米著名投資家がアルトシーズンの到来を予測
- 仮想通貨関連
- 2019.05.24.
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米国において著名な投資家であるトム・リー氏が、アルトコイン相場が上昇する条件について解説し、いわゆるアルトシーズンがやって来る可能性を示唆しました。
このシーズンが到来する条件として、ビットコインとの相関性低下を発動条件に挙げています。
過去のチャートを見る限り、アルトコインの価値はビットコインと一定の相関関係が認められ、ビットコインが下落すればアルトコインも下落するという見立てが一般的でした。
しかし、チャートを詳しく見ると、ビットコインの値動きとは関係のないチャートの動きも少なからず確認でき、2015年以降からアルトシーズンは4度ほど確認できているとリー氏は話しています。
仮想通貨取引に携わっている人にとっては、取引額が高額になっているビットコインよりも、比較的手ごろな価格で手に入るアルトコインの方が取引しやすいと考えるでしょう。
もちろん、購入後に値上がりするなら、できるだけそのタイミングで購入したいはずです。
今回は、リー氏がなぜアルトシーズンの到来を予測したのか、その詳細について掘り下げてみたいと思います。
トム・リー氏とは何者か?
米国では有名なトム・リー氏ですが、どのような経歴を持っているのかについて知っている人は、日本では米国ほど多くないはずです。
そこで簡単にトム・リー氏の経歴についてご紹介しましょう。
投資顧問会社「コンテクスチュアル・インベストメンツLLC」のマネージング・ディレクターである広瀬高雄氏によると、もともとリー氏は、全米ナンバー1の通信アナリストであるジャック・グラブマン氏の部下としてキャリアをスタートさせたといわれています。
グラブマン氏は名門投資銀行であるソロモン・ブラザーズに所属しており、リー氏もまた同じ環境からのスタートとなります。
金融の世界ではバブル崩壊のリスクが常に付きまとっていますが、グラブマン氏はドットコム・バブルがはじけた時、ワールドコム、グローバル・クロッシングを推奨する立場だったため、裁判の後ウォール街から追放されたそうです。
しかし、そういった状況を横目に見ていたリー氏は、携帯電話への可能性を見出し、JPモルガンの携帯電話会社アナリストへの転身を決めます。
その後はストラテジストに転向し、リーマンショック以降でも強気の姿勢を崩さない投資家として有名になりました。
本来は株式を中心に投資を行っていましたが、仮想通貨の可能性を知るや否や、仮想通貨の世界に飛び込んだそうです。
一般的に株・債券を購入する投資家は、投資に対して保守的な一面を持っています。
そのため、リー氏が顧客である投資家に仮想通貨を勧めたとしても、あまり喜ばれるとは考えにくいでしょう。
にもかかわらず、株で実績のあるリー氏が仮想通貨取引を始めた、この判断には何らかの理由があったものと考えられます。
プロの投資家の目線で予測されたアルトシーズン到来だからこそ説得力があり、ニュースとして取り上げられているのではないでしょうか。
アルトコイン相場が上昇すると踏んだ理由は?
リー氏のキャリアについて理解したところで、続いてはアルトコイン相場が上昇すると踏んだ理由について紐解いていきましょう。
上のチャートは、リー氏が「アルトコインの上昇とビットコインとの相関関係」をまとめたものです。
リー氏によると、2015年以降にアルトコインが上昇した場面は4度確認されています。
上の表中でも、アルトコインとビットコインの相関性が下がったタイミングで、アルトコインの上昇が確認できます。
2016年2月、アルトコイン相場が上昇した際には、ビットコインとの相関性が60%以上だったものが、30%近くまで低下しています。
他には、2017年3月~6月・2017年11月~2018年1月のスパンにおいてアルトシーズンが見られた際も、ビットコインとの相関性が大きく減少する傾向が確認できました。
2018年1月以降は、大暴落の後ということもあって弱気な相場が継続していました。
2018年末の仮想通貨市場では、日本語で「陥没・降伏」の意味を持つ、キャピチュレーション(Capitulation)と称される急落を記録するまでに至ります。
しかし、2019年に入ると、2月と3月に一時的なアルトコインの上昇が観測されます。
4月に入ってからビットコイン・アルトコインの相関性低下の兆しが見られることから、再びアルトシーズンの到来があるものとリー氏は予測しています。
具体的な仮想通貨の銘柄としては、バイナンスコインやライトコインなどが話題となっているため、今後日本国内における取引にも注目が集まることでしょう。
アルトシーズンの到来は期待できるのか
アルトコインが上昇することは、トレーダーにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
理由はいくつかあるものの、最も大きな理由の一つとして取り上げられるのは「上昇率」です。
リー氏の説明によると、過去のアルトシーズンにおいては平均して1100%程度の上昇を記録しており、将来的に高い上昇幅が見込めるとのことです。
また、仮想通貨のアクティブウォレット数が5,000万であるという規模を考えると、仮想通貨は普及曲線の早い段階であり、これまでと同等もしくはそれ以上の上昇率が期待できるとの見解を示しています。
価値の上昇は投資家にとって魅力的なファクターであり、もしその時期が予想できるなら、当然アルトコインへの投資を加速化させるはずです。
今後、トレーダーがアルトコイン上昇を見込み、相関性の低い状況を狙ってアルトコインに投資することで、価格上昇の勢いが強まるものと予想されます。
ビットコインへの集中を防ぐ効果も
アルトシーズンは、確かに投資家にとって儲けを増やすチャンスとなりますが、メリットはそれだけではありません。
副次的メリットとして、ビットコインへの人気の集中を防ぐことができるという点があります。
言うまでもなく、ビットコインは仮想通貨の中で圧倒的な人気と知名度を誇っています。
そのため、下落相場になった後、再びビットコインが上昇すると考えて再投資する傾向が見られました。
しかし、仮想通貨市場にとってはあまり良い傾向ではないという考えも、少なからず存在していました。
幅広い銘柄への投資が加速化されることによって、仮想通貨は普及する(アドプション)という考え方です。
仮想通貨の中には、イーサリアムのようにスマートコントラクトを実装し、契約を自動化するという新しい概念を実現できる機能を備えたものもあります。
あるいは、リップルのように送金に重きを置いた機能の仮想通貨もあります。
それぞれの仮想通貨に特性があり、だからこそ自分にとって本当に必要な通貨を選べるというメリットがあるものと考えられます。
ビットコインだけが高評価される状況は、仮想通貨の未来を停滞させるおそれがあるとも言えます。
アルトシーズンの到来は、仮想通貨市場に明るい未来をもたらしてくれる、前向きな発展なのかもしれません。
おわりに
株式投資で長年実績を積み重ね、時代の流れを読むことに長けていたトム・リー氏は、かつての顧客が歓迎しないことも想定しつつ仮想通貨に取り組んできたようです。
未来があると感じられた分野について、自分の心のおもむくままに行動を起こす決断力は、多くのトレーダーに勇気を与えてくれます。
そんなリー氏が予測した今回のアルトシーズン到来は、果たして明確に現実化するのでしょうか。
少なくとも、ビットコイン・アルトコインの相関性が、今後トレーダーの間でより注目されることは間違いないでしょう。