ビットコイン下落原因はコロナと原油価格以外にもある?
- ビットコイン
- 2020.03.11.
- ニュース
- ビットコイン下落原因はコロナと原油価格以外にもある?
2020年2月末頃から大きく下落しているビットコイン価格は、一時78万円台にまで落ち込みましたが、2020年3月10日23時点で84万円台を推移しており、やや落ち着いた感があります。
ビットコイン価格がここまで下落した背景には、新型コロナウイルスによる世界経済への影響だけでなく、タイミングを同じくして顕在化してきた原油価格の低下などがあるとされています。
このことは2020年3月10日のニュース記事「コロナウイルスと原油下落で急下降したビットコイン価格」でもご説明しました。
しかしビットコイン価格がここまで下落したのは、コロナウイルスと原油価格の下落だけなのでしょうか。
他の原因が重なっていることはないのでしょうか。
実はPlusTokenによる詐欺と、ヘッジファンドを清算したことに原因があるとの説が浮上してきています。
この2つの説について詳しくご説明しましょう。
2020年3月10日のビットコイン価格
2020年3月9日、もともと下落傾向にあったビットコイン価格が大きく下落し、一時は78万円台にまで落ち込みました。
しかし翌10日にはやや持ち直し、23時ごろには84万円台を推移しています。
大きく価格が下落した背景には、新型コロナウイルスによる株価の下落や経済の先行き不安などに加え、原油価格の下落があるとされています。
画像引用:tradingview BTCJPY1ヶ月チャート
コロナと原油価格以外の下落理由
今回のビットコイン価格の下落の原因は、果たして新型コロナウイルスによる世界的経済不安と原油価格下落だけだったのでしょうか。
それ以外の原因としてPlusTokenの詐欺と、ヘッジファンドの清算があると指摘されています。
このそれぞれについて説明します。
PlusToken詐欺犯によるビットコイン売却
仮想通貨取引所CoinSwitchのCEOであるAshish Singhal氏が語ったところによると、今回のビットコイン価格の大幅下落は、PlusTokenの詐欺によるビットコイン売却が影響しているではないかとのことです。
PlusToken詐欺とは、PlusTokenのウォレットに仮想通貨を預け入れると、預けた仮想通貨額に応じて配当がもらえ、1ヶ月で10%の配当になるとの触れ込みで顧客を募っていたものです。
しかしPlusTokenに出資された20億ドルの仮想通貨は2019年8月、首謀者らによって騙し取られてしまいました。
被害の内訳は18万BTCと640万ETH、11万1000USDTです。
首謀者らは2019年9月に逮捕されましたが、全員の逮捕に至ったわけではなかったようです。
騙し取られた仮想通貨はその一部が2019年8月に現金化されており、その際にはビットコイン価格の下落に影響していたといわれています。
また逮捕に至っていない犯人は、2019年11月の時点でまだ20,000BTCを持っているとされていました。
13,000BTCが現金化に向けた動き
犯人グループは残っていた20,000BTCのうち、13,000BTCを2020年3月7日にミキシングサービスに移動させたようです。
ミキシングサービスは仮想通貨の資金洗浄に多く使われる手口で、仮想通貨を小さなトランザクションに分けて、違うトランザクションを混ぜることで出どころを分かりにくくしたうえでアドレスに送るサービスのことです。
すなわち、ミキシングサービスで13,000BTCを資金洗浄したということであり、現金化することを視野に入れて動いたということになります。
このことは、Ergo ReseachがTwitterで指摘しています。
ただPlusToken詐欺の犯人の残党が、ミキシングサービスをしたビットコインを売却したのかどうかまでは分かっていません。
もし売却されていたとするならば、ビットコイン価格に対して直接な影響があったと考えられます。
また仮に売却されていなかったとしても、13,000BTCものビットコインがいつでも売却できる状態になったということは、ビットコイン市場にとっては大きな圧力となってのしかかり、結果的に価格下落の要因になったと考えられます。
ヘッジファンドのポジション清算
PlusToken詐欺犯によるビットコイン売却以外にビットコイン価格下落要因として語られている説として、ロングポジションのヘッジファンドによるポジション清算が挙げられています。
このことを主張しているのは、米の大手銀行であるゴールドマンサックスで幹部経験があり、現在は投資会社Global Macro Investor社のCEOであるRaoul Pal氏です。
画像引用:Raoul Pal Twitter
Raoul Pal氏によると、ヘッジファンドの中でもビットコインのロングポジションに関連するもの全てをいったん清算する必要があり、それがビットコイン価格の下落につながっている可能性があると指摘しています。
すなわち、資産のポートフォリオにビットコインなどの仮想通貨を加えることが定着してきている現状から、総資産のボリュームが増えてきた場合にはVAR(予想最大損失額)を意識せねばならず、ボラティリティの大きなビットコインのリスクを少しでも軽くしなければならないことを説明しているわけです。
投資は不確実なものではあるものの、確実性を高めるためにはリスク管理が非常に重要です。
そしてVARに沿って考えると、価格が大きく変動した場合にはポートフォリオの中からその変動している資産の比率を下げる(この場合は売却)することがリスク管理につながるため、現在はビットコインに売りが集中していると主張しているのです。
これ以外にもRaoul Pal氏は、前述したPlusToken詐欺犯によるビットコインのミキシングサービスへの移動についても、ビットコインの売り圧力につながっている1つの要因だと述べています。
Raoul Pal氏が考えるビットコインの今後
投資戦略家であり、2013年以降ずっとビットコインを支持しているRaoul Pal氏は、Twitterでビットコインの今後についても言及しています。
これは購入の機会ですが、急ぐ必要はありません。
市場での現在の出来事は、時間とともに新しい金融システムの必要性を加速させます。
これがどこにつながっているかを知っています-デジタル革命。
つまり、今焦ってビットコインを買い急がなくても良く、現在の仮想通貨市場における暴落は金融システムそのものが変わっていく契機となることを述べているのです。
まとめ
ビットコイン価格下落の要因として、新型コロナウイルスによる経済的影響と原油価格下落以外に、PlusToken詐欺によるビットコイン現金化の動きとヘッジファンドのポジション清算が指摘されていることについてご説明しました。
実際のところ、これらがどの程度ビットコイン価格下落に影響しているのかは分かりませんが、ビットコインを実際に取引していたり、常にかかわっている人々が売り圧力だと感じるのであれば、トレーダーの多くも同じように感じているはずです。
このように、トレーダーの多くが仮想通貨関連ニュースなどから受ける印象が、ビットコイン価格に影響することは否めません。
仮想通貨FXに取り組むのであれば、仮想通貨関連ニュースに敏感になっておく必要があることが理解いただけたかと思います。