ビットコインが100万円近くまで高騰した背景とは?
- ビットコイン
- 2019.06.04.
- ニュース
- ビットコインが100万円近くまで高騰した背景とは?
ビットコインの価格が2019年5月24日頃から上昇を始め、2019年5月27日に一気に100万円近くまで高騰しました。
1時間足で見ると、午前4時から5時にかけての上昇率がもっとも高く、87万円から93万円と大きな値動きを見せています。
ビットコインは2017年12月に史上最高値となる240万円台を記録した以降、2018年から現在にかけて低迷を続けていました。
そのような中での今回の価格高騰に、ネット上では「遅かれ早かれ100万円の大台は上抜けしてくる」「回復の可能性大」と、仮想通貨市場の盛り上がりに期待を寄せる声が多く見られています。
この時期にビットコインが100万円近くまで急騰した背景には何があるのでしょうか。
背景を理解しておけば、今後ビットコインFXで取引する際に有利なのは間違いありません。
今回のビットコイン高騰の背景にはどんなことがあったのか、ご説明していきましょう。
2019年5月27日ビットコインが100万円近くまで急騰
画面キャプチャ:bitbank
まずは、ビットコイン高騰時のチャートを確認してみましょう。
2019年5月27日の午前4時から5時にかけて、ビットコインの価格は始値877,856円から高値935,000円まで上昇し、同日午前9時には978,000円の高値を記録。
年初以来高値を更新しました。
これに伴い、リップル(XRP)やライトコイン(LTC)などの主要アルトコインも全面高となりました。
仮想通貨市場全体の取引低迷からの急騰
ビットコインの価格は2017年7月以降高騰し、同年12月には240万円台の史上最高値を記録していました。
しかしその後、ビットコインの価格は下落傾向となり、2018年12月には35万円台という同年最安値に。
主軸通貨ビットコインだけでなく、仮想通貨市場全体の取引が低迷しており、利益を出しづらい状況となっていました。
ビットコインの過去のチャートを見てみると、現在(2019年5月末)の価格状況は、2017年11月、2018年3〜5月頃と同水準となっています。
画面キャプチャ:bitbank
ビットコイン急騰の背景とは?
今回のビットコイン価格急騰の背景には、次のような要因があると考えられています。
- 背景1.米トランプ政権による中国への事実上の制裁措置
- 背景2.メイ英首相の辞任表明による英ポンド・ユーロへの通貨不安
- 背景3.FOMOフェーズの上昇
これらの背景について、詳しくご説明していきましょう。
背景1.米トランプ政権による中国への事実上の制裁措置
5月15日、ドナルド・トランプ米大統領は、米国企業による非米国企業の通信機器使用を禁止する大統領令に署名しました。
署名の理由については「外国の敵対者の管轄権または指示によって所有または支配される人による情報悪用を防ぐため」と説明。
「敵対者」としては、中国および中国の通信機器メーカー・ファーウェイ(Huawei)を想定していると見られます。
日本でもソフトバンクやKDDIがファーウェイの新製品の発売延期を発表するなど、事実上の輸出禁止規制となる今回の制裁措置の影響は世界中に広がっています。
今回の規制を受け、株式市場でも半導体銘柄を中心に売りが先行し、世界トップの半導体装置メーカー・SCREENの株価は、約3年ぶりに安値圏に沈みました。
画像キャプチャ:スマートチャートプラス
中国は米国のこの動きに対して反発しており、今後も米中の貿易摩擦は一層激化していくのでは?という見方が強くあります。
貿易摩擦が激しくなることで景気の悪化を懸念し、資産投資のリスクヘッジとしてビットコインが買われ、今回の価格急騰が引き起こされた可能性が高いと考えられます。
今のところ、米中の貿易摩擦は解消する様子がなく、今後もビットコインが高騰を続ける可能性も十分にあるでしょう。
国債情勢不安によるビットコイン急騰は過去にもあった
過去にも、国際情勢や金融危機がきっかけとなってビットコイン価格が上昇した例があります。
たとえば、2013年3月に発生したキプロス危機。
ギリシャ危機のあおりを受けて、キプロス政府が銀行預金の封鎖や預金税を実施した際、資産家たちは資産の逃避先としてビットコインを選択。ビットコイン価格は、1BTC=11万円ほどに急騰しました。
