米でCoinbaseの仮想通貨保有者に税催促状を送付
- 仮想通貨関連
- 2019.07.28.
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- 米でCoinbaseの仮想通貨保有者に税催促状を送付
仮想通貨取引をしている人が常に意識しておかねばならないことに税金の問題があります。
日本の仮想通貨取引に対する税金は、世界でも類を見ないほど高額だといわれていますが、それゆえに脱税をしている人が多いのではないかと評されているのが実情です。
仮想通貨取引に対する脱税問題は米国でも同様に見られているようで、IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)が米の仮想通貨取引所Coinbaseで仮想通貨を保有している全ての利用者に対し、納税を促す催促状を送付していたことが分かりました。
このニュースについて詳しくお伝えするとともに、米国での仮想通貨に対する税制などについてもご紹介しましょう。
Coinbaseで仮想通貨を保有している全員に税催促状
米の仮想通貨取引所であるCoinbaseで仮想通貨を保有している人全員に対して、日本でいえば国税庁にあたるIRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)から税金の支払いを催促する文書が送られていることが分かりました。
この文書は6174-Aといわれる納税に関する催促状です。
画像引用:Forbes
上記は送られてきた催促状の画像です。
この文章をGoogle翻訳してみたのが以下の文章です。
私たちがあなたに書いている理由
あなたは仮想通貨を含む1つ以上の口座を持っているか持っていたが、仮想通貨を含むあなたの取引を正しく報告していないという情報を持っています。
あなたがするべきこと
以下の情報を検討した後、あなたが連邦所得税申告書に関してあなたの仮想通貨取引を正確に報告しなかったと信じるならば、あなたが1つの申告書を提出しなかったら修正書か延滞申告書を提出するべきです。課税年度が長くなります。 仮想通貨取引を正確に報告しないと、将来の民事および刑事執行の活動にさらされる可能性があります。 詳細については、www.irs.gov / fililingをご覧ください。
引用:ForbesをGoogle翻訳
これを読むと、この催促状を送られた人は正しく納税申告をしていないと書かれています。
はたして、これを送られた人は正しい納税申告をしていなかったのでしょうか。
正しい申告をしていた人にも送付
実はこの催促状は、仮想通貨に関して正しく所得税申告している人に対しても送られてきていました。
それも一人だけでなく、何人にも送られてきているようです。
また催促状の文章はほとんど脅しのようなもので、米国の投資家の間でも話題になっているようです。
どうしてこのような催促状が送られてきたのでしょう。
そして何の情報をもとにして送ってきたのでしょうか。
2017年にCoinbaseが開示したデータをもとに送付
調べていくと、この催促状は米国の仮想通貨取引所であるCoinbaseで仮想通貨を保有している、全ての納税義務のある利用者に対して送られていたようでした。
実は2017年7月に、米連邦裁判所がCoinbaseに対して仮想通貨を保有している人、全員の個人情報開示を求めていたことがありました。
それはCoinbaseとアメリカ政府との間で、匿名の納税者に対する召喚状について法定闘争が起こっていた際のことです。
結局は2017年11月に出された裁判所命令によってCoinbaseは、仮想通貨を保有している全員ではなく、その中でも取引量の多い利用者13,000人分の個人情報をIRSに提供しています。
IRSはこの時に得た個人情報をもとに催促状を送っているようです。
以下は、その際にCoinbaseが発表しているコメントの画像です。
画像引用:Coinbase support
画像の文章を前段部分だけ翻訳すると、以下の内容となります。
2018年2月23日、CoinbaseはIRSからのCoinbaseアカウントに関する召喚状について、約13,000人の顧客グループに通知しました。
裁判所の判決については、この文書を参照してください。 裁判所は、コインベースに対し、2013年から2015年の期間中に特定の取引高の高い顧客に納税者番号、氏名、生年月日、住所、および過去の取引記録を提供するよう命令した。
Coinbaseは法律上または税務上の助言を提供することはできませんが、税金およびデジタル通貨に関する詳細については私たちの税金FAQを参照してください。
引用:Coinbase support をGoogle翻訳
催促状を送付したIRSの思惑
どうしてIRSは仮想通貨について正しい申告をしている人達に対してまでこのような催促状を送付したのでしょう。
それには米国での仮想通貨に対する納税状況が影響しているようです。
米国では仮想通貨取引での利益に対する納税意識は低いようで、信用スコアモニタリングサービスを提供しているクレジット・カルマ社によると、2018年の税金申告期間において仮想通貨での利益を正しく申告していた自社の顧客はわずか0.04%しかいなかったことを述べています。
画像引用:credit karma
つまりIRSは、あまりにも低い納税率に業を煮やしてこのような催促状を送ったとも考えられるのです。
米国での仮想通貨に対する税制度
では米国の仮想通貨に対する税制はどのようなものなのでしょうか。
米国において、仮想通貨は株と同様の位置付けと考えられています。
そのため短期(1年以内)の売買で利益を得た場合には累進課税が適用され、税率は最も低い場合で10%、最も高い場合には39.6%となります。
既婚か独身かによっても税率が変わるようになっており、既婚よりも独身の方が税率は高く設定されています。
またもし仮想通貨を1年以上保有して利益が出た場合、つまり長期の場合は税率が変わってきます。
このケースでは38,600ドルまでが非課税となり、425,800ドルまでの場合は15%、425,801ドル以上の利益の場合でも20%の税率になります。
ちなみに日本の仮想通貨の利益は雑所得となり、その人の全ての所得額に対して課税されます。
課税は累進課税で、最大45%も課税されるため、住民税10%と合わせると最大で55%もの税率になってしまいます。
アメリカの仮想通貨に対する税制度は、日本と比べると相当有利であることがお分かりいただけると思います。
州で異なる仮想通貨取引所に対する規制
米国での仮想通貨に対する税制度は、米国のどこに居住していても変わりなく適用されますが、仮想通貨取引所に対する規制は州ごとに異なります。
つまり国としての定まった規制がないわけです。
そのため、米国の内外におけるICOも証券法に適合したものかどうかは定かではないという意見もあります。
仮想通貨取引所に対する規制が州ごとに異なるということは、仮想通貨取引に対する考え方や取り組み姿勢が州によって異なるということでもあります。
もちろん規制が厳しい州に居住する人々は、仮想通貨の税に対してもそれなりの意識を持っていると考えられますが、規制が緩い州の人々は仮想通貨の税に対してもあまりシビアに考えていないのかもしれません。
ただし米国では今後、何らかの形で仮想通貨取引所を国として規制していくことが予想されていますので、そうなると仮想通貨の税に対する意識も違ってくるのかもしれません。
まとめ
IRSが仮想通貨保有者に納税を促す催促状を送った背景には、米国民の仮想通貨で得た利益を申告する意識の薄さに起因したものだと思われます。
タイミング的にビットコインの価格が依然と比べて急騰していたり、ファイスブックの仮想通貨リブラが発表されたりと、仮想通貨に関する大きなニュースがありました。
また、米上下院によるリブラの公聴会が実施されたり、G20やG7でもリブラのことが課題に取り上げられています。
米国としても、仮想通貨を取り巻く環境を今以上に整備せざるを得ない状況になりつつあります。
今後日本でも、仮想通貨取引をしている人に、国税庁から同様の催促状が送られてこないとも限りません。
その時になって焦らなくても良いように、仮想通貨の利益に対する申告は正しく行うようにしておきましょう。