ブロックチェーン開発者の求人が急増する米国
- 仮想通貨関連
- 2019.06.11.
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アメリカでブロックチェーン開発者の求人が急増しています。
仮想通貨の普及と注目度の高まりによって、仮想通貨の基幹技術であるブロックチェーン技術に対して注目が集まっていることは、想像に難くありません。
それに伴い、ブロックチェーン関連技術開発者の求人数も大きく増加しているわけです。
どのくらい求人が増え、どの地域の採用が増えているのかだけでなく、どんな業種での求人が増えているのかなども調べてみました。
これらが分かると、今後どのジャンルでのブロックチェーン技術の応用が広がっていくのか、また仮想通貨に対する取り組み姿勢や使途拡大についても知ることができるはずです。
そして、これらの動きが仮想通貨の値動きにも影響してくることは間違いありません。
知っておいて損のない情報といえるでしょう。
ブロックチェーン開発者の求人は5年間で33倍に高騰
画像引用:linkedin-2018-emerging-jobs-report
ビジネスソーシャルメディアであるLinkedInが2018年12月に公開した資料「LinkedIn’s 2018 U.S. Emerging Jobs Report」で明らかにしたデータによると、アメリカにおけるブロックチェーン開発者の求人数は、2014年~2018年の間で33倍に膨れ上がりました。
このレポートは、米国において最も成長している職種およびスキルを掲載したもので、ユーザーがキャリア構築の参考にできるよう公開されているものです。
2017年のレポートでは、AI需要の高まりを受けて「機械学習エンジニア」が求人増加率のトップとなっていました。
「機械学習エンジニア」の2017年の求人伸び率は6年間で12倍だったのですが、今回のブロックチェーン開発者の求人伸び率は、その約3倍となる33倍を記録。
ブロックチェーン開発者の需要が急速に高まったことがお分かりいただけると思います。
なお、今回のレポートにおいても、「機械学習エンジニア」の求人伸び率はブロックチェーン開発者に次ぐ2位となっており、需要増加のトレンドを維持しています。
ブロックチェーン開発者の需要増加のトレンドが2019年においても維持されるかどうかは、今後明らかになるでしょうが、おそらくこの傾向は続くのではないでしょうか。
ブロックチェーン関連の求人数が1年で4倍に増加
画像引用元:rise-in-bitcoin-jobs-Glassdoor
企業口コミサイトである米Glassdoorによると、2018年のブロックチェーンの求人数は2017年に比べて4倍に増加しています。
2017年の8月には446件しかなかったブロックチェーン関連の求人数が2018年8月の時点で約4倍の1775件に増加しています。
2018年といえば、ビットコインの価格が8割近く失われた年でしたが、大幅な下落があったにもかかわらずブロックチェーン開発者の求人が高まったことがわかります。
これは企業側がブロックチェーン技術は応用可能であると考えていること、そして仮想通貨そのものが今後拡大する可能性があると認識しているとも考えられます。
ブロックチェーン開発者の求人地域
ブロックチェーン技術者の求人地域はどういったところなのでしょうか?
企業口コミサイトである米Glassdoorの調査データを元に解説します。
採用地域で最も多いのはニューヨーク
アメリカにおけるIT系の求人というと、アップルやGoogle、Facebookがあるシリコンバレーを思う浮かべる方が多いと思います。
ブロックチェーン関連の求人で最も多い採用地域は、やはりシリコンバレーなのでしょうか?
実は、そうではありません。
Glassdoorによると、ブロックチェーン関連の採用地域のうち、トップ24%を占めたのがニューヨークでした。
求人最多地域がニューヨークだったのは、様々な金融機関でブロックチェーン技術が採用されたり研究されたりしていることが背景にある可能性があります。
ニューヨークにはウォール街があり、金融関連の企業が多いことで知られています。
2番目の最多求人地域はサンフランシスコ
ブロックチェーン関連の求人地域で、ニューヨークに次いで多かったのは、21%を占めたサンフランシスコです。
サンフランシスコでは、Goolgeやアップル、facebookが拠点とするシリコンバレー地域があり、さまざまなハイテク企業の本社が集まっています。
アメリカ以外での求人最多都市はロンドン
Glassdoorによると、アメリカを除いた国際都市でブロックチェーン開発の求人が最も多かったのは、ロンドンでした。
画像引用:rise-in-bitcoin-jobs-Glassdoor
そして、シンガポール、トロント、香港と続いています。
アメリカでは、金融業が盛んなニューヨークやハイテク産業が盛んなサンフランシスコでの求人が最も多かったですが、他の国においても同様の傾向が見られます。
ロンドンやトロントは国際金融都市としての印象が強く、シンガポールや香港はハイテク産業が盛んな地域です。
世界規模においても、金融とハイテク産業においてブロックチェーン関連の求人が増加しているようです。
なぜ金融業でブロックチェーン開発が進んでいるのか
なぜ金融業でブロックチェーンの開発が増加しているのでしょうか?
