍率の変更がアナウンスされるかもしれません。

 

レバレッジ倍率の今後

これまで説明したように、日本国内の仮想通貨交換業者は2019年秋までに4倍のレバレッジ倍率に統一される可能性が高いですが、4倍に統一された後はどのようになるのでしょうか?

 

レバレッジ倍率を4倍と決定する話し合いが行われた、金融庁の「仮想通貨交換業に関する研究会」の議事録から、今後の流れを考えてみましょう。

 

4倍よりも低くすべきという意見

JVCEAが最大レバレッジ倍率を4倍に設定した根拠は「利用者が証拠金以上の損失を被る可能性が非常に低い」からでした。

しかし金融庁が主催した研究会において、「レバレッジ倍率が4倍では高すぎる可能性がある」と指摘されています。

 

現状では最大25倍となっているところを、今度、自主規制案では4倍という案が出てきているという点は評価したいと思います。ただし、これでもちょっと高過ぎる可能性があるという点は一つ指摘しておきたいんですけれども、(以下省略)

引用:「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第7回)議事録

 

「レバレッジ倍率4倍でも高すぎる」という意見は、大まかに次の2つを根拠としています。

 

  1. アメリカの先物取引所では約2倍の証拠金倍率
  2. EUでの仮想通貨デリバティブ取引の証拠金倍率の上限が2倍

このふたつの根拠について詳しくご説明しましょう。

 

1.アメリカの先物取引所ではレバレッジ倍率が2倍程度

1つ目の根拠が、アメリカにおける「先物取引所」のレバレッジ倍率が2倍程度となっている点です。

 

CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)やCBOE(シカゴ・オプション取引所)ではビットコイン先物取引をおこなうことができますが、このレバレッジ倍率が2倍程度となっています。

 

こういうCMEとかCBOEというのは、さまざまなものを原資産とする先物取引、デリバティブ取引をやっている、いわばプロなので、そのプロの人たちがこれまでのヒストリカル・ボラティリティを勘案して、こういう倍率を決めているということで、我が国でも上限規制を考えるときはこういった数字を出発点にすべきではないかと考えます。

引用:「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第7回)議事録

 

このように「プロのトレーダーが2倍程度に設定している」ということを根拠に、「レバレッジ倍率が4倍なのは高い」としています。

 

2.EUでの仮想通貨デリバティブ取引の証拠金倍率の上限が2倍

2つ目の根拠は、EUにおける仮想通貨デリバティブ取引の証拠金倍率が2倍とされている点です。

 

2018年2月までは5倍で運用されていたのですが、2018年3月から2倍に切り下げられました。

これは、EUにおける個人投資家の損失リスクを抑えるためだとされています。

 

仮想通貨デリバティブとともにFXや金、株式などのCFD取引においても同じタイミングで倍率が切り下げられています。

 

投資家に損失が出なければ4倍のままか?

日・米・欧の中で日本が設定したレバレッジ倍率が最も高く4倍ですが、レバレッジ倍率の設定軸はどの国においても「投資家に損失を出さないこと」でした。

 

つまり、投資家に損失を出さない範囲であれば、レバレッジ倍率が他国より高い状態でも問題ないとされるはずです。

ゆえに、今後協会水準の4倍で運用してみて、「証拠金以上の損失が出る」といったことがなければ、4倍のまま運用される可能性が高いといえるでしょう。

 

一方で、「証拠金以上の損失が出る」ことが多く見られた場合には、証拠金維持率は4倍よりも切り下げられる可能性があると考えられます。

 

ハイレバレッジで取引したいときは

もし4倍よりも高い、100倍などのハイレバレッジ取引を行いたいと考えているのであれば、日・米・欧以外の仮想通貨FX業者をおすすめします。

 

規制のゆるい国で登録されている仮想通貨FX業者であればレバレッジ規制がなく、ハイレバレッジで取引できるところが多く存在しています。

例えば、シンガポールに登録されているBybitやセーシェル共和国に登記されているBitMEXなどです。

 

「100倍のレバレッジだと損失が大きくなった時に困る・・」

そんなふうに心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、ハイレバレッジに設定している業者はゼロカットシステムを採用しているだけでなく、トレーダーに損失がかからない保障システムなどの仕組みも構築されています。

そのため利用者は、証拠金以上の損失を出すことなくハイレバレッジで取引することができます。

 

まとめ

レバレッジ倍率4倍の自主規制は、証拠金以上の損失が頻繁に出ることがなければ、おそらくそのまま4倍の水準で維持されるでしょう。

しかし証拠金以上の損失が度々出るようなことがあれば、更に切り下げられる可能性があります。

 

日本国内で4倍より大きなレバレッジ倍率で仮想通貨FXを行うことは、厳しい状況です。

もしハイレバレッジでの取引を検討されるのであれば、規制のゆるい国に登記された海外仮想通貨FX業者をおすすめします。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

リスク警告

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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