コロナ対策の財政支援がビットコイン価格を押し上げ?
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- 2020.03.21.
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- コロナ対策の財政支援がビットコイン価格を押し上げ?
新型コロナウイルスの猛威は世界中に広がり、外出禁止令が発令される国が出てくるなど、大きな混乱が生じています。
これにより、普段通りの経済活動すらままならなくなっているのが実情です。
企業は通常の営業をできず、その結果、運営そのものも苦しくなってきているところも多く存在しています。
このような実情に対し、諸外国では財政支援を打ち出しており、例えば米ではトランプ大統領が100兆円を超える大規模な経済対策を検討しているとも伝えられています。
しかし大規模な財政支援をおこなうと、それがインフレにつながるとも言われていますが、その一方で、インフレはビットコイン価格を押し上げるとの見解が報道されています。
インフレがビットコインを押し上げるとは、どのような構造なのでしょうか。
このニュースについて、詳しくご説明しましょう。
財政支援によるインフレがビットコインの好機
本サイトの人気ランキングでも2位に位置する、世界三大仮想通貨取引所であるBitMEXが、新型コロナウイルスは金融市場に大きな影響を与えているものの、それに対応する財政支援策が、ビットコインのこれまでにない好機につながる可能性があるとのレポートを公表しました。
画像引用:BitMEX blog
「Inflation Is Coming(Google翻訳:インフレが来ています)」と題されたレポートによると、新型コロナウイルスによって低迷する金融市場の暴落は、2008年に起きた金融危機以来の非常に大きな混乱だと位置づけています。
そして注目すべきは、このことを解決するために政府や中央銀行などによる金融緩和政策や財政支援策が多発し、これによってインフレが顕著になるというものです。
レポートではインフレについて、これまでの30年、低い水準で安定して継続されていたために世の中はそのリスクを忘れてしまっている。
どういう風にインフレが出現するのか予想できないものの、ある日突然、経済面だけでなく文化面においてもショックが訪れると述べられています。
そして今後訪れるであろう状況は、1970年代に起こっていたインフレ率15%に似た様相だと予測しています。
インフレがビットコイン最大の好機
レポートでは、新型コロナウイルスによって多発する金融緩和政策や財政支援策が引き起こすインフレによって、ビットコインはこれまでで最大の好機を迎えるだろうと記述されています。
ビットコインは2020年のコロナウイルスのクラッシュで、投資家が米ドルに競い合ったため、53%近く(ピークから谷まで)クラッシュしました。
これは多くの点で避けられませんでした。
ビットコインの価格が輝く可能性があるのは、クラッシュへの対応によるインフレの不安定な後遺症です。
私たちの見解では、この変化した経済体制では、経済と金融市場がゆるやかに設定されており、重要なアンカーはまったくなく、インフレターゲティングさえも、それはビットコインが短命で見た最大のチャンスである可能性があります。
引用:BitMEX blog Google翻訳
インフレがビットコインに好機を招く理由
BitMEXはレポートで、経済的危機を回避するために多発される金融緩和政策や財政支援策によってインフレが起こり、それがビットコインの好機につながると説明していますが、それはどうしてなのでしょう。
金融緩和政策や財政支援策によって政府からの支出が過剰になり、多くの法定通貨が出回ることになりますが、これは通貨の価値を下げることにつながってしまいます。
つまりインフレ状態に陥りかねないということです。
法定通貨は国の政策によって幾らでも発行することができますが、ビットコインはそうはいきません。
マイニングをしなければビットコインを作り出すことはできず、しかも発行枚数の上限は2,100万枚と決められているため、供給量に限りがあります。
これはすなわちビットコインには、法定通貨と真逆のデフレ属性があるということです。
そのためインフレ状態が進むと、それに反応するようにビットコインの価値が上昇していくと考えられるわけです。
金よりも資産価値が高まる可能性
新型コロナウイルスによる世界的な景気の後退は、仮想通貨や株などだけでなく、有事の際の安全資産といわれたGOLDの価格まで下落させてしまいました。
しかし以下の金現物3ケ月チャート内にある赤丸の部分をみると、一度大きく下落してから再び価格が高騰し、過去最高価格を記録しています。
画像引用:BullionVault 金地金USD 3ケ月チャート
この値動きは、資産家がGOLDに資産を避難させたことや米ドルの価値が下落したためと考えられます。
しかし現在は、世界的に基軸通貨として通用する米ドルを買い集める動きが強まっており、米ドルの価値が高まりつつありますが、GOLDの価格はそれほど上昇していません。
またGOLDには価値はあるものの、通貨としての機能は持ち合わせていません。
すなわちインフレになった時に役立ちにくいという側面も持っているのです。
しかしビットコインは通貨として通用する場面や場所も増えてきています。
つまり資産として、そして通貨としても通用するという強みがあるわけです。
これはGOLDよりも、明らかに保有する意味があるといえます。
財政支援の実例
インフレ状態に陥りかねないとは言うものの、金融緩和政策や財政支援策などを実施しなければ、多くの人々が困難に陥ってしまいます。
実際にどの国で、どのぐらいの額の支援策が実施されている、もしくは実施しようとしているのか、実例をご紹介しましょう。
- イタリア
多くの感染患者と死者を出しているイタリアでは、2020年3月5日に75億ユーロ(約8950億円)の経済刺激策を決定していましたが、3月11日に追加対策として250億ユーロ(約2兆9,500億円)を投入することを決めています。
- アメリカ
2020年3月17日、トランプ大統領とムニューシン財務長官が記者会見をおこない、経営が悪化している企業に対する資金支援や休業している人々のための納税猶予なども含め、1兆ドル(約100兆円)の経済対策を検討していることを発表しています。
- イギリス
新型コロナウイルス感染拡大の対策として、2020年3月20日にイギリス国内のレストランやカフェなどの飲食店を閉店するよう求めるとともに、飲食店従業員だけでなく、企業の従業員の雇用を守るために月額2,500ポンド(約32万円)を上限として、従業員賃金の80%をイギリス政府が持つことを発表しています。
財政支援策の実施は各国に拡大の可能性
新型コロナウイルスの感染は世界中に拡大しているため、その対策として財政支援策を実施する国や規模は、今後もっと広がっていくはずです。
そしてこの財政支援策が広がっていけばいくほど、インフレに陥ってしまう可能性が高くなっていきます。
特に世界経済に大きな影響力のあるアメリカで、もし1兆ドル(約100兆円)もの対策が実施されれば、もちろんそれだけの効果は期待できるものの、インフレに傾く影響力も大きいといえます。
まとめ
世界中に感染エリアが拡大し、患者数や死亡者数も増えている新型コロナウイルス対策のために必要な財政支援策が、結果的に経済をインフレに導き、さらにビットコイン価格を押し上げる可能性についてご説明しました。
本来であれば、ビットコインの価値を正しく認めてもらったうえで価格が上昇していくべきなのかもしれませんが、それでも価格が上昇することで、多くの人にビットコインの本質を知ってもらえるのは喜ぶべきことなのかもしれません。
今後のビットコイン価格の動きはもちろんですが、各国がおこなう財政支援策についても注意しておく必要があるでしょう。