他にも、ジンバブエでハイパーインフレが発生し、紙幣の価値が急落したことを受け、決算手段としてビットコイン需要が急増。
当時1BTC=40万~50万円程度だった相場に対し、1BTC=65万円程度まで急騰するということもありました。
このように、ビットコイン価格が急騰する背景には、自国の通貨や現金経済に対する不信感があるケースが多いのです。
背景2.メイ首相の辞任表明による英ポンド・ユーロへの通貨不安
2019年5月24日、イギリスのメイ首相は、6月7日をもって辞任することを発表しました。
イギリスのEU離脱はますます混迷を深めてきており、先行きが見えない状況になってきています。
これにより、英ポンドやユーロに対する通貨不安が増しました。
法定通貨では米ドルや中国元が増加する一方、欧州の個人投資家たちの間ではリスクヘッジの一環としてビットコインの需要が高まったと見られています。
英ポンドの通貨不安で欧州のバイナンス・ジャージーで申し込み件数が殺到するなど、個人投資家のリスクヘッジの一環としての需要が高まっており、南米のハイパーインフレなどの影響もあり、世界全体で「避難通貨」としてビットコインが買われている可能性も考えられる。
引用元:みんなの株式
「バイナンス・ジャージー」とは、仮想通貨取引バイナンス(Binance)がイギリス領ジャージー島に開設した取引所で、仮想通貨と英ポンド・ユーロ間で取引することが可能です。
背景3.FOMOフェーズの上昇
「FOMO」とはFear of Missing Outの略語で、「取り残されることへの恐怖」を意味しています。
具体的には、それまで静観していた投資家たちが「今この波に乗らないと、取り残されてしまう」と不安に駆り立てられた結果、ビットコインを買い始め、結果として相場が押し上げられるという現象です。
今回のビットコイン高騰について、ここまでは国際情勢や通貨不安の観点から背景にふれてきましたが、海外のベテラントレーダー、ピーター・ブラント氏は「(今回のビットコイン高騰)はFOMOフェーズの上昇だ」とツイート。
「すでに売りつくした多数派が今回の上昇に乗っかり始めたら、大幅な調整が起こる可能性もある」と予想しました。
画像引用:ピーター・ブラント氏の公式ツイッター
FOMOの背景には大企業によるポジティブなニュースがある
ビットコイン価格高騰の背景として「FOMO」に触れましたが、「ではそもそもFOMOフェーズの上昇に至るには、どんな出来事や動きがあったのか?」という疑問の声もあるかと思います。
ビットコイン価格が大きく高騰したのは5月27日のことですが、5月の初めからすでに上昇トレンドを保っていました。
この時期のビットコイン相場形成に影響したと考えられる出来事には、以下のようなものがあります。
- 【5月9日】Facebook社が仮想通貨やブロックチェーン関連の広告規制一部緩和を発表
- 【5月13日】ニューヨーク証券取引所の親会社の設立企業「Bakkt社」がビットコインの先物取引において今年7月にもテスト開始を発表
このように、大企業による仮想通貨やブロックチェーン関連のポジティブなニュースが続いたことが、ビットコイン価格の上昇に影響したと見られます。
参考:マネックス仮想通貨研究所
まとめ
5月24日から27日にかけて、ビットコイン価格が100万円目前まで高騰した背景について見てきました。
高騰の背景について大きく分けるとするならば、「通貨不安」「投資家心理(FOMO)」に区分されます。
「通貨不安」は、米大統領による中国への規制措置とそれに対抗する中国の動向、そして英首相の辞任表明による地政学的リスクがあります。
「投資家心理」についてはFacebook社の広告規制緩和や発展するビットコイン先物取引へ注目が集まったことも背景にあると考えられます。
これらのことからも「2019年の仮想通貨市場は回復傾向にある」と言われており、年内に100万円台を突破するのではないかと考えられています。
しかし、短期的には仮想通貨に対するネガティブなニュースも必ず出てくるはずです。
その時にビットコイン価格がどう動くのか、注目されています。
上がり過ぎた分、大きく値下がりする可能性ももちろんあるでしょう。
今後の国際情勢に注目しつつ、現在の上昇トレンドを見守っていきたいところです。