ビットコイン投資は資産形成に適しているのか?
- ビットコイン
- 2019.06.03.
- 仮想通貨FXブログ
- ビットコイン投資は資産形成に適しているのか?
「今後の資産形成はどうするのが良いのか知りたい」
「ビットコインはそもそも資産形成に役立つのだろうか?」
「ビットコインは大きく儲けることができるようだが、資産形成に際してそのリスクはどう考えればよいのだろうか?」
資産形成に悩みを持つ方のほとんどが、おそらくそんなふうにお考えでしょう。
確かにビットコインは、ボラティリティが非常に高いので、利益を大きく生み出すことができますが、一方で高いリスクも併せ持っています。
しかし使い方によっては、ビットコインもリスクヘッジ用資産として役立てることが可能になるのです。
ビットコインを資産形成に入れるべき理由やポートフォリオの割合、他の安全資産との違いについてご説明しましょう。
リスクヘッジ用の資産として意味がある
画像引用:MORGAN CREEK
ビットコインは、リスクヘッジ用の資産として非常に重要であると主張するのは、Mark Yusko氏です。
Mark Yusko氏は、米資産運用会社モルガンクリークキャピタルマネジメントおよび、仮想通貨インデックスファンドの運用を行うモルガンクリークデジタル社のCEOです。
Mark Yusko氏は、5月21日のCNBCの経済ニュース番組に出演し、「投資を行うすべての人がポートフォリオの中にビットコインを入れるべき」と主張しました。
ビットコインをポートフォリオへ入れるべき理由として、2019年初以来ビットコインの価格が100%以上上昇し、米国株式の主要な指数であるS&P500を上回っていることを上げています。
S&P500は、ニューヨーク証券取引所とNYSE American、それにNASDAQで上場している米国企業500社の株価を元に算出する株価指数のことです。
対象とする500銘柄の時価総額合計額を基準点の時価総額合計で割って算出していますので、現在の時価総額が基準点と比べてどの程度増減しているのかを推し量ることができます。
5月21日時点でのS&P500の年初来の増加率は14%だったのに対し、ビットコインは100%以上増加しました。
Yusko氏は、今後10年間でビットコインが最もパフォーマンスの高い投資資産のひとつになると予想しています。
そして、ビットコインは米国株式と価格の相関性が低いため、米国株式が下落したときのリスクヘッジになるとしています。
背景には米中貿易戦争
「ビットコインはリスクヘッジ資産として優秀」とされる背景には、2019年5月から激化した米中貿易戦争による、株価下落があるとされています。
5月5日、トランプ米大統領は2000億ドル相当の中国製品に対し関税を25%へ引き上げると発表し、中国へ圧力を強めました。
この報復として中国政府も、アメリカ輸入品に対する関税率を最大25%へ引き上げると発表。
世界経済への懸念感が強まり、世界の主要株価は下落しています。
月間のS&P500は6.58%安を記録し、この5月の下落率は2010年以降で最大となり、投資家が株式市場の資金を、比較的安全な資産へ移転する動きを強めていることが読み取れます。
そして、その選択される安全資産のひとつとしてビットコインなどの仮想通貨が選ばれているようです。
米経済メディアCNBCは、中国人民元とビットコイン価格が逆相関となったことに関して、「中国にいて、資産を多様化したいのであればビットコインが代替案になるのは当然」というアナリストのコメントを発表しています。
また、Fortuneのインタビューにおいて、「ビットコイン価格の急上昇は米中貿易協議後退の直後に始まった」ことをDigital Currency Groupの創設者であるBarry Silbertが指摘しています。
経済危機に買われるビットコイン
ビットコインは、これまでも、たびたび起こる経済危機において買い需要が増す傾向にありました。
この章では、次の2つの経済危機とビットコインの動きについて解説します。
- 2013年のキプロス危機
- 2018年のトルコリラショック
2013年のキプロス危機
ビットコインは、2013年にキプロス共和国で起こった経済危機のタイミングで高騰しています。
画像出典元:CoinMarketCap
2012年ごろから経済危機に陥っていたキプロスが、100億ユーロの支援を受ける代わりに、キプロス国内の銀行預金者から一定の率で税金を徴収すると発表。
それを受けて預金者の多くがATMに殺到し、混乱が起こりました。
特に、キプロスはタックスヘイブンとして利用されてきたため、外国人富裕層が預金を利用していました。
預金が安全ではないかもしれないという恐れが広まったため、資産の逃避先としてビットコインが選ばれたようです。
2018年のトルコリラショック
2018年8月、トルコリラは20%以上の下落を記録し、過去最安値を更新しました。
画像出典元:トルコリラ/円-楽天証券
これは、欧州中央銀行(ECB)がトルコ債権への懸念を示したことと、トランプ米大統領がトルコに対して高い関税をかけることを示唆したことが発端とされています。
そんな中、トルコの仮想通貨取引所では、トルコリラ建てのビットコイン取引量が100%~200%以上増加しました。
トルコリラ暴落を背景に、ビットコインを買って資産を避難させるユーザーが増えたとみられます。
ポートフォリオの妥当な割合
ビットコインは、経済の不透明さが強まったときに、代替手段として選択されることはお分かりいただけたと思います。
では、ポートフォリオ上でどのくらいの割合でビットコインをもてばよいのでしょうか?
