Bybit(バイビット)に追証がない理由とは
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- 2020.10.02.
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- Bybit(バイビット)に追証がない理由とは
日本と海外の仮想通貨FX取引所であるBybitとの大きな違いのひとつに追証があるかどうかが挙げられます。
日本の全ての仮想通貨FX取引所では追証が必要ですが、Bybitには追証は全く必要ありません。
そもそもBybitに追証という概念が存在していないのです。
ではBybitにはどうして追証が必要ないのでしょうか。
いったいどういう仕組みになっているのでしょう。
また、日本の仮想通貨取引所とこれほど違う理由とはどういうものなのでしょうか。
これらのことに関して、詳しくご説明しましょう。
目次
追証とはどういうものか
国内の仮想通貨FX取引所で採用している追証とは「追加証拠金」の略称です。
口座に入れてある残高では足らなくなってしまうほど損失が出た場合、その損失分を仮想通貨FX取引所に追加で支払わなくてはならないというものです。
つまり、仮想通貨FX取引所に対して借金を負うのと同じ意味になります。
Bybitに追証がない理由
冒頭でご説明したように、Bybitでの取引においては、どのような場合でも追証は必要ありません。
相場がポジションとは逆行し、最悪のケースでも証拠金を全て失うだけで済み、追証を支払う必要がないのです。
ではBybitはどのような仕組みを取り入れているのでしょうか。
Bybitでは、相場がポジションと逆行し、現在のポジションを維持するのに必要な最低限の証拠金が維持証拠金額に達してしまうとポジションを強制決済しますが、その際に2段階の損失を補てんする過程が用意されているのです。
そのため、トレーダー自身が損失を負わないようになっています。
第1段階である保険基金による補てん
Bybitではポジションを強制決済する際、特定の計算式に基づいた「破産価格」を算出しています。
強制決済されたポジションの最終強制決済価格が、計算された「破産価格」よりも低くなっていた場合には、保険基金から低くなった差額分を補てんすることになっています。
なお、最終強制決済価格が計算された「破産価格」よりも高くなっていた場合には、破産価格までの差額分を保険基金に蓄えることになっています。
すなわち保険基金の財源は、強制決済されたトレーダーから捻出されているということになります。
保険基金の財源はこのように捻出されているため、どんな状態でも潤沢に財源が確保できるとは言い切れません。
万が一、保険基金が枯渇してしまったタイミングで、保険基金からの補填が必要なケースが出てきた場合には、第二段階のADLシステムに移行します。
破産価格の算出方法
破産価格の算出方法は分離マージンか、クロスマージンかによって異なり、その中でもロングポジションか、ショートポジションかによっても異なります。
分離マージンの破産価格計算方法
- ロングポジション
参入価格×レバレッジ/(レバレッジ+1) - ショートポジション
参入価格×レバレッジ/(レバレッジ-1)
クロスマージンの破産価格計算方法
- ロングポジション
1.00075×契約数/(契約数/平均参入価格)+(資金残高-注文証拠金) - ショートポジション
0.99925×契約数/(契約数/平均参入価格)-(資金残高-注文証拠金)
第2段階となる保険基金が枯渇していた場合のADLシステム
保険基金では損失を補てんできない場合にのみ、ADL(自動デレバレッジ)システムに移行します。
Bybitでは全利用者を、レバレッジや利益率などから常にランキングしており、ADLシステムの対象者はランキング最上位で、なおかつ強制決済されたポジションと逆のポジションを保有しているトレーダーとなります。
そしてADLの対象となったトレーダーが保有している契約を解除し、強制決済されたポジションの損失分を補います。
つまり強制決済された注文の破産価格で、ポジションが解除されることになるわけです。
なお、自分のADLランキングがどうなっているのかは、ADLランキングタブから確認することができます。
画像引用:Bybit
ADLシステムが発動された痕跡は見あたらない
上記のように、保険基金で損失を補てんできなくなった場合にはADLシステムに移行するよう準備されているとご説明すると、保険基金は常に枯渇気味で、ADLシステムが頻繁に発動するかのような印象を持つかもしれません。
Bybitの公式サイトでは保険基金の残高を毎日公開しており、Bybitが開設された日からこれまでの全ての残高がエクスポートできるようになっています。
誰に対してもオープンにされているわけです。
画像引用:Bybit
実際にデータをエクスポートして全ての保険基金残高を確認してみましたが、保険基金が枯渇したデータは見つけられませんでした。
それどころか保険基金残高はほぼ毎日増えており、残高が減っていたのは2020年3月13日から14日にかけての1回のみしか発見できませんでした。
なお、この日は新型コロナウイルスの感染拡大によってビットコイン価格が一気に半分近くまで下落したタイミングでしたが、その時にも枯渇したような痕跡は認められませんでした。
以下はエクスポートしたデータの中から、保険基金残高が減った日を中心に、前後のデータを抜粋したものです。
日付 | 通貨 | 保険基金残高 |
2020-03-17T00:00:01.000Z | BTC | 1314.759422 |
2020-03-16T00:00:01.000Z | BTC | 1298.149579 |
2020-03-15T00:00:01.000Z | BTC | 1288.372572 |
2020-03-14T00:00:01.000Z | BTC | 1280.584962 |
