金融のプロの半数以上がビットコインの可能性を予想
- ビットコイン
- 2019.11.15.
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- 金融のプロの半数以上がビットコインの可能性を予想
仮想通貨の代名詞ともいえるビットコインは多くの人に認知されており、その値動きが新聞一般紙などに取り上げられることなども増えてきました。
しかし今後のビットコインはどのように定着・発展していくのでしょう。
単に価格が上がるか下がるかだけではなく、資産としての位置付けは変化していくのでしょうか。
現在の株や国債などと比較して資産価値や信頼度はどうなっていくのでしょう。
またビットコインが資産としての位置付けを高めるためにはどのようなことが必要なのでしょうか。
そしてこれらのことについて金融のプロである人達はどう考えているのでしょう。
実はこの疑問に応えられる調査結果が報道されています。
ビットコインの将来を知るための手掛かりとして参考になるはずですので、詳しくご説明しましょう。
350人の金融のプロを対象に調査
2019年11月9日、ブロックチェーン分析企業であるChainalysis社が銀行や金融サービス関連業者、金融規制機関などに属する350人の金融のプロともいえる人を対象に調査した結果を発表しています。
Chainalysis社は2017年にマウントゴックスから盗み出されたビットコインがどこにあるのか、その移された先を突き止めて米金融サービス委員会で証言したり、仮想通貨での薬物売買状況の確認や、仮想通貨関連企業がコンプライアンスに適合するためのツール開発などで非常に著名な企業です。
現在は仮想通貨関連のコンプライアンスと犯罪防止が事業の主軸ですが、これらはIRSやFBIなどの政府機関が対象となっており、実績も十分すぎるものがあります。
紹介するのはそんなChainalysis社が調査したデータであり、調査結果の信憑性は非常に高いものがあります。
画像引用:Chainalysis
顧客のどのぐらいが仮想通貨取引をしているか
最初の質問として、自分の顧客のどのぐらいが仮想通貨取引をしているかを尋ねています。
画像引用:Chainalysis Blog
その結果、32.8%は仮想通貨取引をしていないと答えています。
また1~10%の顧客しか仮想通貨取引をしていないのが最も多く、27.6%の割合になっています。
つまり3分の1近くが仮想通貨取引をしておらず、していたとしてもごく少数がほとんどであるということです。
今後の12カ月で成長が最も期待できると考えるのは?
2番目の質問は、今後の12カ月で最も成長率が高いと思えるのは以下のうちどれでしょうというものです。
対象になっているのはビットコインと米株価指数S&P500、それに債券であるブルームバーグ・バークレイズ・インデックス、そして住宅価格指数の計4つです。
画像引用:Chainalysis Blog
この質問に対しては、ビットコインと答えた対象者が最も多く、48.6%を占めています。
すなわち金融のプロ350人の半数近くがビットコインが成長するだろうと考えているということになります。
仮想通貨取引を妨げている1番の理由は?
成長が最も期待できるのがビットコインであるにもかかわらず、32.8%の顧客は仮想通貨取引をしていないわけですが、仮想通貨取引を妨げている1番の理由はどのようなものかを質問しています。
画像引用:Chainalysis Blog
仮想通貨取引を妨げている1番の理由は、仮想通貨によって起こってしまう犯罪を制御できないということであり、全体の39%を占めています。
また規制を遵守できない、つまり規制が不十分であると答えている人が17.9%という結果になっています。
これら2つはいずれも仮想通貨取引におけるコンプライアンス面の不十分さを指摘しており、合計で56.9%、すなわち半数以上が整備が未熟であるために仮想通貨取引ができないと答えていることになります。
どうすれば仮想通貨取引にもっと参加しますか?
仮想通貨取引にはコンプライアンス面が不十分ではあるものの、どうすればもっと多くの人が仮想通貨取引に参加すると考えるかを質問しています。
画像引用:Chainalysis Blog
この質問に対して最も多かったのが、仮想通貨需要を今以上に増やすことであり、43.9%を占めています。
他の回答である「成長産業の先駆者と見られること」「利益を得られること」「制度を将来的に保証すること」のどの意見からみても、倍以上の比率になっています。
将来グローバルなデジタル通貨が発行されたら管理者は誰?
最後の質問として聞いているのが、5年後から10年後にグローバルなデジタル通貨が発行されていたとすれば、管理は誰がおこなっていると思うかというものでした。
画像引用:Chainalysis Blog
この質問に対する回答で最も多かったのが米国で37.2%を占めました。
これは現在の米ドルが世界の基軸通貨になっていることや、質問の対象者が米国居住者であることが影響しているのかもしれません。
次いでどこも管理していないと答えたのが29.9%でした。
これは仮想通貨は中央集権制をとっていないことが一般的であり、それが引き続き維持されると考えているようです。
3番目は中国で21.2%でした。
これはデジタル通貨を既に準備していることなどが報道されている影響も大きいでしょう。
4番目はフェイスブックとスイスが同率の5.8%でした。
これはフェイスブックの仮想通貨リブラを運営するのがスイスのリブラ協会であることが反映された結果だと考えられます。
Chainalysis社が指摘する取引量拡大のポイント
上記の調査結果から、Chainalysis社が今後仮想通貨取引を増やしていく際に重要なポイントとして以下のような点を挙げています。
金融機関がコンプライアンスを高める方法を知らない
Chainalysis社は、金融機関各社が仮想通貨の問題点であるコンプライアンスを高める方法を認識していない可能性があると指摘しています。
ブロックチェーンは、分析すれば不審なトランザクションを発見・追跡することができます。
またトラベルルールを駆使すれば、不審な取引を未然に防いだり、法的執行機関や他国とも情報共有することができますが、これらの事実を金融機関が熟知していない点が問題であるとしています。
正しい知識を教育できていない
Chainalysis社は、ブロックチェーンは分析すれば追跡もでき、そのためのツールも存在していることから、犯罪の防止が仮想通貨取引量拡大に重要ということではなく、現状の仮想通貨に対する正しい知識を金融関係者や機関投資家に教育していくことが重要だと指摘しています。
そして、それができれば新たな機関投資家の参入も期待できるとしています。
まとめ
Chainalysis社が金融のプロ350人に対して実施した調査結果についてご説明しました。
Chainalysis社が指摘しているように、仮想通貨に関する規制や法などは現在少しづつではありますが整えられている段階です。
そのため現状では国によって規制レベルに差があり、厳しい国や非常に緩い国も混在しているのが実情です。
またコンプライアンスを高めるための技術も日々進歩していますが、その技術の存在自体が広く知られることも少ないでしょう。
進歩しつつある仮想通貨に関する規制や技術に関して、より多くの人に知ってもらえる方法を確立することが、結果的に仮想通貨取引に参入する人を増やしていくことにつながっていくはずです。
Chainalysis社の指摘は今後の仮想通貨にとって非常に重要であり、これに対して世界のリーダーたちがどのように応えていくかが問われているのではないでしょうか。