米の関税措置がビットコインを金融ツールに変貌させ価格も上昇?
- ビットコイン
- 2025.04.12.
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- 米の関税措置がビットコインを金融ツールに変貌させ価格も上昇?
米トランプ政権が発表した各国に対する関税措置の影響はとどまることを知らず、特に中国に対しては計145%という関税を課すことを発表していました。
これに対して中国側は米国に対して125%の関税を課すことを発表するなど、貿易戦争は激化する様相を呈してきましたが、トランプ政権は4月9日に関税上乗せを90日間停止することを発表しました。
この一時停止の背景には米国債が投げ売り状態に陥っており、それに伴って長期金利が急上昇したことに加え、ドル安にもつながったためだと指摘されています。
このような状況が、これまで投機資産的だったビットコインを金融ツールに発展させ始めているといわれており、さらに2025年の年末に向けて価格も大きく上昇するとの説も報道されています。
これらのことに関して、詳しくご説明しましょう。
米の関税措置に対する中国の報復措置
米トランプ政権が発表した関税措置は世界中で大きな問題となっており、特に中国とは貿易戦争的な動きになっています。
2025年4月9日、中国からの輸入品に対する関税を104%に引き上げると発表すると、中国は米国からの輸入品に対する関税を34%から84%に引き上げると発表しました。
この中国の発表に対し、米国は145%にまで引き上げると発表。
すると中国側も125%に引き上げると発表するなど、まさに関税の引き上げ合戦の様相を呈しています。
相互関税による米国債とドル安で関税90日間停止
今回の米国による相互関税発表によって、米金融市場では米国債が投げ売りされ、ドル安も急速に進むことになりました。
米国債が投げ売りされることで長期利が急上昇したことに慌てた米政府は、相互関税の実施を90日間停止することを発表したものの米国債の売りは止まらず、ドル安も進んでおり、投資家の米資産離れが顕著になりつつあります。
世界で最も安全な金融資産であるとされてきた米国債は、世界の市場において不安材料がある時にでも買われやすい特徴がありましたが、それが投げ売りされ続けると米国債の地位が揺らぐのではないかともいわれています。
トランプ政権の関税措置が年末までにビットコインを20万ドルにする可能性
トランプ政権が実施しようとしている関税措置がビットコインに対してプラスに働き、2025年の年末までにビットコイン価格は20万ドルに達する可能性があることを、仮想通貨投資会社Bitwise(ビットワイズ)のCIO(最高投資責任者)であるMatt Hougan(マット・ホーガン)氏が、2025年4月9日付の同社のブログ記事で語っています。
マット・ホーガン氏は、2024年12月にも2025年の年末までにビットコイン価格は20万ドルに達する可能性を主張していましたが、この可能性は十分ありうると説明しています。
それは、トランプ政権の関税措置とは、米ドルの世界における基軸通貨の地位を失ってもドル安にしたいからであり、基軸通貨としての位置づけが為替のゆがみや貿易赤字につながっているからだとも主張しています。
つまりドル安にすることで、為替のゆがみや貿易赤字が解消されると説明しているわけです。
実はこの主張は、2025年4月7日に米国で開催されたCEA(米大統領経済諮問委員会)に於いて、Steve Miran(スティーブ・ミラン)委員長が主張したものと同内容であり、マット・ホーガン氏はその内容を引用していました。
そしてドル安になることは、ビットコインにとって好材料となりうることも主張しています。
下の画像はビットコイン(BTC/USD)と米ドルの価格の推移を比較したグラフです。
米ドルが下がればビットコイン価格が上昇し、米ドルが上がればビットコイン価格が下落していることがはっきりと分かります。
画像引用:MacroMicro
さらに、現在世界各国や企業が国際取引をする際、米ドルを使用しているのは、それが基軸通貨として安定しているからであり、もしその安定性がない、つまり米ドルが世界の基軸通貨でなくなれば、米ドルに代わる資産に対する需要が高まることになる。
すなわちビットコインや金など、米ドルの代替的な準備資産への需要が高まるはずだと主張しているわけです。
そして、これらのことから、2025年の年末までにビットコインは20万ドルにまで達する可能性が十分あると説明しています。
関税措置が既にビットコインの地位を高めつつある
トランプ政権の関税措置は貿易における緊張状態をつくり出しただけでなく、金融や地政学上のリスクを高めることにもつながっていきます。
また別の見方をすれば、貿易や金融インフラを武器として利用しているとも言えます。
このことについて、ニューヨークに本社を置く投資管理会社VanEckのデジタル資産研究部門の責任者であるMatthew Sigel(マシュー・シーゲル)氏が、同社のWebサイト内で、トランプ政権の関税措置がビットコインの存在感を高めているとの説を公表しました。
画像引用:VanEck
マシュー・シーゲル氏は中国やロシアなどの実例を示しながら、ビットコインは投機資産から金融のツールに変貌しつつあると説明しています。
例えば、中国とロシアがエネルギー取引を決済する際にはビットコインなどのデジタル資産を使い始めており、他にもボリビアでは仮想通貨での電力輸入計画を既に発表していること。
さらにフランスでは、国有企業がドイツに電力を輸出する際の余剰電力を使ってビットコインマイニングを検討していることなどを挙げています。
そしてビットコインがこれまでの投機的資産としての位置づけだけでなく、金融ツールとして変貌しつつあることに加え、この変貌が米国から距離を置きたいと考えている国で特にその傾向が強いことも説明しています。
まとめ
トランプ政権が発表した関税措置がビットコインに与える影響として、これまでの投機的資産としての位置づけから、金融ツールとしての役割を担うようになりつつあること。
さらに位置づけが変貌することで、価格が大きく上昇する可能性についても言及しているニュースをご紹介しました。
ビットコインの位置づけが変化するとともに、価格も大きく上昇することは仮想通貨を取引する人にとっては非常にありがたいことだといえます。
ただ、世界の基軸通貨であった米ドルがその地位を失うということは、米国そのものの地位も失う可能性があるはずです。
米国はこれまで世界の警察として存在しており、良くも悪くもその力は世界中に影響していましたが、もしその影響力を失った時にはどのような世界が訪れるのでしょうか。
世界規模での混乱や戦争などが起こる可能性はないのでしょうか。
今回ご紹介したニュースは、ビットコインのことだけに焦点を当てた内容のものですが、もし世界的な混乱や戦争が勃発したとすれば、ビットコインはどうなってしまうのでしょう。
もちろん、そのようなことは起こって欲しくありませんが、ビットコインに期待すると同時に、大きな変化に少なからず不安を感じさせる内容だともいえるでしょう。