7月に米で仮想通貨事業を始めるマネックスG
- 仮想通貨関連
- 2019.05.13.
- ニュース
- 7月に米で仮想通貨事業を始めるマネックスG
マネックスグループが米国において仮想通貨事業を開始する時期を発表しました。
そもそも、マネックスグループはなぜ米国に進出するのでしょうか?
マネックスグループの仮想通貨事業に対する狙いやコインチェックを傘下に収めた経緯について掘り下げてみましょう。
マネックス、7月にアメリカで仮想通貨事業開始
マネックスグループの米国における仮想通貨事業開始は7月になりそうです。
2019年4月25日、マネックスグループの松本大社長が決算会見において「(米国での仮想通貨事業について)現状では7月に始められると思う」と述べていることからも、ほぼ間違いないでしょう。
マネックスグループの米国の仮想通貨市場への参入は、2018年春頃から噂されていました。
2018年12月に開かれたマネックスグループの事業説明会において、正式に米国へ進出するというコメントがありましたが、詳細な開始月までは発表されていませんでした。
米国で仮想通貨事業を提供するのは、マネックスグループ傘下の米国企業トレードステーション・クリプト社です。
オンライン証券プラットフォームを提供する、この会社もマネックスグループ傘下の米国企業であるトレードステーション社の子会社として設立されました。
今回の仮想通貨交換事業は、個人投資家ではなくセミプロ投資家を対象にするとしており、最初はトレードステーション社の既存顧客に対して、口座開設を促進したいとしています。
トレードステーション社は1982年に創業し、9万口座・預かり資産6,133億円を保有する人気のオンライン証券会社です。
マネックスグループによって2011年に買収されていますが、トレードステーション社の収益は順調に伸びてきており、グループ内での稼ぎ頭の事業のひとつとなっています。
なお、2018年12月に行われたコインテレグラフ日本版のインタビューにおいて、トレードステーション社のバートルマンCEOは、「まずはトップ5の通貨を取り扱いたい。ビットコイン(BTC)とビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)をリストに入れている」と答えています。
しかし2019年4月25日の決算会見では、松本社長から具体的な通貨名は挙がっていません。
なぜ米国なのか
マネックスグループは、なぜ米国に進出するのでしょうか?
Bloombergの報道によると、「日本は米国に追随する」と松本社長が見ているためとされています。
仮想通貨を巡っては、世界的に規制が強化される傾向にある。
それでも松本社長が米国参入に意欲的なのは、「日本は米国型のクリプト関連の法整備を行う」とみているためだ。
先行する米国の税制論議や機関投資家の運用などを見極めながら、主力の証券業務との連携も含めマネックスのグローバル戦略に生かす方針。
引用元:Bloomberg
仮想通貨市場については、世界中で規制が強化されている傾向にありますが、具体的な法整備については現在も審議されている状態です。
米国で仮想通貨に関連する法律が整備されると、日本においても同様の法整備を行うと松本社長は見ているのでしょう。
先に米国に進出しておけば、マネックスグループはグローバルな競争力をつけることができるとしています。
また、日本における証券事業が鈍化していることも要因の一つなのかもしれません。
米国のトレードステーション社の預かり資産は、2019年3月期は前期比+11%と伸びているのに対し、日本セグメントにおいてはマイナス4%となっています。
現在も順調に事業が伸びている米国セグメントにおいて仮想通貨事業を展開することは、マネックスグループ全体を牽引する大きな力となるはずです。
コインチェックとの連携を深めていく狙い
マネックスグループは、2018年に買収したコインチェック社とも連携を深めていくことを、4月25日の決算会見において発表しています。
コインチェックの登録ユーザー数175万ユーザーとマネックス証券の口座数182万口座を相互に送客することで、売上を増やしたい考えです。
具体的には、マネックス証券の株式や投資信託サービスの利用で貯まるマネックスポイントを、仮想通貨の購入に充てるサービスの展開です。
こちらは、4月23日にリリースされました。
マネックス証券の顧客の中には、仮想通貨投資に興味はあるものの、自分でお金を出してまで購入するのには踏み出せない方が一定数存在しているとのことです。
そこで、普段の株式や投資信託を利用することで貰えるマネックスポイントで、自分でお金を出さなくても仮想通貨を購入できる仕組みを整備しました。
購入できる通貨は、ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)・リップル(XRP)の3種類です。
このサービスは、マネックス証券のユーザーがコインチェックに新規登録することを促進する効果があるでしょう。
マネックスGがコインチェック社を買収した経緯
マネックスグループがコインチェック社を買収したそもそもの経緯は何でしょうか?
発端は、コインチェック社の約580億円分の仮想通貨流出事件です。
2018年1月に、仮想通貨ネムをハッキングにより流出させてしまい、大きくニュースに取り上げられました。
580億円もの仮想通貨資産の流出があったのにもかかわらず、コインチェックは、自社の資産から補償金を支払いました。
しかし、事業を継続するには厳しい状況に立たされていたため、売却先を検討し始めます。
そして、複数あった売却候補先の中でも、サポートが強力だと感じたマネックスグループに売却先を決めたとのことです。
では、買収したマネックスグループの立場になって考えてみましょう。
マネックスグループは、もともと仮想通貨市場への参入を計画しており、マネックスクリプトバンクという名称の会社を設立し、仮想通貨交換業に登録申請を行っていました。
仮想通貨市場が拡大することを松本社長は予測しており、マネックスグループのビジネスに活かしたいと考えていたのでしょう。
松本社長は、2018年4月に行われたコインチェック買収の記者会見において、次のように語っています。
「仮想通貨は資産を所有する手段としてメジャーになる」
「仮想通貨・暗号資産の将来はたいへん大きいと思う」
当時は仮想通貨交換事業を自社で行う方に舵を切っていましたが、コインチェックを買収するほうがメリットは大きいと考え、方針を切り替えたようです。
例えば、顧客の口座数です。
コインチェックを買収すれば、自社にはない170万口座の顧客が一度に手に入ります。
また、ネームバリューや技術についても、魅力は大きかったはずです。
コインチェックは老舗の仮想通貨交換所のひとつであったため、すでにその名前は広く知られていました。
さらに、仮想通貨交換所のシステムを運営してきた実績は、これから仮想通貨交換所を作ろうとしていたマネックスグループにとっては魅力的な技術だったはずです。
また、仮想通貨交換業者の正式な登録がいつになるのかわからない状態だったことも大きいかもしれません。
コインチェックを買収すれば、みなし業者としてではあるものの、すぐに取引所を運営することができます。
これらのことから、ある程度リスクをとってもメリットの方が大きいと考えたのでしょう。
ブロックチェーンをビジネスに活かす狙いもあり
2018年10月に行われたBusiness Insider Japanのインタビューによると、仮想通貨に力を入れる狙いについて、マネックスグループの松本社長は次のように語っています。
最大の狙いは、ブロックチェーンのテクノロジーです。
(中略)
このテクノロジーをどうビジネスに応用するか。いくつか面白いアイデアはありますが、今は秘密です。
引用元:コインチェック買収の狙いは人材——マネックス松本社長が語るネット証券20年のその先
コインチェックの若くて有能なエンジニアたちの技術を活かし、金融業界に革命を起こしていくことを示唆しています。
まとめ
マネックスグループは、米国において仮想通貨の販売を7月に開始し、同時にコインチェックとの送客連携を強めていきます。
コインチェックの事業については2019年中に黒字化を目指すとしているだけでなく、金融とブロックチェーン技術を組み合わせて、革新的なサービス構築を模索しているようです。
マネックスグループおよびコインチェックの今後の展開に期待しましょう。