2020-03-13T00:00:00.000Z | BTC | 1310.058140 |
2020-03-12T00:00:02.000Z | BTC | 1283.708280 |
2020-03-11T00:00:02.000Z | BTC | 1276.912145 |
2020-03-10T00:00:02.000Z | BTC | 1272.480083 |
2020-03-09T00:00:02.000Z | BTC | 1258.420789 |
データ引用:Bybit
BybitはADLシステムが過去に発動したかどうかを公表はしていませんが、保険基金残高のデータをみている限りでは、おそらく過去に一度も発動していないと考えられます。
保険基金が有効に働いているため、ADLシステムを発動させる必要がないのでしょう。
すなわちADLランキングで上位にランキングされていたとしても、他のトレーダーが強制決済された際に、自分の保有しているポジションが解除されるケースはまず起きないであろうということです。
国内仮想通貨FX取引所で追証が必要になる理由
一方、追証が必要である国内の仮想通貨FX取引所には、ロスカットという証拠金維持率が一定の基準を下回ってしまうとポジションを強制的に決済する仕組みがあります。
証拠金維持率は75%など、口座残高以内に収まるように設定されているため、ポジションから逆行しても本当なら損失は出ないはずです。
しかし実際には損失が出てしまい、追証が必要になるケースもあります。
ロスカットがあっても損失を負ってしまうケースとは
ロスカットが設定されているにもかかわらず損失が出てしまい、追証が必要になるとはどのようなケースなのでしょうか。
それは仮想通貨の値動きとレバレッジが関係してきます。
価格が一気に動いた場合
仮想通貨は値動きの激しさ、つまりボラティリティの大きさが特徴であり、だからこそ仮想通貨FXで短時間に大きな利益を出すことができるわけです。
しかしその値動きがあまりにも早すぎる場合にはロスカットが追い付かず、ロスカットされた時には口座残高以上の損失が出てしまっているということです。
レバレッジを掛けた場合
仮想通貨FXではレバレッジ取引が一般的であり、例えばレバレッジ4倍で取引するとポジションが逆行した場合は損失額も4倍になります。
すなわちレバレッジの倍率を高くすると、それだけ早くロスカットされる確率が高くなるということです。
さらに値動きが一気に大きく動いた場合であれば、ロスカットは到底追いつかなくなってしまい、口座残高以上に損失は膨らんでしまいます。
日本の法律では損失を補てんできない
前項でご説明したように、国内の仮想通貨FX取引所ではいくらロスカットを設けていても、損失が出てしまうケースがあります。
ではBybitのように保険基金などを設ければ解決するのにと考えてしまいますが、日本の法律では損失を補てんすることは許されていません。
金融商品取引法の第三十八条と第三十九条で、金融商品取引業者等が「顧客の損失の全部若しくは一部を補てん」する行為は禁止と明記されています。
Bybitの保険基金やADLシステムは、Bybitが損失を補てんしているわけではありません。
あくまでもBybitを利用しているトレーダーによって捻出されています。
しかし日本の金融商品取引法では、損失分を「第三者に提供させる行為」も禁止されています。
つまりBybitの保険基金やADLシステムは、損失を出した本人以外の第三者による補てんの提供となってしまうため、日本では実施することはできないのです。
Bybitと国内仮想通貨FX取引所との考え方の違い
Bybitには追証という考え方が存在せず、損失はあくまでもBybitを利用しているトレーダー全員でカバーし合う形になっています。
保険基金は強制決済されたポジションの破産価格との差額が財源となっており、それで足らないようなら最も大きな利益が出る可能性の高いトレーダーに補てんしてもらうわけです。
すなわちトレーダー個々を保護する考え方に基づいた仕組みになっています。
一方、国内の仮想通貨取引所は法律によって規制されているため、損失を補てんすることができません。
日本の金融商品取引法は、トレーダー個々を保護するというよりも、仮想通貨FX取引所などの金融商品を扱う業者を保護する考えに基づいています。
業者を保護しなくては、万が一この業者が破綻した場合、ここに大金を預けている多くのトレーダー全員が被害にあってしまうため、それを避けることを目的としているわけです。
このようにBybitと国内の仮想通貨FX取引所にはトレーダー保護の考え方に違いがあります。
追証なしのシステムはハイレバレッジに有利
Bybitと国内の仮想通貨FX取引所ではトレーダー保護の考え方が異なるため、追証の有る無しがありますが、Bybitの追証がないシステムは仮想通貨FXを取引するトレーダーにとっては大きな安心材料となるはずです。
特にBybitでは最大100倍のレバレッジを掛けることができるため、国内仮想通貨FX取引所の最大2倍のレバレッジとは比較にならないほど、少ない証拠金で大きな取引ができます。
もちろんハイレバレッジを掛けると、ポジションから少し逆行しただけでも強制決済される可能性が高くなります。
しかし、追証がないということはハイレバレッジを有利に活用できる環境が整っているともいえるでしょう。
まとめ
Bybitに追証がない理由と、国内の仮想通貨取引所における追証について、さらにハイレバレッジを掛ける場合には追証がない方が有利であることについてご説明しました。
2021年には、国内の仮想通貨FX取引所のレバレッジは全て2倍に統一される予定になっています。
さらにBybitが今後日本市場を本格的に取り込むため、日本の法律に準拠するよう仕組みそのものを変更してしまう可能性もあるでしょう。
これらを考え合わせると、最大100倍のハイレバレッジを掛けられるBybitで取引できる今が大きく利益を得られるチャンスかもしれません。