米経済支援策でビットコイン使用可能なアプリを導入?
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- 2020.03.31.
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- 米経済支援策でビットコイン使用可能なアプリを導入?
画像引用:cnn.com
新型コロナウイルスの感染は世界中に広まっており、経済への影響は非常に深刻な状態です。
特に感染が広まった国の企業や国民は、封鎖や外出禁止措置などによって、経済状況も苦しくなりつつあります。
このような状況に対して、多くの国々は企業や個人に大幅な経済支援策を打ち出しています。
経済支援策の中でも、特に米国の支援策の大きさは群を抜いて大規模なものですが、その実施にスピードがなければ支援の効果が薄くなってしまいます。
米国の人口は3億人を超えており、効率的に経済支援を実施するためにアプリを導入する方法を検討していることが報道されました。
しかもこのアプリはビットコインも購入できるだけでなく、送金もできるものです。
もしアプリ導入が実現すれば、多くの人々にビットコインやブロックチェーンの有用性や利便性を訴えることができるはずです。
このニュースについて、詳しくご説明しましょう。
米の大規模経済支援策
新型コロナウイルスの感染拡大によって生じている経済不安に対処するため、米国は総額で2兆2,000億ドルにも上る緊急経済支援策を打ち出し、2020年3月27日に議会下院で可決されました。
今回の経済支援策は2008年に起きたリーマンショック時の緊急対策費を上回る規模のもので、トランプ大統領も即日署名し、成立しました。
大企業に向けた支援策としては、融資や債務保証のために5,000億ドル、日本円にして54兆円があてられ、中小企業に対しては従業員の雇用対策費として3,500億ドル、日本円で37兆円があてられます。
また個人向けの支援策としては現金の給付が予定されています。
給付額は所得額に応じて変動しますが、大人1人あたり最大1,200ドルが支給され、子供には1人あたり500ドルが支給されることになっています。
例えば子供が2人いる4人家族の場合、最大で3,400ドル、日本円にして35万円が給付されることになります。
米大規模経済支援策の課題
米の大規模経済支援策は構想を発表してからわずか10日で成立させるなど、非常に迅速な対応がされています。
またムニューシン財務長官は、個人向けの支援策である現金の給付は3週間ほどで始められるのではないかと説明しています。
しかし冒頭で記述したように、米国の人口は3億人を超えています。
素早く経済支援策を成立させたのに、給付が行き届くのに時間がかかっては意味がありません。
つまりここで問題になってくるのは、どうやれば早く全ての人に給付できるのかという点です。
Square社が米政府にCash Appを提案
上記のような課題を抱えている米国政府に対し、決済サービス企業であるSquare社のCEO兼会長であり、TwitterのCEOでもあるJack Dorsey氏が、Square社のサービス「Cash App」の利用を提案しています。
画像引用:jack Twitter
人々はすぐに助けを必要としています。
今日のほとんどの人々(銀行口座を持たない人々にも)にお金を稼ぐためのテクノロジーが存在します。
Squareと私たちの仲間の多くはそれを成し遂げることができます。
米国政府、お手伝いさせてください。
引用:jack Twitter Google翻訳
Square社の「Cash App」について
Jack Dorsey氏が米国政府に提案しているSquare社の「Cash App」は、2015年に公開されたモバイル決済・送金アプリです。
「Cash App」を利用しているユーザー同士でP2P取引できるだけでなく、銀行のアカウント間の入金や引き出し機能も備わっています。
また2018年1月にはビットコインを売買できる機能も備えるようになりました。
つまり銀行に行かなくても、米国政府からの支援金を引き出せるだけでなく、ビットコインを購入したり、送金することも可能なアプリということになります。
米財務省と既に協議しているとの報道
Jack Dorsey氏はTwitterで米政府に対して、支援金の支払いに「Cash App」の導入を提案していますが、実際には米財務省と既に導入に関して協議していることがCNNによって2020年3月27日に報道されています。
報道によると、米財務省側も「Cash App」が効率的な決済手段であることを認め、このようなサービスを導入することを前向きに検討しているようです。
ただし米財務省が検討しているのは「Cash App」だけではありません。
CNNの記事タイトルは「VenmoとCash Appは政府の刺激的な支払いを提供したい(Google翻訳)」となっており、「Cash App」以外にも競合他社のアプリ「Venmo」についても検討していることが報じられています。
競合するアプリ「Venmo」について
米財務省が「Cash App」と比較して導入を検討していると報じられている「Venmo」は、銀行口座とスマートフォンさえあれば誰でも使うことができるため、米国の多くの若者に受け入れられている個人間での送金・受金や決済に利用することができる送受金アプリです。
画像引用:App store venmo
「Venmo」は2009年に設立され、2013年にPayPalに買収されました。
決済に際してはクレジットカードだけでなく、デビットカードや銀行口座でも利用できることから、Googleで検索することを「ググる」と表現するのと同様、「Just Venmo me(ベンモしてくれればいい)」と表現されるほど米の若者の間で定着しています。
ただし「Venmo」は、法定通貨のみの送受金アプリであり、「Cash App」のようにビットコインの購入や送受金はできません。
「Cash App」が採用された場合の効果
米財務省が支援金の支払いの受け取り方法として「Cash App」を指定するのか、もしくは「Venmo」を指定するのか、また両方どちらでも使用可能にするのかは分かりません。
しかし、もし「Cash App」が米財務省によって受け取り方法となったとすると、米国民のほとんどの人がビットコインの購入や送受金できる環境が整うということになります。
多くの人々はビットコインに関心があったとしても、実際に購入したり、送受金したことがない人たちでしょう。
それが、いつでも購入できるようなれば、一気にビットコイン需要が高まる可能性があります。
「Venmo」が既に米の若者層に受け入れられていることや、「Cash App」を導入するとビットコインの取引環境まで整えてしまうことなどを米財務省がどう受け止めるのかが、今後の行方を左右するのかもしれません。
まとめ
米政府による個人向けの経済支援策である現金給付の受け取りに関して、ビットコインの売買や送受金ができるアプリ「Cash App」が検討されていることについてご説明しました。
現状では「Cash App」が採用されるかどうかは不明ですが、採用されればビットコイン市場にとっては大きなカンフル剤になる可能性があります。
仮想通貨FXを取引する人にとっては、是非「Cash App」を選んでもらいたいと考えていることでしょう。
それにしても米の経済支援策の成立の早さはもちろんですが、現金給付方法についてここまで検討していることには驚かされます。
日本政府は、米の対応の早さや決断力を見習って欲しいものです。