世界各国で進みつつある仮想通貨への取り組み
- 仮想通貨関連
- 2020.01.08.
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2019年は仮想通貨にとって大きな出来事が多くあった一年でしたが、2020年はさらに劇的な変化が訪れる年なのかもしれません。
まだ年が明けて数日しかたっていないのにもかかわらず、世界各国で仮想通貨に対する取り組みが進みつつある実情が報道されているからです。
実際にどのような取り組みが進んでいるのか、そのうちの幾つかをご紹介しましょう。
イギリスでは仮想通貨を扱える銀行が誕生
イギリスでスマートフォンバンキングサービスを提供するStarling Bankを設立し、最高技術責任者(CTO)であったMark Hipperson氏が新たなデジタル銀行を設立して、2020年前半のうちに運営を開始することが明らかになりました。
Zigluと名付けられた新しいデジタル銀行は、法定通貨だけでなく仮想通貨も同じ口座で取り扱うことができるのが大きな特徴です。
画像引用:Ziglu
Zigluの口座では外貨の両替をインターバンクレートでできるだけでなく、仮想通貨の交換に際しても、複数の仮想通貨取引所の交換レートを比較したうえで有利な取引所を選んで交換することが可能になっているようです。
さらに、既にMasterCardのデビットカードを持っている人なら、自分が持っている法定通貨はもちろんのこと、仮想通貨も世界のどこの国でもデビットカード支払いができるようになっています。
またZigluはイギリスのFCA(金融行為規制機構)に電子マネー発行ができるライセンスを申請していますので、法定通貨と仮想通貨に加え、電子マネーも使えるようになるはずです。
現在は、事前申し込みを受け付けていますが、サービスの対象者はイギリスに居住している18歳以上となっています。
Zigluは2020年の運営開始だけでなく、年内に10億ドル、日本円にして1,085億円のトランザクションができるようにすること、そしてアメリカでも展開することを目標にしているようです。
韓国では証券取引所での仮想通貨取引を提言
韓国で、大統領直属の組織である第4次産業革命委員会が政府に対し、仮想通貨取引に関連したサービスを金融機関が取り扱うよう提案していたことをBusiness Koreaが2020年1月6日に報じました。
画像引用:Business Korea
報道によると、第4次産業革命委員会は仮想通貨取引が増加している現状から、これを止めることは不可能であると判断したようです。
そこで海外のカストディアンに仮想通貨や利用者が流れるよりも、仮想通貨取引を取り込む方が得策と判断し、韓国国内の金融機関において独自のソリューションの導入を提言したとのことです。
また仮想通貨の名称を「Crypto Asset」(暗号資産)に統一することに加え、韓国の証券取引所においてビットコインが直接取引できるようにすべきなどの内容も提言しているようです。
さらに第4次産業革命委員会は、米やスイスにおける仮想通貨関連規制を参考にした、仮想通貨関連のビジネスライセンスや取引時のガイドラインの導入以外にも、仮想通貨デリバディブなどを活用した仮想通貨の韓国金融システム統合まで提言しています。
トルコでは規制当局が新しい枠組みを準備
仮想通貨や仮想通貨取引に興味を持ち、実際に利用する人が増えつつあるトルコで、金融規制当局が仮想通貨に関する新しい規制の枠組みを準備していることがhurriyetによって報道されました。
画像引用:hurriyet
「Kripto paralara SPK denetimi」(暗号通貨のCMB監査)と題された記事によると、トルコでは近年仮想通貨の人気が高まっており、1,600万人以上が仮想通貨を利用しているとのことです。
しかしトルコでは仮想通貨取引に関する規制が確立しておらず、トルコ政府も仮想通貨取引に付きまとうリスクについて懸念していたようです。
そこでトルコの規制当局であるCMB(資本市場委員会)が今年、仮想通貨市場に対する新しい規制の枠組みを設けるために動いたわけです。
CMBによる新しい枠組みは、仮想通貨に対する課税制度や仮想通貨取引について、詐欺などの悪意ある仮想通貨取引、市場価格操作に対してなど広範囲に渡っていますが、どれも仮想通貨を規制するのに必要な基本要素です。
トルコのブロックチェーン企業EAKデジタルのErhan KorhalillerCEOによると、今回の規制枠組みは非常に革新的な規制であり、仮想通貨関連企業が事業を拡大するためにトルコを選ぶようになると話しています。
つまり、これまで野放しになっていた仮想通貨プロジェクトに法的確実性が加わることで、トルコ国内でなら成功に導くことができるようになるということです。
中国はCBDCの準備を着実に進行
昨年から何度も報道されている中国のCBDCであるデジタル人民元に関連して、暗号化技術管理法案である「暗号法」が2020年1月1日に施行されました。
なお、この暗号法について中国メディアであるChinaMoneyNetworkは、デジタル人民元の法的な基盤のためのものであると報じています。
画像引用:chinamoneynetwork
暗号法は2019年の10月、習近平国家主席によってブロックチェーン推進が発表された後に、全国人民代表大会で可決されていたものです。
それが、わずか2カ月後の1月1日に施行されたということになります。
またデジタル人民元については、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行がwebsiteで「北京で開催された2020年中国人民銀行ワーキング会議」と題した報告をUPしています。
これによると、北京で2020年1月2日と3日に開催された会議において、デジタル人民元の開発が順調であると発表されたとしています。
しかし実際にいつデジタル人民元を発行するのかなどは発表されておらず、2020年も法を順守して開発を続ける旨が発表されていたようです。
日本の仮想通貨を取り巻く環境
諸外国の仮想通貨に対する取り組み例を幾つかご説明しましたが、説明したどの国も仮想通貨を積極的に推進していこうという姿勢であることが分かるでしょう。
ご説明した以外にも、仮想通貨に積極的に取り組んでいる国は幾つかあり、2019年12月20日のニュース記事「仮想通貨を推進するフランスでの最近の動き」でも分かるように、フランスも現在は積極的に仮想通貨を推進しようとしています。
一方日本における仮想通貨を取り巻く環境は、規制は厳しいものの、レバレッジを現在の自主規制である4倍からさらに引き下げることを検討していたり、仮想通貨取引での利益に対する税制が不当なものになっている現実があります。
また日本のCBDCであるデジタル円についても、色々な調査はおこなっているようですが、現時点で発行の可能性は非常に低いようです。
現在の日本の仮想通貨に対する規制は、諸外国と比較して2年進んでいるといわれていますが、現状のままであれば諸外国といずれ立場は逆転し、仮想通貨後進国になってしまう可能性も考えられます。
まとめ
世界各国で進みつつある仮想通貨推進例をご紹介するとともに、日本における仮想通貨を取り巻く環境についてもご説明しました。
日本は仮想通貨を金融の視点ではなく、あくまでも投機の対象としてしか見ていないようですが、その考え方を改めない限り新たな展開や発展は望めないのではないでしょうか。
単に規制で縛り付けるだけではなく、諸外国のように仮想通貨の将来を見据えた施策を考えて欲しいものです。