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どうして仮想通貨リブラはこれほど叩かれるのか?

  • 考察
  • 2019.10.26.

日本では多くの人がSNSを利用しており、FacebookやInstagramを利用している人も多いでしょう。

そんなFacebook(フェイスブック)が何とか実現にこぎつけたいと、現在エネルギーを注ぎ込んでいるのが仮想通貨リブラです。

 

しかしリブラは米議会から非難を受け、G7でも現状のままでは認められないという報告書が発表されています。

特にG7の報告書ではリブラの有用性などを認めているにもかかわらず、規制をクリアしなければ認められないと断言されています。

 

日本で多くの人が利用している、フェイスブックが構想したリブラはなぜここまで非難されるのでしょう。

今回は、どうして仮想通貨リブラはこれほど世間から叩かれるのかを紐解いていきます。

 

G7で現状を否定されたリブラ

2019年10月23日付のニュース記事「G7が認めない仮想通貨とステーブルコイン」でもご説明しましたが、G7のワーキンググループがステーブルコインについての報告書を提出し、議長国のフランスがこの報告書を歓迎することを公表しています。

 

その報告書では、ステーブルコインにはマネーロンダリングやテロ支援資金供与など以外にも決済やプライバシー保護の点などでも危険性があること。

そしてフェイスブックがホワイトペーパーで発表したままの状態で運用を開始すると、各国の金融政策や国際的な通貨システムへも影響が及ぶことを指摘しています。

 

報告書の結論としては、法律や各種規制に対応できるようになるまでは、運用を開始すべきではないと結んでいます。

 

これはすなわち、現状の計画のまま運用を開始することは認めないと明言したということになります。

 

日本と海外とで異なるフェイスブックへの認識

Facebookを利用している人は世界中に多く存在していますが、日本人のFacebookに対するイメージは悪いものではありません。

Facebookを利用していない人は、単に面白くないからなどの理由を挙げているようですが、これはすなわち以前に利用していた経験があるということであり、利用していたものの面白くないからという理由で離脱していったということです。

つまりFacebookや運営するフェイスブックに抵抗感を持っていないということです。

 

しかし海外、特に欧米でのFacebookのイメージは非常に悪いです。

イメージ調査などが実施されているわけではありませんが、多くの人が不信感を抱いているというコメントを発信しています。

 

どうして欧米でのイメージが悪いのでしょうか。

それは過去に何度もFacebook利用者の個人情報が漏洩する事件が起きているからです。

そのためFacebookを利用していると自分の個人情報も漏洩してしまうのではないか、もしくは既に自分の個人情報も漏洩しているかもしれないと不安を抱いているようです。

 

日本はお国柄からか個人情報への危機意識が薄く、Facebookに対しても不信感を抱いている様子が感じられないのが現実です。

 

Facebookの個人情報漏洩事例

ではFacebook利用者の個人情報がどれほど漏洩しているのか、過去の事件をいくつかご紹介しましょう。

 

2013年6月

ワシントンポストなどのメディアによって、Facebook利用者の個人情報が監視プログラムPRISMで米情報機関に把握されていたことが発覚。

 

2013年6月

Android用として提供されているFacebookアプリが、スマホ所有者の許可なしに電話番号を送信しており、フェイスブック側はバグが原因であったことを謝罪。

 

2018年3月

Cambridge Analytica社がFacebookの利用者の個人情報をベースにして、選挙への投票に影響させられるプログラムツールを作成し、当時のトランプ候補支持者に提供して資金を受け取っていたことが発覚。

この時の個人情報は、米を中心としておよそ8,700万人分だといわれています。

 

2018年6月

広告主の日産自動車などに対して、電話番号や利用者の友人情報などを知ることができるようアクセスを許可していたことが発覚。

 

2018年9月

氏名や連絡先、ユーザーネーム、宗教、出身地、居住地、学歴職歴などがおよそ1,400万人分流出。

また氏名と電話番号やアドレスなどの連絡先がおよそ1,500万人分流出。

 

2019年3月

社内調査で、数百万人分のパスワードを暗号化しない平文状態で社内に保管していたことが発覚。

 

2019年4月

利用者の個人情報が、全く保護されていない状態でAmazonのクラウドサーバー上に置かれている、つまり公開されていることが発覚。

この情報にはメキシコのデジタルメディアであるCultura Colectivaの保有するFacebook利用者のアカウント、過去のコメント、いいね!などが5億4,000万件近く含まれており、他にもFacebookに連動しているアプリ「At the Pool」のバックアップデータが入っていたとされています。

Cultura Colectiva

画像引用:Cultura Colectiva

 

なおFacebookにおける個人情報漏洩事例は上記だけではありません。

これ以外にも情報漏洩に関連していくつもの問題が起こっており、書ききれないため、抜粋して紹介しました。

 

ステーブルコインではなくリブラを懸念

G7で歓迎された報告書では、グローバルステーブルコインを全面的に否定しているわけではありません。

その有用性に関しては認める内容になっています。

有用性を認めながらも、どうしてリブラを否定しているのでしょうか。

 

その疑問に答えているのがブロックチェーン技術開発を手掛けるBlockstream社のSamson Mow(サムソン・モー)CSOです。

Blockstream

画像引用:Blockstream

 

Samson Mow氏はコインテレグラフ日本版の取材に対して、規制当局が懸念しているのはステーブルコインではなくリブラについてであり、運営するフェイスブックのプライバシー違反が理由になっているという内容を述べています。

 

加えて、リブラ協会は米国でなくスイスにあるが、実際はフェイスブックが主導的立場にあり、議会としてはフェイスブックに対して疑問の目を向けているということも付け加えて述べています。

 

これを見ると、リブラに問題があるのではなく、リブラを運営するフェイスブックに対する不信感が、G7をはじめとする欧米各国からの否定的な発言につながっているといえます。

 

10.23の公聴会は文句をいう場に

上記のフェイスブックに対する不信感を裏付けるような出来事がありました。

それは2019年10月23日に実施された米下院公聴会の場でのことです。

 

この公聴会は、そもそも仮想通貨リブラに対する疑問や質問をフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOにぶつけ、答えを聞く場だったはずです。

もちろん、リブラに対する質問や意見もありましたが、目立っていたのはリブラとは関係のない質問でした。

例えば以下のような質問が投げかけられました。

 

フェイスブックはワクチン接種を支援する活動をしているが、それはワクチン接種反対派のコンテンツが目立つことのないように規制しているのではないか

 

Facebookには政治広告がUPされるが、来年実施される大統領選挙関連の広告は検証されているのかどうか。

 

リブラを実際に運営するリブラ協会にマイノリティやセクシャルマイノリティは何人存在しているのか。

 

これらの質問はリブラには何も関係ない内容であり、フェイスブックに対する文句のように聞こえます。

しかしこのような質問が公聴会の場で投げかけられるのは、仮想通貨リブラに問題があるのではなく、フェイスブックが全てにわたって不信感を持たれている証拠であるといえるのではないでしょうか。

 

まとめ

仮想通貨リブラがどうしてこれほど世の中から非難され、叩かれるのかという点に焦点をあてて説明しました。

 

フェイスブックはこれまでの個人情報流出のツケを払わされることになっているのかもしれません。

そのためリブラを運用できるようになるには相当のエネルギーが必要でしょう。

 

しかしリブラそのものには、部分的ではありますが、認めてもらえている要素も存在しています。

リブラが世界中の多くの人達にとって有益であるなら、世論に誠実に対応し、不信感の払拭に全力を傾けてもらいたいものです。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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