海外の仮想通貨FX業者の本人確認はなぜ緩いのか
- 業者
- 2019.05.09.
- 仮想通貨FXブログ
- 海外の仮想通貨FX業者の本人確認はなぜ緩いのか
仮想通貨投資に慣れてくると「レバレッジの大きな、海外の取引所も使ってみようかな?」と検討することがあるかと思います。
海外の取引所の魅力は、レバレッジの大きさや取り扱い通貨が豊富なところでしょう。
また、「面倒な本人確認がいらないから」という理由で海外取引所の口座開設を検討している人もいるのではないでしょうか?
日本の取引所の場合、本人確認書類の提出は必須ですし、審査期間も長くかかります。
それに対し、海外の取引所だとメールアドレス登録のみで、即日から取引開始できるところがほとんどです。
口座開設手順や使い方については日本語で解説してあるWebサイトも多いですので、英語がわからない方でもそれほど抵抗を感じず使い始めることは可能でしょう。
しかしその一方で「日本の仮想通貨FX取引所とどうしてこんなに違うのだろう?」と疑問に感じたことはありませんか?
今回はそんな疑問にお答えしましょう。
そもそも口座開設の難易度はどのくらい違う?
そもそも日本と海外の仮想通貨取引所で口座開設の難易度はどのくらい違うのでしょうか?具体例で比較してみましょう。
日本の仮想通貨取引所の場合
日本の仮想通貨取引所で口座開設するためには、下記4つは最低限必要です。
- メールアドレス
- 本人確認書類(例:運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 銀行口座(入出金をおこなうための口座)
- スマートフォン(2段階認証設定のため)
ちなみに2段階認証設定とは、IPとパスワード入力のほかにセキュリティコードの入力を追加することで、不正アクセスを防止する手段です。
具体例を挙げますと、zaif(ザイフ)では下記ステップで口座開設します。
- メールアドレス登録
- パスワード設定
- 名前・生年月日・住所・電話番号など基本情報を入力
- 本人確認書類のアップロード
- 審査がおこなわれ、完了したら本人確認コード付きの郵送物を受け取る
- 電話番号認証
- スマートフォンで2段階認証登録
- 入金方法の設定が終わったら、取引開始
画面キャプチャ⇒zaif
このように日本の仮想通貨取引所で新規に口座開設しようと思ったら、本人確認書類提出や郵便物を受け取るなどの段階を経なければなりません。
具体的な審査期間について明記はありませんが、これまで口座開設をおこなったユーザーの声から数週間〜数ヶ月程度かかることが分かります。
ちなみに金融庁は平均的な審査期間を「1〜2か月程度」としています。
参照⇒ロイター
海外の仮想通貨FX取引所の場合
画面キャプチャ⇒Binance
一方、海外の取引所の多くは、メールアドレスとパスワード設定のみで口座開設が完了します。
日本の取引所のように本人確認書類の提出は不要ですし、審査にも時間はかかりません。
たとえば、上記画像はBinanceの登録画面ですが、メールアドレス・パスワード入力のあと「利用規約に同意」ボタンをチェックし、1番下の登録(Register)ボタンを押下することで、仮登録が完了します。
その後、ロボット確認(画面に表示されるスライダーを動かす操作)と、2段階認証の設定(推奨であり必須ではありません)を終え、証拠金さえ入金すればすぐに取引が可能です。
Binanceに限らず、ほとんどの海外仮想通貨FX取引所でも本人確認不要で口座開設ができるのです。
海外取引所の本人確認が緩い理由
日本と海外で本人確認の程度に差が出る最大の理由は、国による規制の有無です。
日本の場合、仮想通貨取引所が顧客と取引時に本人確認をおこなうことは、法律によって義務付けられています。
根拠は、平成29年4月に施行された改正犯罪収益移転防止法です。
本改正によって、下記取引時は顧客の本人確認が義務付けられるようになりました。
- 口座開設時
- 200万円超の仮想通貨と法定通貨等との交換時
- 10万円超の仮想通貨の移転時
改正の背景には、匿名性の高い仮想通貨がマネーロンダリングや脱税といった犯罪へ利用されることへの懸念があります。
「本人確認を義務付けることによって取引の健全化をはかろう」という政府の狙いがあるのです。
一方、海外における仮想通貨取引は自国政府の規制を受けていません。
また、日本の規制を受けることもありません。
そのため、本人確認不要もしくはきわめて緩い本人確認のみで口座開設ができるのです。
例外的に金融庁から警告を受けた海外取引所も
原則、日本の法律が海外の取引所に適用されることはありません。
しかし、例外的なケースもあります。
平成30年3月に、「無登録で仮想通貨業者をおこなった」として金融庁から警告を受けたBinanceです。
画面キャプチャ⇒金融庁 無登録で仮想通貨交換業を行う者について(Binance)
当時、香港に本社のあったBinanceは、本来であれば日本の法律が及ばないはずです。
しかし、日本居住者の利用者が多かったことや、ホームページから日本語に対応していたことなどから、「日本で営業をおこなっている」とみなされ、金融庁の警告を受けることになったのです。
国内外の仮想通貨FX取引所を利用する際は自己責任
海外取引所の本人確認が日本と比べて緩い理由は、政府当局による規制の有無によるものでした。
しかし政府が規制しているからと言って、日本の取引所の方が海外取引所より絶対安全と言い切ることは難しいのが実情です。
仮想通貨市場では取引所へのハッキングによる被害や詐欺被害が相次いでおり、「なんらかのトラブルが起こったときにもすべて自己責任」という点は、日本も海外も変わりません。
このことを踏まえて、本人確認が緩い海外の取引所を利用する際は、特に下記のことに留意しましょう。
- パスワードは忘れないよう厳重に保管する
- セキュリティ向上のため二段階認証設定をしておく
- 全ての資産を取引所のウォレットに置きっぱなしにしない
特に1つ目のパスワードについてですが、もし本人確認をおこなっていない(メールアドレス登録のみの)取引所で口座開設した場合は、パスワードを厳重かつ確実に保管しなければならないということです。
本人確認をおこなっていない以上、あなたのアカウントとあなたを紐付けるものはパスワードしかありません。
もしパスワードを忘れてしまえば、再発行に時間がかかるでしょうし、再発行すらできないことも考えられます。
そうなれば、取引所のウォレットに入れておいた仮想通貨や法定通貨は永遠に取り出せなくなってしまいます。
繰り返しになりますが、あなたの口座があなたのものであるということを証明することができないためです。
パスワードの保管は国内、海外の仮想通貨FX取引所を問わず大切ですが、特に本人確認が簡単にできてしまう取引所では気をつけるべきなのです。
まとめ
海外の仮想通貨取引所は「口座開設がスムーズ」「仮想通貨の種類が豊富」といったメリットがあります。
その一方で、本人確認をおこなっていないために万一パスワードを紛失した場合や他の人に盗まれた場合にトラブルに巻き込まれる可能性は極めて高くなってしまいます。
ただ、特に仮想通貨の世界では「国内の取引所だから安全」「海外の取引所だから危ない」という区別はできません。
「何があっても自己責任」という意識で、リスクを軽減できるような自己防衛策をとっていくべきなのです。