仮想通貨FX業者はなぜ破綻し、新しい業者が次々出てくるのか?
- 業者
- 2019.04.10.
- 仮想通貨FXブログ
- 仮想通貨FX業者はなぜ破綻し、新しい業者が次々出てくるのか?
仮想通貨FX業者を巡る環境は、仮想通貨の発生以来、目まぐるしく変化しています。
仮想通貨そのものがフィンテックの中でも技術の進歩が著しいという点もありますが、やはり大きな儲けが見込める分野だからでしょう。
ただ、仮想通貨は国を介した規制の対象外だった時代が長く続き、それゆえに起こった残念な事件もいくつか存在しています。
代表的な事件の一つとしては、マウントゴックス事件が挙げられます。
2014年時点で世界最大規模だった仮想通貨取引所Mt.Gox(マウントゴックス)は、当時で115億円相当のビットコインを流出させてしまい、信用を失って破産しました。
世界中で、ビットコインのおよそ7割程度がMt.Goxを介して取引されていたこともあって、仮想通貨の保有者に多大な影響を与え、仮想通貨に対する信用も世界的規模で失ってしまいました。
この事件で仮想通貨が引き出せなくなったユーザーは、およそ13万人以上。
しかも、原因はCEOが不正に顧客資産を流用したことだったため、その点も問題になっています。
後にビットコインの価値が急騰したことで、当時のユーザーに対して預け入れ資産の全額が返金できたものの、それは奇跡に近い確率ともいわれています。
このように、仮想通貨を巡る環境は、国家が管理する通貨に比べると、変化しやすいものです。
実はその点にこそ、仮想通貨FX業者の破綻理由や新しい業者が次々に出てくる理由が隠されています。
今回は、仮想通貨FX業者の思惑に焦点を当てて、その変化についてご説明していきます。
現金同様、窃盗のリスクもある仮想通貨
まずは、仮想通貨FX業者が破綻するリスクについて紐解いていきましょう。
そのためには、仮想通貨を保有する際のリスクについて考える必要があります。
仮想通貨は、その名の通り「仮想」であって、紙幣・硬貨のように明確な形を持っていません。
現物が存在しないため、ある意味ではゲーム感覚・決済システムの一部と捉えるのが自然かもしれません。
つまり、仮想通貨は電子情報に基づく通貨価値であって、その保護は現物に比べて脆弱になりがち、という特徴があります。
ITレベルの高い人や組織が、意図的にハッキングを試みれば、仮想通貨取引所にある顧客資産を守ることは難しくなるわけです。
「盗む」という行為に対するリスクは、人の目に触れやすいか・そうでないかで大きく違います。
より分かりやすく考えるために、現金とクレジットカードを例に説明しましょう。
ある人が財布を落としました。
その中に現金だけが入っていた人と、クレジットカードだけが入っていた人とでは、損をする可能性が高いのはどちらでしょうか。
この記事をお読みの方ならお分かりかと思いますが、正解は「現金」です。
現金が財布から抜き取られた場合、仮に自分とは違う指紋が財布に付いていたとしても、警察などが指紋を採取していない限り、窃盗犯を特定するのは難しいものです。
これに対してクレジットカードは、紛失した段階ですぐに使用停止できれば、不正利用される可能性は低くなります。
また実際に使おうと思っても、暗証番号やサインが分からなければ使えません。
万一使われたとしても、オンラインプロテクションのように、悪用された分は不問となる契約になっているカード会社もあります。
カード会社の眼がある分、不正がしにくくなっているわけです。
仮想通貨も通貨である以上、形がなくとも現金同様の扱いを受けます。
何らかの方法で財布(ウォレット)が盗まれてしまえば、結果的に仮想通貨自体を奪われることと同じになってしまうのです。
仮想通貨のデータ自体が改ざんされてきたわけではない
ただし、仮想通貨が何らかの形で流出する場合、仮想通貨のデータ自体が改ざんされたケースは稀です。
近年発生したモナコインの改ざんを除いては、仮想通貨自体はブロックチェーンという高度な技術を採用しているため、基本的に改ざんは難しいとされています。
※出典元:LIFESTYLE LAB