1~5%が妥当だとする声
画像引用:CNBC
米CNBCの仮想通貨アナリスト、ブライアン・ケリー氏は、ポートフォリオにおけるビットコインの割合を1~5%にすることを推奨しています。
ブライアン・ケリー氏は、5月21日のCNBCの経済番組において、ビットコインの価格上昇を期待できるイベントとして「半減期」を挙げました。
半減期とは、ビットコインのマイニング報酬が減少するタイミングのことを指し、次回の半減期では12.5BTCから6.25BTCに報酬が下がります。
ビットコインの半減期は2019年5月の予定ですが、ケリー氏は、市場への影響はもっと早い段階で起こると述べました。
ケリー氏は、ビットコインが半減期にいたるまでの期間や半減期を超えたあとも、強気相場になると予想しています。
最大1%に抑えるべきという声
オンラインウォレットを開発するXapo社のCEO Wences Casares氏は、ビットコインのポートフォリオにおける割当を最大1%にすることを推奨しています。
1%で抑えるべき理由の一つに、ビットコインでの取引が成功する確率は50%あるものの、失敗する確率は少なくとも20%あることを挙げています。
残りの30%は成功とも失敗ともいえない状態に終わることを指しているのでしょう。
ポートフォリオの割合が1%であれば、もし失敗しても他のポートフォリオで補えるとし、仮に成功すればポートフォリオ全体に大きな価値をもたらすとしています。
他のリスクヘッジ資産とビットコインの違い
株式や法定通貨が不安定になったときに、資金逃避先として利用されることが多いのは、金や国債などの安全資産です。
金利収入はほとんどもたらさないものの、企業の倒産とは無縁であり、資産価値を保存する手段として用いられることが多いです。
これらの金や国債とビットコインとの大きな違いは、ボラティリティです。
ビットコインは、2017年には15倍に価格が上昇しましたが、2018年には7割以上の価格が失われたように、非常に大きなボラティリティが特徴です。
非常に大きく値上がりすることもあれば、ほとんど価値が無くなってしまうというリスクがあり、金や国債のように「価値を安全に保有する」という目的を果たすことは期待できませんが、その一方で、大きく価値が上昇する可能性があるともいえるわけです。
そのため、投資ポートフォリオの大半をビットコインにすることは安全面からおすすめできませんが、ポートフォリオの一部をビットコインにすれば、全体のパフォーマンスを上げられる可能性が出てきます。
「金や国債の代わり」にビットコインを買いましょうと勧めているのではありません。
「ポートフォリオを多様化」するためにビットコインを買い、ポートフォリオに含めることを勧めているのです。
まとめ
経済危機が起こるたびに、ビットコインの買い需要が増してきています。
ビットコインはボラティリティが高く、価値を失ってしまう可能性もあるため、ポートフォリオの大半をビットコインにしてしまうのは、決しておすすめできる方法ではありません。
しかしビットコインには株式や為替などと価格が連動しない特徴があるため、ポートフォリオに組み入れれば、リスクヘッジになります。
特に2019年~2020年にかけては、「半減期」というこれまで価格が上昇してきたイベントが控えているため、価格上昇を期待できます。
これらの考え方を取り入れ、資産形成に役立ててみればいかがでしょう。