それは、
- 業務のスピードアップ
- 透明性の向上
- 人件費コストの削減
が大きな理由です。
業務のスピードアップでは、これまで人を介していた作業を、ブロックチェーンを使うことで自動的に行えるようになります。
例えば、世界的保険企業アリアンツSEでは、飛行機の遅延などで発生する旅行損害保険について、支払い条件が満たされるとブロックチェーンのスマートコントラクト機能を用いて支払いを自動化する仕組みをテストしています。
従来、人の手で処理していたものを自動化することができるわけですから、人件費の削減につながります。
また、金融業では「不正がないこと」が求められますが、ブロックチェーンは一度情報が刻まれると改ざんできないことが特徴です。
この「透明性をもたせる」という点で非常に金融業とブロックチェーンは相性がよく、ブロックチェーンの活用が金融業で進んでいるようです。
例えば、スペインのビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行では、融資の情報をブロックチェーンプラットフォームに記録することで、改ざんを防いでいます。
ブロックチェーン開発求人が多い企業
仮想通貨メディアHARD FORKによると、Glassdoorに掲載されている世界中の企業の中で、ブロックチェーン開発の求人が最も多い企業はIBMでした。
画像引用:blockchain-jobs-glassdoor-employment
2位はロンドンに拠点を置く世界的会計企業アーンスト・アンド・ヤング(EY)、3位はデータベースソフト開発企業Oracleとなっています。
IBMはブロックチェーン技術を使った製品開発に力を入れていますし、EYにおいてもブロックチェーンを活用した会計システムを開発することが報じられています。
ランキングの中段あたりを見てみると、ブロックチェーン開発を主体とするConsenSysやリップルを開発するリップル社などが見られます。
注目すべきは、このトップ20社のうち、ブロックチェーンや暗号通貨を事業主体とする企業は半数以下であり、これらと異なる事業を主体とする企業の方が、ブロックチェーン開発者をより多く求めていることがわかります。
これはすなわち、ブロックチェーン技術の裾野が広がりを見せているということではないでしょうか。
国別のトップはアメリカ
Glassdoorにある5,711のブロックチェーン関連の求人のうち、雇用主となった企業の約半数はアメリカ企業でした。
次いでイギリス、3位はインドとなっています。
ただし、これらのデータは英語圏での求人を求めるGlassdoorの情報を元にしていますので、言語の制限なしでみたときには結果が変わるかもしれません。
世界的コンサルティング企業PwCが2018年に行った調査によると、2021年~2023年には、中国がアメリカを抜いてブロックチェーン開発の世界的なリーダーになると確信している人が最も多かったようです。
中国では、仮想通貨取引やマイニング自体は禁止されていますが、ブロックチェーン関連技術の開発は禁止されておらず、現在も有望視されているプロジェクトは多く存在しています。
まとめ
アメリカにおいてブロックチェーン開発の求人が急増したことは、ブロックチェーンが企業の業務を大きく改善させる効果がある技術だと評価されている表れでしょう。
ブロックチェーンを使った業務改善が進むことで、さらにブロックチェーン開発の求人が増える可能性が十分にあります。
日本においても、その余波がやってくる日は遠くないかもしれません。
そしてブロックチェーン技術の開発は、仮想通貨そのものの信頼性を高めると同時に、より多くの人に存在を印象付けることにもなるはずです。
そしてその時、仮想通貨の価格はどうなっていくのでしょうか。
ブロックチェーン技術の拡大にも注目し続ける必要があるようです。