ブロックチェーンは、基本的に今までの取引が順番にブロックとして並んでつながっていて、それを実現しているのがハッシュ関数という暗号化技術です。
変換前のデータに万一細工がなされると、その時点で破損・改ざんが疑われる仕組みになっているため、証拠を残さない精巧なデータ改ざんが難しいのです。
そのような事情から、主に仮想通貨のハッキング対象となるのは、ビットコインなどの仮想通貨が数多く集まる「取引所」のセキュリティです。
また仮想通貨本体を自分のものにできなかった場合でも、意図的に価値を下げるなどして不正な金額で仮想通貨を大量に購入することなどは可能でしょう。
IT技術によって不正が特定しやすくなってきているとはいえ、韓国の仮想通貨取引所「youbit(ユービット)」のように、北朝鮮による国家レベルでのハッキング攻撃が行われてしまうと、民間レベルではどうしようもないところがあります。
このようなリスクを回避するために、多くの国が規制を設けたり、セキュリティを強化したりする流れで政策を進めているのです。
規制やセキュリティに対応しきれず、日本でもいくつかの業者が廃業に追い込まれています。
FX取引を行う場合、海外では円ではなくビットコインで取引を行うことから、ビットコインの安全性が揺らげば取引そのものにも影響してしまいます。
安心して保有できる通貨でなければ、取引の場自体が提供できないのです。
リスクはあるが国を超えてやり取りできるメリットがある
このように、仮想通貨の悪い面にフォーカスすると、やはり胃が痛い思いをするトレーダーは多いと思います。
しかし、仮想通貨はリスクだけで構成されているわけではなく、多大なメリットも内包しています。
仮想通貨は、国を超えて自由に決済方法としてやり取りできる点が魅力です。
ビットコインの価値が高騰したのも、決済手段として一定の評価を得られたことが一因にあります。
仮想通貨FXで言えば、国家が管理する通貨に比べてボラティリティは10倍以上です。
その変動率を味方に付ければ、自分が思っている以上の利益を短期間で出すことは可能です。
また、利益が出る可能性が高いと分かれば、そこに投資家たちのお金は集中します。
世界大手業者・BINANCE(バイナンス)の純利益が桁外れであることからも分かるように、仮想通貨は依然として将来性の高い分野なのです。
ICOのような仕組みも、世界的に規制の流れとなるのは避けられないものの、新規事業者の有効な資金調達方法として、これからよりメジャーになっていくはずです。
IT企業が仮想通貨交換業者に参入できることの強み
2018年後半になってから、日本のみならず世界的に有名なIT企業が、続々と仮想通貨交換業者に参入しています。
将来的にFX・レバレッジ取引にまで発展するかどうかは不透明なものの、LINEや楽天といった企業が仮想通貨に参入の動きを見せています。
日本の動きで考えると、仮想通貨取引業者に対するルールが明文化され、リスク管理がしやすくなったことが一因と考えられます。
楽天に至っては、みんなのビットコイン株式会社を買収後、組織再編によって新たなサービスを発表しようとしています。
仮想通貨による決済需要を見越しての動きで、自社で有利に使える仮想通貨が将来的に発行されれば、利用頻度に応じて取引価値も上がることが予想されます。
特に、通販やフリマ・オークションといったネット主体で取引を行う分野では、仮想通貨に対するニーズがあるはずです。
楽天などは銀行も運営しているため、取引量の増大に伴い、よりハイリターンの取引も取り扱いが可能になるでしょう。
新しい業者が参入するのは、その先の大きな利益を見込んでいるからなのです。
おわりに
以上、仮想通貨FX業者が破綻した理由、それでもなお新しく参入する業者が登場する理由について、それぞれご紹介しました。
歴史が浅い分リスクと隣り合わせの仮想通貨ですが、その先にあるリターンの魅力にも、多くの新規参入者が気付き始めています。
取引所の破綻は、ハッカーとの競争が続く限り、今後も続く可能性はあります。
しかし、仮想通貨市場全体で見れば、今後の市況には希望が持てるといえそうです。