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法人で仮想通貨FXをする場合のメリット・デメリット

  • 税金
  • 2019.05.07.

仮想通貨FX取引で得た利益は、原則「雑所得」として分類されます。

雑所得は所得税の中でも比較的厳しい税制となっていて、他の所得と合算して税額を計算する総合課税の適用だけでなく、所得の金額に応じて住民税も含め最大で55%になる税率など、高額の収入を得ればその分税金の支払い分も増える仕組みになっています。

 

この状況下で少しでも税額を抑えようと考えたとき、選べる選択肢は主に以下の二つです。

 

  • 事業としての実績を出し、事業所得として納税する
  • 法人化して仮想通貨FX(投資活動)を行う

 

前者は、仮想通貨FX取引を専業とし、取引を継続できる収益を出すことで、事業所得として認めてもらう方法です。

後者も基本的には前者と同じ考え方で、利益にかかる税金を減らす思惑はあるものの、税制面で法人は個人と異なるため、個人とは違うメリットが生じてきます。

 

実際のところ、法人として仮想通貨FX取引を行った場合、個人で取引きするのとどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、法人で仮想通貨FXを行うメリット・デメリットを調査してみました。

 

 

取引による利益が大きいなら、法人化するメリットはある

個人で仮想通貨FX取引を行う場合、課税所得金額が膨らめば膨らむほど、税額も大きくなっていきます。

また、節税対策も限られているため、結果的に税額が大きくなってしまいます。

 

出典元:日本FX会計株式会社

 

上の図を見ると、個人で確定申告を行う場合、課税所得金額が一定の額を超えるにつれて、所得税と住民税の税率がどんどん大きくなっていきます。

4,000万円以上の利益が出た場合、何の対策も取らなければ半分以上は税金として支払う計算になるのです。

 

これに対して、法人が支払う税率は、実効税率ベース(法人税・法人住民税・法人事業税)で換算すると、以下のような内容になります。

 

出典元:日本FX会計株式会社

 

収入が少ない場合、税率は高く感じられますが、800万円を超える収入が見込まれた場合は個人よりも安くなるわけです。

稼ぐ金額が増えれば増えるほど、法人の方が有利に働くことが分かります。

 

ちなみに、これはあくまでも所得税と法人税等とを比較しただけに過ぎず、法人にはその他にもメリットとなる要素が数多くあります。

それは「家族に手伝ってもらった分を給与にできること」です。

 

夫婦で仮想通貨FX取引を本業とする会社を立ち上げ、妻が会社を手伝っていた場合、その労働の対価として給与を支払うことができます。

すると、支払った分がそのまま経費として計上できるため、納税額も減少します。

 

他にも、法人だからこそできる節税対策は数多く存在し、積もり積もれば個人で取引するよりも税額を安く抑えることが可能になります。

特に、現在の国税庁の見解によれば、雑所得となった仮想通貨の損失については繰越損失ができないため、マイナスが出てしまった場合は法人の方が得をします。

 

法人口座で取引を行った場合、損失を出した金額を10年間繰り越せるため、少なくとも10年間は損失額によって税金の支払いを相殺できます。

また、法人税には繰戻還付という制度があり、仮に初年度に利益を出していたとしても、次の年に損失が出た場合は翌年以降に損失を繰り越さず、前年に繰り戻して法人税の還付を受けられるのです。

 

このように、稼ぐ額や損失額の規模が大きければ大きいほど、法人は得をするようになっています。

仮想通貨で稼ぐ金額が大きいのであれば、法人化を検討する価値はあるでしょう。

 

法人化のデメリットは、折々でお金がかかること

先にご紹介した通り、法人化は仮想通貨取引による利益が大きければ大きいほどメリットがあります。

その反面、先立つものがない場合は、法人化することでかえって損をする可能性もあります。

 

まずは、税率の問題です。

個人で仮想通貨取引を行っている場合、利益が330万円までは税率は20%です。

稼いだ金額に応じて支払う金額が決まるため、ある意味では分かりやすいルールとなっています。

 

これに対して法人は、利益がそれほど出ていなくても、およそ21%の税率が適用される計算になります。

また、利益がまったくなかった年であっても、法人住民税の均等割だけは支払わなければなりません。

実際に支払う金額も数万円になることから、稼いでいない年には痛手になります。

 

次に、法人化するにあたっての費用です。

法人名義で仮想通貨FX取引を行う場合、当然ながら会社を設立しなければなりません。

 

このとき選択できるのは、株式会社か合同会社です。

諸費用をざっと計算すると、株式会社でおよそ20万円、合同会社でおよそ6万円が必要です。

また、司法書士に設立に関する諸々を依頼した場合は、それらの費用もかかるでしょう。

 

また、一生懸命費用を貯めて法人を設立しても、今度はその維持費がかかります。

まったく収入のない年であっても、法人住民税の均等割や税理士への報酬などがかかる分だけ、損失は膨らんでいくおそれがあります。

 

税額を減らすことができる経費も、個人に比べると内容を綿密にまとめる手間がかかる一方で、仮想通貨FX取引だけを事業にしているのなら、計上できる経費には限りがあります。

在庫を持つビジネス、仕入れなどでまとまったお金が動くなどの会社ならまだしも、事業実態のほぼ全てが仮想通貨取引ということであれば、経費として計上できるものは限られてきます。

 

日々の業務で使用するPCの代金やオフィスの賃料・電気代や電話料金などをまとめたとしても、個人レベルで計上できる経費はたかが知れているため、大きな利益との相殺は難しいでしょう。

 

税務調査は法人の方が行われる可能性が高い

一概に言える話ではないものの、事業規模や利益の額を考えると、個人よりも法人で仮想通貨FX取引を行っている方が、税務調査に遭遇する可能性は高くなります。

特に、仮想通貨取引に関する経理的な処理については、まだまだはっきりとした方針が定まっているとは言いにくい部分があり、これから何らかの形で修正申告が促される可能性は否定できません。

 

税務署・国税庁側も、極力利益を出している会社・個人を狙います。

個人の副業レベルで稼げる金額には限りがあるものですから、確定申告による納税額をチェックした結果、修正申告を狙えそうな会社を選ぶのは自然なことなのかもしれません。

 

税務調査を受ける場合、顧問税理士立ち合いのもとで税務調査を受ける法人がほとんどでしょう。

つまり税理士に支払う費用も必要になってくるわけです。

 

法人化という選択肢を選ぶ場合、個人では考える必要のなかった費用を想定しなければならず、それを補って余りある収入がある人に限りメリットがあると言えそうです。

 

おわりに

以上、法人として仮想通貨FX取引をする際のメリット・デメリットについて、いくつかご紹介してきましたが、法人口座を開設できる取引所と、そうでない取引所があるという点は理解しておいてください。

 

国内の仮想通貨取引所では法人口座を開設できる取引所が多数派ですが、GMOコインやDMMなど大手の中にも法人口座開設ができないところがあります。

このあたりは、口座開設時にサイト上でQ&Aを確認しておいてください。

 

また、個人口座は簡単に開設できますが、法人口座の開設はハードルが高くなります。

 

  • 登記している住所が賃貸マンションである。
  • 資本金が少ない。
  • 固定電話がない。
  • 自社ホームページがない。

 

このようなケースでは、審査に通らないことがあります。

まずは個人として一定期間実績を積む、もしくは別の事業(副業含む)で利益をあげてから、その上で法人化を目指すのが近道かもしれません。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

リスク警告

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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