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今週分かったリブラ協会の動きと規制当局の声

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  • 2019.09.14.

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Libra white-paper

画像引用:Libra white-paper

 

ホワイトペーパー発表後から様々なところで物議を醸しだしているFacebookの仮想通貨リブラですが、2019年9月の第2週になってリブラ協会に動きがあっただけでなく、規制当局からのコメントが発表されたりと、あいかわらず話題になっているようです。

 

9月の第2週目にどのような動きやコメントがあったのか、詳しい内容についてご説明しましょう。

 

FINMAがリブラ協会から免許申請を受ける

2019年9月11日、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)に対し、Facebookの仮想通貨リブラを運営するリブラ協会が決済に関する免許申請をおこなったと報じられました。

REUTERS

画像引用:REUTERS

 

リブラ協会からの申請を受けたスイス連邦金融市場監督機構は、リブラ協会からスイスでリブラはどのような位置付けとなり、どう分類されるのかを尋ねられたことも明らかにしています。

 

FINMAのステーブルコインに対する考え方

このREUTERSの報道で、スイス連邦金融市場監督機構が発表したステーブルコインに対するガイダンスの発表内に、どう回答したのかの詳細が書かれていることが分かります。

Finma News

画像引用:Finma News

 

スイス連邦金融市場監督機構がリブラ協会に対して示した考え方は、発表されたガイダンスに沿ったものです。

 

まず前提として、リブラを含めたステーブルコインはトークンと同じ扱いになるため、規制も同様のものになること。

さらにリブラの場合は、FINMAが発行する決済免許の必要性にも言及しています。

またこれらに加え、リブラは決済用トークンを発行することになるため、従来からの決済システムの枠から外れたものになることから、追加要件を適用しなければならないとも説明しています。

 

スイスにおける決済免許の条件

スイスにおける決済免許の条件は、国際基準の中でも金融市場インフラの原則が重んじられるだけでなく、マネーロンダリング防止法にも対応したものでなければなりません。

それにはプロジェクトそのものが国際的にマネーロンダリングを防ぐことができる基準をクリアしている必要があります。

 

銀行法の適用も考えられる

リブラには一般的な支払いシステムを超えたサービスがあり、協会の資本配分とその流動性、リスクの分散、引当金の管理方法など、従来の支払いシステムの要件に加えて追加要件も必要だとの考え方も示しています。

そのうえで銀行法としての枠組みの適用もあり得ることを示唆しました。

 

FINMAのその他リスクに対する考え方

スイス連邦金融市場監督機構は上記以外のリスクについても言及しています。

それは引当金についてです。

引当金に必要な管理やそれに伴う収益、そしてリスクについてはリブラを購入した消費者が負うのではなく、リブラ協会が負うべき性質のものであることとしています。

 

また協会としてのガバナンスやマネーロンダリング対策などは国際規制に準拠するよう説明していますが、これ以外の例えば税法やデータ保護などについてはスイス連邦金融市場監督機構の管轄外だとし、言及していません。

 

FINMAとは若干異なるスイス銀行協会の主張

スイス連邦金融市場監督機構はリブラプロジェクトに対して、銀行法の枠組みで規制を適用する可能性について語ってはいるものの、明確に銀行法が適用されるとは断言していません。

あくまでも可能性だと説明しています。

 

しかしスイス銀行協会の主張は異なっています。

はっきりとリブラには銀行業の認可が必要であると主張しています。

 

これはおそらく、リブラが普及すると送金などで銀行を利用する必要がなくなることも影響した主張になっているのではないかと考えられます。

 

リブラ協会が発信したFINMAとの協議

スイス連邦金融市場監督機構の発表に対し、リブラ協会の通信政策責任者であるDante Dispart氏は建設的な対話ができていること、そして正しく規制され、高いセキュリティ性のある決済システムにしていく道筋が見えていることだけでなく、この道筋は実現可能であると強調しています。

 

スイス連邦金融市場監督機構が発表している内容とリブラ協会が発信した内容にはズレがありますが、これはリブラ協会がプロジェクトは順調に進展していることを印象付けたい意図があるものと考えられます。

 

仏財務大臣はリブラ開発を認めないと発言

2019年9月12日、フランス大手メディアであるAPPが、フランス政府はFacebookの仮想通貨リブラは欧州各国の通貨主権を脅かす存在であり、欧州での開発に対して阻止する姿勢を示したと報道しました。

 

これはパリに本部を置き、35ヵ国(EUが22ヵ国、その他が13ヵ国)が加盟しているOECD(経済協力開発機構)の仮想通貨および暗号資産に関する会議内において、フランスの経済・財務相であるBruno Le Maire氏が発言したものです。

GOUVERNEMENT.fr bruno-le-maire

画像引用:GOUVERNEMENT.fr bruno-le-maire

 

Bruno Le Maire経済・財務相の発言内容

Bruno Le Maire経済・財務相は、これまで国際金融機関がマネーロンダリングやテロ支援資金供与に対して何年もの間、対抗策を実施してきていることを挙げ、仮想通貨リブラがこれらを簡単に実現できるようには思えない旨を発言しています。

 

またリブラは通貨の主権を脅かす存在であり、金融を混乱させると指摘し、現時点でのリブラ開発を認めないことを述べています。

 

米財務長官がリブラは承認に程遠いと発言

2019年9月12日、米Steven Mnuchin財務長官が記者からの質問に答える形で、Facebookの仮想通貨リブラについての考えを答えました。

 

それによるとSteven Mnuchin財務長官は、現在リブラを運営しようとしている企業と会談を持っているが、リブラがマネーロンダリングとテロ支援資金供与に利用されないためにも厳格な条件を満たさねばならないことや、同企業にはそのための計画が用意されていないことなどを指摘しました。

 

そのうえで、リブラが承認されることは程遠い状態であると述べています。

Twitter Steven Mnuchin

画像引用:Twitter Steven Mnuchin

 

現状では厳しい状況のリブラ

9月の第2週にあったリブラに対する動きや発言を紹介しました。

今回紹介した仏財務大臣と米財務長官の発言は、リブラにとって大変厳しい意見です。

また紹介した内容だけでなく、リブラに対する意見はこれまで大変厳しいものばかりでした。

 

しかし2019年6月の米公聴会において、リブラサイドのDavid Marcus氏は、存在する全ての懸念が解決するまでローンチすることはないと明言しています。

 

ではどのようにこの懸念を解決していくつもりなのでしょうか。

報道を見る限りでは、リブラ協会を含めFacebookからも懸念を解決するための動きは見られない状況です。

唯一、今回紹介したスイス連邦金融市場監督機構に対する免許申請報道があったのみです。

これまでの世論を考えると、この免許申請も許可をもらえると考えて申請したわけではないはずです。

どう受け止められているのかを確かめる意図があったと考えるのが妥当でしょう。

 

おそらく今は、リブラに対する意見を全て把握する段階であり、その後どうするべきかを考えているのではないでしょうか。

 

まとめ

Facebookの仮想通貨リブラの9月第2週にあった動きと、リブラに関する発言を紹介しました。

リブラを取り囲む状況は決して楽観視できるものではありません。

当初予定していた2020年のローンチは大幅に遅れる可能性もあります。

このことはリブラサイドも理解しているようですが、果たして今後どのような動きになっていくのでしょうか。

リブラに関する報道は引き続き注意しておく必要がありそうです。

 

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