世界の富裕層はなぜ仮想通貨に投資しようとするのか
- 投資
- 2019.05.14.
- 仮想通貨FXブログ
- 世界の富裕層はなぜ仮想通貨に投資しようとするのか
イギリスの金融コンサルタント会社deVere Groupが、自社の顧客である「億万長者」を対象とした仮想通貨への投資調査を実施しました。
具体的には、保有資産の価値が100万英ポンド(およそ1億5,000万円相当)を越える個人に対して調査が行われています。
その結果、顧客の2/3以上が仮想通貨投資に前向きな姿勢を示していることが分かりました。
2/3の中には、既にビットコイン・その他の仮想通貨に投資を始めている顧客もおり、調査段階で投資を行っていない顧客も、2022年末までには投資する予定と回答しています。
この結果を見る限り、「仮想通貨は若くて資本の少ない人が投資するもの」というかつてのイメージは、2019年時点で大きく移り変わっています。
もともとハイリスク・ハイリターンと考えられていた仮想通貨取引は、次第に秩序を形成しているものと考えられます。
今回は、そんな時代の潮流について、富裕層が仮想通貨に感じているメリットから紐解いてみたいと思います。
仮想通貨技術の向上でナスダックも食指を動かす
2019年におけるアメリカ発のホットなニュースとして、アメリカの最大手証券取引所のナスダックが、仮想通貨取引所Bcauseに対して技術提供をするという情報が発表されています。
株式投資市場で培われたノウハウが仮想通貨市場に導入されることで、主にセキュリティ面での改善が目的ではないかと推察されています。
Bcauseは日本の企業も出資している会社で、スポット取引所・ビットコインマイニングプラットフォーム・デリバティブ組織の運営を含めて、仮想通貨エコシステムを実現している会社として知られています。
アメリカ初の個人向け仮想通貨デリバティブ取引所となる可能性がある取引所で、仮想通貨の未来を託されている取引所の一つです。
こうした優良取引所を保護するために、ナスダックが動いた側面は否定できません。
仮想通貨取引は、しばしばハッカーなどの攻撃を受けて資金が流出してしまうことがありました。
その結果、破綻してしまった取引所も数多く存在しています。
しかし、ナスダックが管理システムに介入することで不正行為がある程度防止できるのではないかと、仮想通貨投資家たちは考えています。
ナスダックが仮想通貨取引所をサポートする方針を打ち出した大きな理由の一つに、既に他分野の投資で実績がある機関投資家に、仮想通貨を保有してもらうことが挙げられます。
仮想通貨は投機目的の短期保有に傾いている現状があるものの、長い間資産として保有し続ける機関投資家が現れれば、次第に通貨価値が安定するものと期待も高まっていくでしょう。
これは富裕層にとって、仮想通貨に投資する大きな理由になるはずです。
仮想通貨の利便性は通貨として最適
仮想通貨は法定通貨と違い、どの国でも外貨扱いされることはありません。
つまり、国境がもたらす様々な面倒事を考えずに取引ができるということです。
国境を介した外貨取引には、いくつかの制約がつきます。
分かりやすい例として、海外旅行で考えてみましょう。
日本から韓国へと旅行する場合、大前提として「日本円を韓国ウォンに両替」しなければなりません。
その場合「レート」を考える必要があります。
日によってレートは変わりますから、その日の値段によって両替できる金額も変わってきます。
また、両替にあたって手数料もかかります。
さらに、両替所によって手数料も異なります。
空港近辺の両替所とソウル市内の両替所では、条件が大きく違うということはざらです。
このように、異なる通貨の価値を統一するにあたっては、いくつかの面倒事が発生します。
それに対して、仮想通貨はお店側が設備さえ整えていれば、両替の必要なくモノ・サービスを購入できます。
このスピード感は、法定通貨では得られないメリットです。
また、仮想通貨は銀行口座に該当するものを保有していなくても、ウォレットがあれば通貨を管理できます。
そのため、経済的な事情・国の事情で銀行口座が開設できない人たちにも、新たな金融商品を提供できる可能性があります。
国際送金をする場合にも、円建て・ドル建てのような面倒な手順を踏む必要がありません。
また、手数料はマイナーや取引所に支払うだけでよいですし、身分証などの情報も都度提示を要求されることはありません。
つまり仮想通貨には国境がなく、サービスの提供だけでなく、サービスを受けるのも非常に便利になりつつあるということです。
これらが富裕層にとって、これからの通貨として最適なものだと認識される要因となり、投資につながっているのではないでしょうか。
生活のデジタル化とともに通貨のデジタル化も必然
私たちの日常生活において、デジタル製品を見かけることが多くなりました。
仮想通貨もまたデジタル技術を応用して生まれた通貨であり、紙幣や硬貨と比べると、使い勝手は格段に良いはずです。
法定通貨は信用にもつながり、かつては多くの国でお札が富の象徴となっていました。
また、通帳に入っているお金を札束でイメージする人は、今なお多いものと思われます。
しかし、車や家のように高額の買い物をする際、わざわざ現金を引き出して支払うというのは、受け取る側も支払う側も面倒です。
そこで口座を経由して支払うことが増えてきましたが、これには銀行への手数料が必要なだけでなく、金額が高額なら別途手続きが必要になる場合もあります。
仮想通貨にはこのようなデメリットはなく、将来的には高額のやり取りも増えていくことが考えられます。
イーサリアムのようにスマートコントラクトを実装している通貨もありますから、今後、仮想通貨での取引が広まっていくにつれ、法定通貨や銀行を経由したやり取りは少なくなっていくのかもしれません。
富裕層はそのような未来を想定し、仮想通貨への投資を検討している一面もあると思われます。
仮想通貨に注目しているのは富裕層だけではない
ここまでご紹介してきた通り、仮想通貨は確かに富裕層から注目を集めています。
しかし、だからといって一般人が手を出しにくくなるかというと、その考え方もまた尚早です。
もともと仮想通貨市場はボラティリティが高く、投資ではなく投機として扱われ、投資家たちも敬遠していました。
また、流出や盗難のリスクも少なくなかったため、安心して自分の資産を預ける対象と考えるのは難しかったものと思われます。
しかし国が仮想通貨取引所のセキュリティ体制に対して規制を設けるなど、確実に以前より安全性は高まりつつあります。
また大手企業が仮想通貨業界に参入するなどの動きもあり、それとともに仮想通貨取引に対するネガティブな要素は、少しづつではありますが払拭されつつあります。
仮想通貨FXを含めた仮想通貨取引は、比較的少ない元手で大きな利益を生み出すことができるため、本来は富裕層ではなく、一般の人々が取り組みやすいものです。
ネガティブな要素が払拭されてくるにつれ、おそらく多くの人が仮想通貨取引に取り組むでしょう。
つまり今後は富裕層だけでなく、それ以外の多くの人も仮想通貨に対して注目していくはずです。
おわりに
仮想通貨の支持者は、主にミレニアル世代だと考えられていました。
しかし、その価値に気付いた億万長者たちは、次の可能性を求めて近々仮想通貨市場への参入を予定しています。
それが今後どのような結果になるかは不透明なものの、将来的に仮想通貨の価値安定につながるのなら、トレーダーは歓迎するでしょう。
仮想通貨を巡る今後の展開は、より期待値の高いものになりそうです。