アメリカの送金税がビットコインの取引を大きくする?
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- 2019.04.30.
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- アメリカの送金税がビットコインの取引を大きくする?
2019年4月17日、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、自国内に不法滞在する移民問題について新たな対策を提案しました。
それは「送金税」を国際送金に対して課税するというもので、この案が可決すれば、仮想通貨市場にとってはプラスに働く可能性があると複数のメディアが報じています。
アメリカの大統領選挙は2020年で、トランプ大統領はもちろん再選を狙って活発に活動しています。
もともとトランプ大統領は不法移民には厳しい対策を講じており、その対策の一つとして、国際送金に対する課税も検討しているという状況です。
この状況が、結果的に米ドルを銀行から送金するという流れに歯止めをかけ、匿名性の高い仮想通貨の流通を促進させることにつながるものと考えられているのです。
果たして、この送金税とは具体的にどのようなもので、課税はどのような流れで行われるのでしょうか。
また、仮想通貨に対して送金税を課税することは、現状難しいことなのでしょうか。
今回は、そんなアメリカの送金税と仮想通貨との関連性について、気になる点を調査してみました。
トランプ大統領が発案した「送金税」とは?
まずは、トランプ大統領が発案した「送金税」について、もう少し詳しく掘り下げてみましょう。
そもそも、トランプ大統領は、基本的に経済面で保護主義の立場を取っています。
自国の利益のため国内産業を保護し、その成長を優先事項とする「アメリカ第一主義」を掲げています。
もちろん今回の送金税も、アメリカ第一主義の考え方に基づいて構成されている案の一つです。
簡単に主旨を説明すると、アメリカ国内で働く移民が稼いだ金銭を、各人がそれぞれの母国の実家に送金することを防ぐための提案です。
アメリカで稼いだお金がアメリカ国内で流通することで、経済回復につながるものと考え、海外送金に対する課税を強化する方針を打ち出したのです。
この送金税という概念ですが、日本への国際送金を例にとると、例えば海外で作った自分の口座から日本の自分の口座に送金する限り、税金はかかりません。
税金を家族や知人に贈与した際には、金額に応じて贈与税がかかるものの、送金税という概念自体があるわけではありません。
しかしそれはアメリカと比較した時に、日本には移民が少ないことが理由なのかもしれません。
※出典元:グローバルノート
上記のデータを見ると分かるように、日本は海外の国々に比べて、移民の数は多くありません。
アメリカが5,000万人近い移民人口を抱えているのに対し、日本では200万人ほどで、およそ25倍となっています。
アメリカの総人口が3.2憶人ということを考えると、およそ1/6の人数が移民となっている現状があり、その分だけお金が海外に流出することは想像しただけでもかなりの規模です。
そういった自国の事情を勘案した結果、トランプ大統領の政策は打ち出されているものと推察されます。
移民に対して厳しい姿勢を崩さなかったトランプ政権
トランプ政権の政策は、しばしば日本の「鎖国」に似ていると揶揄されることがあります。
これはもちろん、移民への厳しい姿勢に対して言われていることです。
アメリカでは移民問題が重要な論点として強調されており、特にメキシコ経由でアメリカに北上しようとする移民たちのことを、「アメリカを侵略しようとしている」とまで話すほど、トランプ政権にとって問題視されています。
この考え方はアメリカ国内の一部で反発を招いており、アメリカ自由人権協会ではこういった措置を「違法」とみなしています。
特に、不法滞在する両親と子どもが国境上で引き離されていた事案は、大きな政治的反発を生みました。
結局のところトランプ大統領は「家族を一緒にいさせる」ことを約束する旨を大統領令に署名したものの、基本的にアメリカに移民がやって来ることに対しては反対の姿勢です。
もっとも移民問題はアメリカに限った話ではなく、ヨーロッパではイギリスがEUを脱退する動きを見せ、EU各国に衝撃を与えました。
イギリスも人口に対する移民の比率は多く、グローバルノートでは第5位の移民人口を記録しています。
移民から搾取する悪質な雇用主の存在や、移民労働者に職を奪われた国民の疲弊など、移民問題は自国の状況を悪化させるものと考えざるを得ない状況に追い込まれる国は、決して少なくないのです。
メキシコ・ベネズエラなどで取引額が増大
このような事情を受けて、実際にアメリカで働いている移民やその家族たちは、アメリカドルでのやり取りで税金が取られないよう、仮想通貨プラットフォームの利用を開始しています。
メキシコやベネズエラでは取引高ベースで過去最高額を記録した時期もあり、メキシコでは50万ドルを超える送金額が記録されています。
海外送金に仮想通貨を使うという発想自体は、他の国でも行われています。
トルコでは仮想通貨が自国通貨よりも信用できると考える人もいて、財産の価値を守るために保有されていますし、銀行口座の保有率が低いフィリピンでは、口座代わりに仮想通貨のウォレットが使われています。
しかしこれから仮想通貨のメッカとなるのは、アメリカなのかもしれません。
送金税はビットコインの価値向上につながるか
ここまでご説明したように、ビットコインを使っていれば税金がかかることはなく、送金時にも高額の税金が差し引かれることはありません。
しかし、将来的に仮想通貨の利用に対して税金がかかることはないのでしょうか。
実は、行政側が仮想通貨の動きを完全に管理するのは、そう簡単な話ではありません。
ビットコインは個人間の支払いが可能なため、銀行という仲介先をはさまずに相手への送金が可能です。
一般的な硬貨に例えれば、硬貨を相手のポケットに入れる、もしくは封筒・便箋と一緒に郵送するようなこともできるわけです。
国の通貨であっても発行枚数は確認できるでしょうが、その国に暮らす各人が、それぞれ何枚の硬貨を保有しているか、知ることは非現実的です。
これは仮想通貨でも同様で、行政が仮想通貨のやり取りを全て管理するには、国中に緻密なインフラを整備しなければ不可能です。
このような事情から、ビットコインも含めた仮想通貨は、今後取引量が増えるものと期待されているのです。
仮想通貨による取引が活発化すれば、日用品だけでなく不動産など、小さなものから大きな買い物にも利用されるのではないでしょうか。
おわりに
国の厳しい規制は、時として国民や移民に想像力を発揮させます。
その結果、かえって国の裏をかくような動きに発展することも珍しくありません。
中国の仮想通貨規制は、取引所最大手のバイナンスをマルタ共和国に移転させてしまいました。
アメリカも中国と同様、送金税という規制をかけることで、マイナスの結果につながることがあるのかもしれません。