ビットコインの生みの親サトシ・ナカモトとは?
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- 2019.05.09.
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論文名「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」。
ビットコインという、情報化社会が産み出した新しい通貨は、この一つの論文からスタートしました。
2008年11月のことです。
もともと、中央集権から発行される通貨から独立した電子通貨の構想自体は、1980年代から存在していました。
しかし、具体的に運用するためには実用性が欠けていたため、システム開発に乗り出す人も少数派で、世界的にもそれほど認知されていませんでした。
そんな中、ある人物が海外のサイト The Cryptography Mailing List(metzdowd.com)上に論文を投稿しました。
複数の端末間で通信を行うP2P(ピア・トゥ・ピア)電子キャッシュシステムの論文として、仮想通貨・ビットコインを提唱したのです。
著者の名前はサトシ・ナカモト。
名前こそ日本人であるものの、その論文は英語で書かれており、実際に日本籍を持っている人なのかどうかは分かりません。
また、サトシ・ナカモト本人に会ったという人もいれば、自分自身がサトシ・ナカモトであると名乗る人もいて、本当のことが分かりにくい状況です。
今回は、ビットコインの生みの親、サトシ・ナカモトに由来する数々の謎や、本当の正体について考察・調査してみました。
サトシ・ナカモトの功績と謎
サトシ・ナカモトは、2009年に仮想通貨として使用に堪える初の実装をリリースしています。
その後、1年ほど開発に携わった後、2010年には他の開発者たちに開発を引き継ぎました。
彼こそが仮想通貨の基本的な仕組みとして知られる「ブロックチェーン」の概念を論文で発表した張本人であり、その概念は仮想通貨に関する技術が向上する中であっても、ビットコイン自体の基本的なセキュリティ構造として今なお存在します。
それだけの功績を残しながらも、自分が何者なのかを知られることなく、ネット上から姿を消してしまいました。
サトシ・ナカモトがビットコインの実装に携わっていた頃は、その間のやり取りもメールでしか行われておらず、実際に顔を見た人がいるかどうかも疑わしいようです。
事実、サトシ・ナカモトの存在を知っていると話す人も、メールでのやり取りをした人も、サトシ・ナカモトの顔や生年月日・出生地などを特定できていません。
そのため複数の情報が交錯しており、どれが本当の話なのかはいまだに分からないのです。
名前からは日本人もしくは日系人の可能性も……
本人の正体を、氏名から紐解こうと考えた場合、やはり考えられるのは日本人および日系人の可能性です。
名前から想像は膨らみ、ひょっとしたらこの人ではないかという問いは、世界中を駆け巡りました。
もともと、論文の内容からサトシ・ナカモトの性格はある程度推察されていました。
好意的ともその逆とも取れる解釈ではありますが、主なものは以下の通りです。
- 合理的であり中立的な考え方を持っている
- 富の一極集中に対して批判的な考え方がある
- 国家による経済ネットワークシステムの運営に不信感を抱いている
概要をまとめると、誰もが国境を越えて自由に取引できる通貨を作りたい、という発想が根底にあったものと思われます。
平等性を重んじ、世界的に見てユニークな発想をする日本人だったとすれば、このような発想が生まれてもおかしくないのかもしれません。
各種メディアも調査を試み、幾人かの候補者を取り上げました。
日本から候補者として名前が挙がったのは、京都大学の教授「望月新一」氏です。
数学者として抜群の才能を発揮し、アメリカで博士課程を修了すると、京都大学で32歳時に教授となりました。
結論から言えば、望月氏はサトシ・ナカモトであることを否定しています。
日系人としては、カリフォルニア在住の日系人「ドリアン・サトシ・ナカモト」氏も候補者とされていましたが、こちらも同様に否定しています。
オーストラリアで明らかになった正体?
やはりサトシ・ナカモトは伝説的存在のまま終わるのだろうと、仮想通貨に携わる人々があきらめを感じていた2016年、オーストラリアから新たな存在が浮上しました。
オーストラリア人のクレイグ・スティーブン・ナカモト氏です。
2016年のこと、クレイグ氏は自らをサトシ・ナカモトであると公表し、波紋を呼びます。
多くのメディアに取り上げられ、開発初期に携わった人間以外が持つことはない暗号鍵を使って電子署名をするなど、何らかの形で自分がサトシ・ナカモトであるという証明をしようと試みていました。
しかし、決定的な証拠として認められたものはなく、そればかりかクレイグ氏の周囲にはスキャンダラスな情報が集まっていました。
2013~2014年、クレイグ氏はオーストラリア税務局の減税制度を不正利用するために、偽のビットコイン信託をねつ造した詐欺の容疑で罰金等の支払いを命じられていたのです。
このことが遠因となって、クレイグ氏はサトシ・ナカモトを自称したとの説も流れ、クレイグ氏の旗色はどんどん悪くなっていきます。
極めつけは、自身が関与していた「ビットコインSV」が、仮想通貨取引所の最大手「BINANCE」において上場廃止となってしまったことです。
CEOのジャオ・チャンポン氏は、公式サイト上で上場廃止を公表した際、ビットコインSVには倫理に反する詐欺的な要因があるものと説明しています。
これは、クレイグ氏がサトシ・ナカモトだという説が詐欺同然のもので、信ぴょう性も低いとジャオ氏が判断したためです。
この説明を受けてビットコインSVの価値は急落しました。
実際にサトシ・ナカモト本人と話した人はいるのか
サトシ・ナカモトの存在自体は実在していたものと考えられていますが、サトシ・ナカモトとコミュニケーションを取っていた人であっても、実際には顔を見ていないと話しているケースがほとんどです。
しかし、仮想通貨取引所「SBIバーチャル・カレンシーズ」の大元である、SBIホールディングスの北尾社長が、サトシ・ナカモト氏と話をしてきたという発言が確認できました。
事実が明らかになったのは、2018年3月期第2四半期の決算説明会で、その中で「ナカモトサトシさんと議論をする機会があった」と話しています。
北尾氏は「正体は日本人ではない」と明言しており、信ぴょう性の高い情報と思われますが、サトシ・ナカモト自体が匿名性を重んじてネットから離れたのなら、誰に対しても正体を公表しないのではないかとの疑惑があるのも事実です。
そのほか、アメリカの機関によってサトシ・ナカモトの正体が特定されているという話もありますが、本当のところは証明されておらず、ニュースで顔写真が公表されるようなこともありません。
本当のところは2019年現在も分からない
国家機関が調査した結果が出ていること、大手企業の経営者が直に会って話を聞いていることからも分かる通り、サトシ・ナカモトという人・もしくは組織は、間違いなく実在しています。
しかし、誰がサトシ・ナカモトなのかという問いに対して、明確な答えは白日の下にさらされていません。
本人の意向もあるでしょうが、仮想通貨を使用している人間からすると、このまま秘密で終わってしまうよりもはっきり存在を明らかにした方が、仮想通貨に対する信頼性は高まるのではないかと推察されます。
とはいえ、プライバシーの問題もありますから、最終的に答えが出るかどうかは不透明です。
果たして、サトシ・ナカモトの生存中に本当の情報は公表されるのか。
今後の展開が楽しみです。
おわりに
ビットコインは、世界的に市民権を得た仮想通貨です。
日本でこそ本格的な普及に時間を要しているものの、海外では自国通貨以上の価値を見出している国もあります。
しかし、作り手の情報がほとんど謎に包まれている通貨というのは、どこか不安も感じさせてしまいます。
今後調査が進み、開発の背景などがより詳細に公表されれば、日本での信用度もより高まるかもしれません。