仮想通貨とトークンはどう違い、使い方も違うのか?
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- 2019.05.08.
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- 仮想通貨とトークンはどう違い、使い方も違うのか?
仮想通貨に関する情報を調べていると、しばしば目にするのが「トークン」という用語です。
メディアによっては、仮想通貨=トークンとして表記しているところも少なくありませんが、厳密にはこれは誤りです。
この記事へたどり着いた方にも、
「仮想通貨とトークンが別物だっていうのはなんとなく分かっているけど、いざ違いを説明しようとすると言葉に詰まってしまう……」。
そんな疑問をお持ちの方が多いことでしょう。
仮想通貨とトークンはどう違うのでしょう。
またトークンって何のために発行されるものなのでしょうか。
今回は仮想通貨とトークンの違いについて、わかりやすく解説します。
仮想通貨とトークンの違いが人に説明できるほどになれば、今後、仮想通貨に関するニュースを読む時の理解が深まりますよ。
そもそもトークンとは?広義のトークンから理解
突然ですが、あなたはこれまでにトークンを使ったことがありますか?
トークンの意味がはっきり分かっていなければ答えづらい質問かと思いますが、おそらくほとんどの人が過去に何度か、しかも何種類かのトークンを使ったことがあると思われます。
そもそもトークン(英語:token)という用語自体は、仮想通貨の世界で発生したものではありません。
本来の用語の意味としては「しるし」「証拠」「記念品」というものの他、「代用貨幣」「引換券」「商品券」というものがあります。
ここでは、トークンについて説明する上で重要な「代用貨幣」という意味に注目して話を進めていきます。
広義の「トークン」=「法定通貨の代わり(代用貨幣)」
たとえば、ショップで発行されているショップポイントがありますよね。
買物金額100円につき1ポイント付与され、ポイントを集めたら次回以降の値引きに使える、といったものです。
実はこのショップポイントはトークンです。
通販で貯めて使える楽天ポイントやAmazonポイントもトークンです。
ショップポイントだけではありません。
SuicaやWAONといったプリペイド式の電子マネーも、トークンです。
電子マネーは限られた経済圏や店舗でしか使えないものですが、法定通貨と同じ使い方をできます。
これらのように、法定通貨の代わりとなって商品やサービスの購入に使えるもののことをトークンと呼ぶのです。
広義のトークンについて理解できたら、次は狭義の、つまり仮想通貨の世界でのトークンについて見ていきましょう。
仮想通貨とトークンの違いを知る鍵はブロックチェーンにあり
仮想通貨の世界におけるトークンとは、ブロックチェーン技術を使って発行されるデジタル通貨のことを指します。
国が発行する法定通貨ではありませんが通貨ですので、発行主体である仮想通貨取引所が定めた経済圏内でモノやサービスの交換に利用できます。
その取引履歴はブロックチェーン上にすべて記録・公開されます。
また、その仮想通貨取引所において、上場を予定している仮想通貨に賛成・反対などの投票権利が与えられることもあります。
ここまでの説明だけでは「結局それって仮想通貨と同じじゃない?」と思うかも知れませんが、仮想通貨とトークンは使っているブロックチェーンによって区別されるのです。
どういうことかというと、独自のブロックチェーン技術を使っているデジタル通貨が「仮想通貨」、既存のブロックチェーン技術を使って作られたデジタル通貨が「トークン」です。
たとえば、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)は独自のブロックチェーンを使っています。したがって、これらは仮想通貨と呼べます。
一方、海外取引所のバイナンス(Binance)が発行しているバイナンスコイン(BNB)や、日本の取引所Zaifが発行するZaifトークン(ZAIF)は、トークンです。
ちなみに取引所がトークンを発行している例は多く、他にも大手取引所Huobiのフオビトークン(HT)や、OKEXが発行するOKBトークン(OKEX)などがあります。
はじめはトークンとして誕生して後から仮想通貨になるものもある
ここまで見てきたように、使っているブロックチェーン技術が独自のものか既存のものかで「仮想通貨」か「トークン」かが決定します。
ですので、発行当初は既存のブロックチェーン技術を借りる形で始まったものの、途中で独自ブロックチェーン技術を使うようになった場合は、トークンではなく仮想通貨になるということです。
たとえば、トロン(TRX)やイオス(EOS)という通貨は、もともとはイーサリアムを利用して発行されたトークン(「ERC20トークン」といいます)でした。
しかし後に独自のブロックチェーン技術へ移行したことによって、仮想通貨になったというわけです。
トークンが発行される目的は「資金調達」
仮想通貨取引所や企業がトークンを発行する目的は資金調達です。
従来の資金調達手段としては、新規公開株(IPO)が代表的です。
IPOとは、「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させることを言います。
引用元⇒カブドットコム証券
IPOに対し、ブロックチェーン技術を使った独自トークンを発行して資金を集める方法をICO(イニシャル・コイン・オファリング)と言います。
これは「Initial(最初の) Coin(コイン) Offering(売り物)」の略で、和訳すると「新規仮想通貨公開」です。
IPOもICOも不特定多数の人から資金を調達でき、より多くの資金を集めることで株式やトークンの価値が上がっていくという点は共通しています。
それではなぜ独自トークンを発行する取引所や企業は、従来のIPOではなくICOで資金調達しようと考えるのでしょう?
