仮想通貨動画削除ミスで信頼を失ったYouTube
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- 2019.12.29.
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- 仮想通貨動画削除ミスで信頼を失ったYouTube
YouTubeが仮想通貨に関連した動画を明確な根拠を提示しないまま削除していたことは、2019年12月28日のニュース記事「仮想通貨に厳しく対応し始めたYouTube とGoogle」でご説明しました。
YouTubeの広報担当者が、この削除はミスであったことを認める発言をしていましたが、削除された動画はすぐに復旧されることがなかったため、ユーチューバーの間でも問題視されていました。
その後YouTubeが削除していた仮想通貨関連動画を復旧したことが明らかになりました。
YouTube運営側のこの動きにはどんな意図があったのでしょうか。
それとも広報担当者が説明していた通り、本当に単なるミスだったのでしょうか。
YouTubeによる仮想通貨関連動画削除騒動の続報として詳しくご説明しましょう。
また今回の騒動によって見えてきた、新たな課題についてもご説明します。
削除した動画の復旧と謝罪
YouTubeに仮想通貨関連動画を投稿していたユーチューバーのThe Moon氏からの抗議のツイートに対し、YouTube側は2019年12月26日、謝罪の言葉とともに動画を復旧した旨の返信を投稿しました。
画像引用:TeamYouTube Twitter
レビュープロセス中のこれは私たちの側のエラーでした。動画を元に戻して、違反警告を解決する必要があります。 もしそうなっていなければお知らせください!
引用:TeamYouTube Twitter Google翻訳
The Moon氏が投稿した仮想通貨関連動画以外にも、YouTubeはわかっているだけで35チャンネル以上ありましたが、これらのチャンネルも全て復旧しているようです。
多くの人々の信頼を失ったYouTube
YouTube関係者やユーチューバ―からのツイートから、YouTubeは広報担当者が説明した通り、仮想通貨関連動画を削除してしまったのは単純なミスだったこと、そして削除した動画は復旧されたことが読み取れます。
しかし、今回YouTubeがしでかしてしまったミスは非常に大きなミスです。
動画投稿のチャンネルや動画数がいくら膨大であったとしても、具体的なガイドライン抵触の説明もなく、特定ジャンルのチャンネルや動画だけを削除してしまうのは、何らかの意図があるのではと疑われても仕方なく、決して犯してはならないミスでしょう。
もし単純なミスと主張するのであれば、今後も同じミスが発生する可能性があるということになってしまいます。
このYouTubeのミスに対し、前述のThe Moon氏は以下のようにTwitterに投稿しています。
私は貴重な教訓を学びました。信頼することも、中央当局に依存しすぎることもありません。
私はこれから聴衆を「分散化」しようとします!
この「間違い」により、YouTuberにとって深刻な問題が発生しました。
引用:The Moon Twitter Google翻訳
画像引用:The Moon Twitter
The Moon氏がいいたかったのは、YouTubeはもはや信頼できる存在ではないこと。
そしてYouTubeのように中央集権的に管理されるプラットフォームに頼っていると同じようなミス、もしくは何らかの意図によって影響を受ける可能性があることを指摘しているのです。
そのため、分散管理されたプラットフォームに移行するべきだと述べているわけです。
The Moon氏と同様の意見を主張し、分散管理プラットフォームに移行する良い機会であると声を上げている人も多数見受けられるようです。
分散管理されたプラットフォームとは
分散管理されたプラットフォームとは、まさにビットコインなどと同じ形態のことを指しています。
法定通貨などが中央集権的に管理される存在であるのに比較して、ビットコインは分散管理される存在です。
仮想通貨関連動画に関する分散型プラットフォームとは、LBRYやSteemit、DTubeなどを指します。
ではLBRYやSteemit、DTubeとはいったいどのようなもので、YouTubeとはどこが異なるのでしょうか。
LBRYについて
LBRYは2016年7月13日にリリースされた、LBRY Creditsというオンデマンドが可能なアルトコインのコンテンツ配信のことで、誰でも自分自身でネットワークを作ることができます。
つまり無料で自分独自のオンデマンドを運営することができるわけです。
YouTubeは既存の媒体からコンテンツを発信することになるため、今回の仮想通貨関連動画が削除されてしまったような運営者による管理を受けてしまいます。
しかしLBRYなら自分だけのネットワークを構築し、自分独自のコンテンツを展開することができます。
またLBRYのコンテンツはブロックチェーンで分散化されています。
そのため、仮にLBRY社が今後運営を止めてしまうことがあったとしても、プロトコルはそれぞれ稼働しますので、停止することはありません。
一方、YouTubeにUPされたコンテンツは、YouTubeが運営を止めてしまうとコンテンツ自体を観ることができなくなってしまいます。
これらのことから、YouTubeとLBRYは全く別物であるといえます。
画像引用:LBRY
Steemitについて
Steemitとはブロックチェーンによって構築されたデータベースであるSteemで、文字ベースのブログを展開できる、ソーシャルニュースサービスのことを指します。
大きな特徴として、読者が良いと思うコンテンツをUPし、読者から従来のいいね!に相当する「Vote」評価をもらうと、コンテンツ提供者と評価者の両方に収入が発生する仕組みがあります。
もちろん収入はトークンの形で支払われます。
DTubeについて
Dtubeは上記のSteemitのプラットフォームを使った動画サイトのことで、Dtubeの名称はDecentralized(非中央集権)Tubeの略称です。
DtubeはSteemit同様、Vote評価をもらうとコンテンツ提供者と評価者にトークンが支払われます。
BinanceCEOもブロックチェーンソーシャルメディアに賛成
中央集権的に管理されるのではなく、分散管理できるプラットフォームに移行すべきであるという意見を持っているのは、ユーチューバ―だけではありません。
BinanceのCEOであるZhao Changpeng氏も同じ考えを持っていることをツイートしています。
画像引用:CZ Binance Twitter
Twitterの中でZhao Changpeng氏は、独自のブロックチェーンを活用することで検閲に耐えうる仮想通貨コミュニティを作る時であると述べています。
しかし同時に、そのためにはスパムの問題や詐欺への対応、インセンティブについて、著作権保護、プライバシーの問題など、多くの課題を解決しなければならないことも示唆しています。
まとめ
YouTubeが仮想通貨関連動画を削除したのは単なるミスであったこと。
そしてこのことを契機として、中央集権的なソーシャルメディアから脱却し、ブロックチェーン技術を活用した分散管理できるプラットフォームへの移行議論が起こっていることまでをご説明しました。
結局今回の騒動で、最も評判を下げたのはYouTubeだったわけですが、この騒動はブロックチェーンの活用の幅を多くの人に知らしめただけでなく、ソーシャルメディアの新たな方向性を議論するきっかけにもなったわけです。
ただし、BinanceのCEO であるZhao Changpeng氏がツイートしたように、解決しなければならない課題は山積みです。
これらはブロックチェーン技術では解決できないものがほとんどであり、多くの人々が共に悩みながら解決していかなければならない問題です。
しかしいつの日か、快適で、安全で、人を傷つけることのない新しいソーシャルメディアが誕生するでしょう。
その日を楽しみにしましょう。