Bybitレポート「強気相場と弱気相場を乗り切るための資産配分」
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- 2023.12.07.
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- Bybitレポート「強気相場と弱気相場を乗り切るための資産配分」
画像引用:Bybit Blog
仮想通貨は一般的な株取引などと異なり、ボラティリティが大きいため、短期間に大きな利益を得ることができる一方で、損失も発生しやすいことが挙げられます。
そのために重要なのは、現在の相場が強気相場なのか、それとも弱気相場なのかを把握しておくことでしょう。
しかし厄介なのが、強気相場なのか弱気相場なのかが分かりにくいタイミングです。
仮想通貨トレーダーはこのようなタイミングの時、どのように切り抜けているのかが分かると、非常に参考になるはずです。
Bybitがこのような疑問を持っているトレーダーの参考になるようなレポートを公開しましたので、ご紹介しましょう。
Bybitがトレーダーの戦略分析レポートを公開
Bybitが「Navigating Bull and Bear Markets — A Dive Into Asset Allocation(Google翻訳:強気市場と弱気市場のナビゲート — 資産配分へのダイブ)」と題して、仮想通貨市場に参入しているトレーダーは市場状況に応じ、どのような戦略を立てているかの戦略分析レポートを発表しました。
調査対象とした期間は2022年12月から23年9月までで、調査内容としては投資家がどのように投資資金を配分しているかを分析しています。
なおこの調査対象期間中のビットコイン価格は、2022年12月でおよそ16,000ドル台を推移しており、2023年9月末には27,000ドル近くまで上昇していました。
つまり調査対象期間中に大きな価格変動が起きていたということです。
なお仮想通貨はビットコインとイーサリアム、ステーブルコイン、アルトコインで分析しており、投資家については機関投資家を「INS」、5万ドル以上所有の個人トレーダーを「VIP」、これ以外のトレーダーを「Retail Traders」と区分して分析しています。
機関投資家の投資比率
調査期間中、すなわち2022年12月から23年9月末までの間、機関投資家はどの仮想通貨に投資していたのかが明らかにされています。
画像引用:Bybit Blog
この期間中に置換投資家はステーブルコインに45%、ビットコインに35%、イーサリアムに15%、5%がアルトコインの割合でポートフォリオを振り分けています。
この振り分けはリスク回避のための配分であり、機関投資家は流動性の高さを重視しているのではないかと説明しています。
ビットコインに対する投資比率の変化
調査期間中のビットコインに対する、各投資家の投資比率の変化についても分析しています。
画像引用:Bybit Blog
このグラフをみると「INS」の投資配分が、調査期間の終わるころである9月から急激に増えており、「VIP」や「Retail Traders」とは明らかに異なる動きを示していることが分かります。
この動きについてBybitは、SEC(米証券取引委員会)との裁判が背景にあると述べています。
つまりSECと世界最大のデジタル資産運用会社であるグレイスケール・インベストメントとの裁判によって、米でのビットコイン現物ETF(上場投資信託)の承認への期待が高くなっていることが影響していると分析しているわけです。
イーサリアムに対する投資比率の変化
調査期間中にはイーサリアムでも特徴的な変化が起こっています。
画像引用:Bybit Blog
イーサリアムは2023年の日本時間4月13日に大型アップグレードが実施され、そのことへの期待感からイーサリアム保有割合は増えましたが、その後の保有割合は減少傾向にあるものの、「INS」だけは9月頃から保有数が急増していることが分かります。
この理由としてBybitは、仮想通貨へのセンチメントの変化が背景にあると分析しています。
具体的には、9月にイーサリアム現物ETFの申請が米国で増えていたことが挙げられます。
ただ、イーサリアムのライバルといわれているSOL(ソラナ)のパフォーマンスが高いことは否めず、今後機関投資家からイーサリアムに投資してもらうには、今まで以上の大きなアップグレードが必要なのではないかとも述べています。
ステーブルコインに対する投資比率の変化
ステーブルコインについても調査期間中に変化が起こっています。
画像引用:Bybit Blog
ステーブルコインについては、元々「INS」の投資配分は「VIP」や「Retail Traders」よりも低かったのですが、9月にかけてさらに減少していることが見て取れます。
Bybitは「INS」以外の個人トレーダーが多くのステーブルコインを保有している理由について、リスク資産への戦略的配分の遅れに起因している可能性があると指摘しています。
つまり「INS」は9月に入ってからステーブルコインへの投資配分を低くする一方で、ビットコインへの投資配分を高くしている素早さに比べ、個人トレーダーの動きが遅いと分析しているわけです。
アルトコインに対する投資比率の変化
アルトコインの投資比率についてもBybitはレポート内で言及しています。
画像引用:Bybit Blog
Bybitはレポート内で、「INS」以外の個人トレーダーの方が「INS」よりもアルトコインの保有率が高いことを指摘しています。
また2023年7月に新しく仮想通貨市場に参入してきたとみられる個人投資家は、アルトコインに多くの投資をしていることが分かります。
一方「INS」は、2023年9月に大きく保有数を減らしていますが、他の個人投資家は保有数にそれほど大きな変化が見られません。
Bybitはアルトコインへの多額の投資について、ボラティリティによって意図しない損失が生じる可能性に注意するよう説明しています。
まとめ
Bybitが発表した2022年12月から23年9月までの、投資家別資産配分レポートについてご紹介しました。
これらをみると、「INS」と称される機関投資家は確実にビットコインの動きを掴み、非常に素早く投資配分を変化させていることが分かります。
もちろん、個人投資家が機関投資家と同じ動きをすることで生じるリスクはあるでしょうが、少なくとも仮想通貨の動きを読み、素早く配分を変化させることは参考になるはずです。