理由はいくつかあります。
- IPOのように厳格な審査がない
- 世界中の投資家から迅速・ダイレクトに資金調達できる
- 少額から購入(発行)できるため幅広い出資者から資金調達できる
- 配当金を支払う必要がない
- 議決権を与える必要がない
- 利子の支払いがない
このように、IPOよりも低コスト・短時間で・多額の資金を調達できるという点において、ICOが選ばれるのです。
ICOやトークンは発行が簡単ゆえに詐欺も多い
IPOと比較してメリットが多く感じられるICOですが、その反面、詐欺被害も多発しています。
前の段落でふれたように、ICOは発行にあたって厳格な審査があるわけでもなく、投資家に対して事業ビジョンを明確にする義務などもありません(もちろん明確にしたほうが出資を集めやすくはなります)。
IPOで資金調達できないスタートアップや団体も、ICOなら可能です。
このようにICOは一見自由度が高くて良いものに見えるのですが、それは一方で不正や詐欺を目的として発行しやすい状況であるともいえます。
ある米企業の分析によると「ICOの81%が詐欺」という結果もあります。
ICOにより時価総額が5000万ドル(約54億4200万円)以上に達したプロジェクトのうち、
・81%は詐欺
・6%は資金調達が完了する前に事業を中止
・5%は資金を調達しても、仮想通貨の取引開始に至らなかった
・4.4%は資金調達後、仮想通貨の取引を開始
・プロジェクトとして成功するのは1.9%
・将来有望なプロジェクトは1.8%
引用元⇒フォーブス・ジャパン 「ICOは8割が詐欺」 投資家が注意すべきこと
日本の金融庁もICOについて「高いリスクがある」とする注意喚起をおこなっています。トラブルに巻き込まれた時の相談窓口も設置されてはいますが、確実に救済してもらえるとは限りません。
ICOへ出資する時は「被害を受けても自己責任だ」という覚悟が必要です。
トークンを購入するに当たっては、このようなリスクがあることや、プロジェクト
の内容などをしっかり理解した上で、自己責任で取引を行う必要があります。
引用元⇒金融庁 ICO(Initial Coin Offering)について
トークン発行には専門知識不要
ちなみに、「独自トークンを作って発行する」というと、なんだかものすごく膨大な作業や専門知識が必要なように思えるかも知れませんが、実際はそうではありません。プログラムの知識がなくとも、誰でも手軽に作って発行することができるのです。
たとえばビットコインはプログラムを公開していますので、もしプログラムを読み解いてしくみを理解できれば、ビットコインをもとにして新たなトークンを発行できます。
プログラムを読み解くことができなくても、トークンを作ることに特化した仮想通貨を利用すれば、誰でも専門知識不要でトークンを発行することができます。
まとめ
仮想通貨とトークンの違いは、独自のブロックチェーン技術を使っているかそうでないかです。
トークンは誰でも簡単に発行でき、IPOに代わる新たな資金調達手段として注目を集めました。
仮想通貨の盛り上がりに付随して「トークンエコノミー」という言葉が認知されるようにもなりました。トークンエコノミーとは、既存の法定通貨の経済圏の外に、トークンによる小さな経済圏がいくつもできるようになる、という見方です。
一方で、トークンは発行の容易さゆえに不正取引や詐欺の原因になってしまうことがあります。
仮想通貨にも言えることですが、トークンへ出資する際や取引をおこなう際は、付随するリスクについても十分理解するよう努めましょう。