仮想通貨は金融市場の中で今後どうなっていくのか
- 考察
- 2019.05.14.
- 仮想通貨FXブログ
- 仮想通貨は金融市場の中で今後どうなっていくのか
2019年現在、仮想通貨が金融市場の中で占める割合はごくわずかです。
coinmarketcapによると、2019年5月14日時点での仮想通貨の時価総額はおよそ2,400億ドル(約26兆円)となっています。
それに対して、野村資本市場研究所の統計によると、金融市場の中でもっとも規模が大きい株式相場では、東京証券取引所だけを見ても600兆円を超える時価総額となっています(2018年11月時点)。
出典元:coinmarketcap
出典元:野村資本市場研究所・参考統計
また、世界の株式時価総額の合計が、2019年3月時点で45.7兆ドル(約5,000兆円)です。
これらの規模を相対的に比較したとき、仮想通貨の時価総額は株式に比べて0.5%の割合しかありません。
この状況は仮想通貨の将来の不確実性と、規模としてはまだまだ少数派であることを示しています。
※参考:myindex.jp
しかし、大手企業が仮想通貨事業に参入の動きを見せていることもあり、仮想通貨市場は今後活発化するものと予想されます。
もし株式市場の10%分の資金が仮想通貨に流れたとしたら、それだけで500兆円以上の規模になります。
これはつまり20倍にまで規模がふくれ上がることを意味しており、そのほかの金融商材から流入すればさらに規模は拡大します。
果たして、このような状況は、近い将来現実のものとなるのでしょうか。
各金融商材が占める割合も含め、その可能性を考察してみました。
法定通貨としては依然強い知名度を誇る米ドル
世界中の金融市場の中で、圧倒的な存在感を示している通貨があります。
米ドルです。
外貨FX取引などでも、各種通貨のペアとして選ばれていることが多く、一部外国では国内の法定通貨よりも流通している場合があります。
国際決済銀行がまとめた2016年4月のデータによると、為替市場における通貨別取引高では、米ドル・ユーロ・日本円が上位3通貨として圧倒的なシェアを誇っています。
出典元:Zuuonline
この結果から分かることは、米ドルは世界の基軸通貨であり、圧倒的な信頼と存在感を示しているということです。
仮想通貨は世界規模で流通しているため、性質だけで考えれば基軸通貨となる可能性を秘めているものの、一国の法定通貨ではないことから、すぐさま法定通貨と同様の信用を勝ち取ることは難しいかもしれません。
そこで、なぜ世界の通貨市場で米ドルが強いのか、その理由を考えてみましょう。
米ドルは、国際間での資本取引・貿易取引において、広く決済通貨として使われてきた歴史があります。
日本においても、貿易取引に使われる通貨の多くは米ドルです。
アメリカは強い経済力を維持しており、それが結果的に通貨価値の安定に寄与しています。
つまり、世界的に信用を勝ち得た通貨だからこそ、今の地位を確立していると言えます。
通貨の力関係は、単純な経済の利便性だけが関与しているわけではなく、国家間のパワーバランスも関係しています。
しかし仮想通貨は世界共通で使えることから、パワーバンスがそのまま価値に反映されるわけではありません。
各国政府や企業が共通の仮想通貨を使うようになれば、その価値も向上する可能性はあるものの、仮想通貨が実店舗・オンライン・貿易・公的機関で当たり前に使えるようになるまでは、金融市場で同様の価値を得ることは難しいでしょう。
金の価値は長年変わらず人気
法定通貨単体としては強い評価を得ている米ドルですが、それ以上に投資対象として長年の人気を保っているのが「金」です。
かつて米ドルも金本位制を採用していたように、金は財産そのものを示すシンボルです。
こちらは米ドルよりも時価総額は大きく、THE MONEY PROJECTの調査結果によると、2017年時点での世界の時価総額はおよそ850兆円と言われています。
仮想通貨と比較すると、時価総額は30倍以上です。
金はその名の通り各種通貨の根拠となっていた金属で、紀元前の時代から金が富を意味していました。
普段暮らしている中ではあまり現実味のない話かもしれませんが、仮に国家が破綻し紙幣が紙切れになってしまったとしても、金本体の価値に変わりはありません。
しかし、預貯金や株式とは異なり、利子や配当が発生しない点が投資商材としてはデメリットであり、どちらかというと守りの資産という意味合いが強いです。
現状の仮想通貨も、ビットコインなど時価総額が大きいものについては、保有して価値が上がるのを待つ点で金と同様の投資手法が考えられます。
しかし、仮想通貨はボラティリティが高く、安定した価値を持つ金に比べるとリスクは高めです。
各国の法定通貨は未だ強い信用がある
米ドルは世界の基軸通貨として根強いですが、当然通貨は米ドルだけではなく、国ごと・地域ごとに存在しています。
巨大経済圏を構えるユーロ・アジアを中心に強い信頼を築いている円、ヨーロッパをけん引する法定通貨である英ポンド、安全資産として評価の高いスイスフランなど、それぞれに特徴のある通貨が世界中に出回っています。
さらに、国内で利用される交換媒体としての通貨も含めると、当然膨大な額になります。
これはナローマネー(narrow money)と呼ばれ、日本は世界的に見てかなりの残高を持っています。
かたや仮想通貨は、種類こそ豊富で特徴もそれぞれ異なりますが、ユーザーが100%利点を理解して保有しているとは言い難い現状があります。
将来的に保有目的・流通目的といった形で使い分けができるような体制が整えば、仮想通貨が同様の注目を浴びる可能性はあるかもしれません。
金の項目でも述べたように、現状はまだ安心して保有できる仮想通貨に限りがあるため、早い段階での通貨価値の安定が望まれます。
株式を超える魅力を仮想通貨は提供できるか
最後に株式ですが、仮想通貨と株式は、そもそも同列に扱うことができません。
なぜなら、株式は投資対象として配当がもらえる投資商材であり、価値の保有および流通を原則とする仮想通貨とは、その性質が異なるためです。
しかし、その時価総額は圧倒的であり、その一部だけでも仮想通貨に流入すれば、経済効果は非常に大きくなります。
よって、仮想通貨がボラティリティだけでなく預貯金同様に利子を生むようなことがあれば、同様の地位を占めることは可能かもしれません。
問題は、ボラティリティの大きい仮想通貨で利子をつけたとしても、値動きが激しい状況で取引を成立させるのは難しいということです。
値動きの安定している仮想通貨Tetherなどは貯蓄に向いているかもしれませんが、それなら法定通貨を銀行で預金した方が多少ではありますが利子も付くため、お得だといえます。
バランスの取れた通貨や利子の概念など、より機関投資家に近い考え方で投資が行われるかどうかが、今後仮想通貨が株式の地位を占めるためには重要と言えそうです。
おわりに
仮想通貨は歴史が浅い分、トレンドに対する根拠はあいまいな部分があります。
しかし、依然として投資対象としては魅力があり、長い目で見れば発行当初よりも価値は上昇しています。
2017年末~2018年初頭の動きが極端だっただけであり、その後の長い下落の中でも相場はアップダウンを続けていました。
やがてその価値が落ち着けば、安定した成長が見込めるのではないでしょうか。
それぞれの通貨の特徴が理解されることにより、保有に向いている通貨・流通に向いている通貨などのすみ分けがなされたとき、仮想通貨の時価総額が法定通貨を超える日は近いかもしれません。