海外の仮想通貨取引所で得た利益の税金はどうなる? 申告と手続きについて徹底解説!
- 税金
- 2019.04.13.
- 仮想通貨FXブログ
- 海外の仮想通貨取引所で得た利益の税金はどうなる? 申告と手続きについて徹底解説!
仮想通貨FX取引は、日本でも盛んな反面、海外ではより熱い投資が行われています。
また海外の仮想通貨FX取引所の中には、日本語対応がなされていたり、高いレバレッジが適用できたりするので、国内よりも海外の業者を使う人も少なくありません。
しかし、ここで気になるのが「税金」の話でしょう。
海外の仮想通貨FX取引所で取引を行った場合、取引所の本拠地となる国に税金を納めるべきなのでしょうか。
それとも、日本の税務署に納めるべきなのでしょうか。
今回は、海外の仮想通貨FX取引所を利用した際の利益にかかる税金について、基本的な考え方や申告方法・手続き等についてご紹介します。
海外の仮想通貨FX取引所で利益を得ても、取引所がある国に納税する必要はない
仮想通貨の利益に対する税金の計算を考える上で、まず押さえておきたい基本的な考え方は、「居住者」と「非居住者」との違いです。
概ね言葉通りの意味なのですが、税金の計算においては明確に期間が定められています。
居住者とは、国内に住所を有し、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人のことです。
この基準を満たさない人は、非居住者となります。
考え方としては、その人が現在生活の本拠としているわけではないが、現実に居住している場所となります。
判定基準としては、その人がどこを中心に生活しているのか、客観的事実で判定します。
例えば、仕事は何をしているのか、海外で暮らさなければならない契約を勤務先の会社と結んでいるのかなどです。
これが法人になると、本店所在地がどこにあるかで内国・外国法人の判定が行われます。
日本は海外の国々と租税条約を結んでおり、国内法よりも租税条約が優先されます。
よって、自分が居住している区域に応じて、納税する先が変わってくるものと考えた方がよいでしょう。
※参考サイト:国税庁 居住者と非居住者の区分
日本で納税する前提で考えると、基本的には日本の業者と何ら変わりはない
海外の仮想通貨取引所であったとしても、結局は日本で納税するという前提で考えたなら、基本的には日本の業者と何ら変わりはないことになります。
よって、日本における仮想通貨の収益を申告する流れに沿って、確定申告を進めていけば問題ありません。
課税される所得金額 | 税額 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超~ | 45% | 4,796,000円 |
※参考サイト:国税庁 所得税の税率
もし所得が仮想通貨FXで得たものしかなく、100万円の利益を出していたとすると、表に書かれている通り5%の税率である5万円分を税務署に支払うことになるわけです。
この計算については、国内でも海外でも変わりはなく、あくまでも自分がどの国を主な拠点として生活しているかによって変わってきます。
言い換えれば、税制の面で海外業者が特別優遇されるわけではないということです。
よって、事業として投資している場合を除いては、国内同様「雑所得」扱いで処理します。
仮想通貨を日本円に交換したり、ビットコインに交換した段階で、利益が発生していれば、雑所得として計上し、他の所得と合算して税額を計算します。
気になる利益の計算方法ですが、こちらも日本の居住者である限り、日本と同じ方式で計算します。
つまり、移動平均法か総平均法のいずれかで計算するという流れです。
移動平均法と総平均法の違いは、簡単に言うと仮想通貨購入の都度税額を計算するか、一年を通じて一括して平均単価で計算するかの違いです。
また、これは日本国内における現物取引での計算方法であって、仮想通貨FXの場合、日本円もしくは仮想通貨での取引による差益によって判断します。
ちなみに、仮想通貨で得た利益について、その内訳を税務署に提出する義務はありませんが、税務調査の際には細かくチェックされるため、収支を計算した資料は残しておく必要があるでしょう。
海外の金融機関も、日本に口座情報を送ることになった
ここで一つの疑問が生じます。
それは「海外に口座を開設しているのに、税金を日本で支払うことの必要性」です。
租税条約を結んでいる国の場合、法人間でのやり取りであれば、利子を支払う場合は現地法人で源泉徴収されることがあります。
また、上記の例では日本の金融機関への支払いについては免税となります。
つまり海外に口座を開設してお金を振り込んだ場合、日本の税制では適用されないケースもでてくるのではないかという疑問です。
この点について、日本では2018年9月から「非居住者に係る金融口座情報の自動的情報交換のための報告制度」が導入されています。
※参考サイト:国税庁 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の導入について
これは、金融機関側が口座を保有している非居住者の情報を国税庁へ報告し、国税庁が非居住者の国の税務当局に対して通知をする制度です。
日本から海外の税務当局に発信しているだけでなく、海外から日本にも情報が送られてくるので、非居住者の日本人の口座情報(海外資産情報)を国税庁が把握できるわけです。
非居住者の情報が入るということは、当然日本以外の国に実際にその日本人が住んでいるかどうかを税務署側がチェックできるということであり、海外に拠点を置いている実態がなければ、当然日本で納税することになります。
海外に口座があるから国内で納税はしなくてもよいと考えていると、後日追徴課税されるおそれもありますから、注意が必要です。
納税先を分けるものは「住民票」
日本での納税が必要か、それとも海外での納税が必要かは、自分が居住者・非居住者のいずれに該当するかによって変わってきます。
日本国内でそれを判断するのは「住民票」です。
住民票が日本にあれば、その時点で日本の居住者としてカウントされます。
日本国内から住民票を抜いて海外に移転すれば、そこで初めて非居住者とカウントされます。
ちなみに、居住者が海外に移転してから、一年のうちにどのくらい日本での居住期間があったのかによっても、その年の居住者・非居住者の扱いが変わってきます。
具体的には、海外に「183日以上」住んでいる人たちが、非居住者にカウントされます。
海外に家を引っ越した人や海外転勤者・留学生・ワーキングホリデーなど、明確に海外に生活の拠点を移動した人は、海外での納税義務を負うと考えてよいでしょう。
非居住者のメリットを享受するには、仮想通貨で生活できるレベルの利益が必要
ここまでご紹介してきた通り、海外の仮想通貨FX取引所を利用していたとしても、居住地が日本なら日本国に対して税金を納付することになります。
よって、海外の税率を適用するためには、海外への移住を成功させなければなりません。
ただ、仮想通貨FXの利益による税率を軽減する目的で海外に移住するなら、当然仮想通貨FXで生活できるレベルの利益が必要になってきます。
副業で仮想通貨取引を行っているなら、国内における節税を考えるべきでしょう。
仮想通貨FXの利益を雑所得扱いではなく、事業所得として認定されるのであれば、経費算入が認められるようになります。
まずは、事業所得として認められることを目指す方が節税になるでしょう。
おわりに
海外の仮想通貨FX取引所を利用したとしても、居住地が日本ならば、日本に対して税金を納めなければなりません。
日本の税率は比較的高いですが、低所得者に対する税率は低く抑えられているため、一概に悪いともいえません。
もし日本の税率の高さを痛感するレベルまで収益が出るようになれば、海外への移住を考えるタイミングなのかもしれません。