BitMEXがTrading Technologies Internationalとのパートナーシップを発表
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- 2019.05.06.
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BitMEXが取引ソフトウェアを提供する企業Trading Technologies Internationalとパートナーシップを結んだことを発表しました。
BitMEXは世界で最もBTCの取引高が多いといわれている仮想通貨デリバディブ取引所であり、世界中に多くの利用者がいます。
この提携はBitMEXを利用している多くのユーザーにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
本記事では、このニュースとTT社の取引ツールの詳細、提携が及ぼす影響について解説します。
BitMEXがTTと提携
2019年4月18日、BitMEXを運営するHDR Global Tradingは、世界的な取引ソフトウェアプロバイダのTrading Technologies International,Inc.(TT)と提携することを発表しました。
提携によって、TT社の取引ツール「TTプラットフォーム」からBitMEXの市場情報を入手することができるようになります。
TTプラットフォームはプロのトレーダーやブローカーのための、有料の取引ソフトウェアであり、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物市場やドイツ取引所、インターコンチネンタル取引所(ICE)、ナスダックなど、世界の主要な国際取引所へアクセスすることが可能なものです。
つまり、TTプラットフォームを使って先物市場の取引を行っていたプロトレーダーが、提携によってBitMEXの市場データを簡単に見たり、BitMEXの100倍のレバレッジ取引を行えるようになるわけです。
この提携をきっかけに、TTプラットフォームを利用している機関投資家がBitMEXでの取引を始めることが十分に期待できます。
また、仮想通貨FX取引にプロ用のトレードツールを利用したいと考えていた人を、新たにBitMEXへ取り込める効果があるはずです。
世界最大の仮想通貨FX取引所であるBitMEXの利用者や取引量が今後はさらに増える可能性があるということです。
さらに、BitMEXの既存ユーザーにも大きなメリットがあります。
TTプラットフォームを使うことによって、自動注文やより複雑な注文を行えるようになるため、満足度は上がるはずです。
もちろんTT社にとっても、仮想通貨市場の利用者を新たにユーザーとして獲得できる効果が見込めるでしょう。
すなわち今回の提携は、BitMEXとTT社の双方に大きなメリットがある効果的な提携であるといえます。
TTプラットフォームとは
画像引用元:TTの概要-TRADING TECHNOLOGIES
TTプラットフォームは、先物取引やオプション取引、仮想通貨取引に使える取引ツールです。
デスクトップパソコンやノートパソコン、Android端末やiOS端末など、デバイスを問わずどんな端末からもアクセスできます。
接続方法は、次の3種類です。
- WEBブラウザ
- デスクトップアプリケーション
- モバイルアプリ(iOS、Android)
この中でも、特にデスクトップアプリケーションは、最大16台のモニタに複数のウィンドウを配置して市場を可視化できます。
最も要求の厳しいトレーダー向けに開発され、最高のパフォーマンスを誇るのは、このデスクトップアプリケーションです。
柔軟にカスタマイズできる取引画面
画像引用元:ブラウザアクセスの概要- TRADING TECHNOLOGIES
TTプラットフォームは、取引画面を柔軟にカスタマイズすることができるため、価格表やチャート、歩み値のウィジェットをマウスで自分の好きなように配置できます。
そして、取引種類ごとにワーキングスペースを保存しておけますので、例えば、ビットコインの先物取引用の画面と、イーサリアムの取引画面をかんたんに切り替えできるようになります。
また、ひとつひとつのウィジェットについても柔軟にカスタマイズできます。
例えば、先物の価格表には他の取引市場のタブを追加できるので、取引中でもワンクリックで他の市場の価格をチェックできるでしょう。
チャート分析機能が充実
チャートには、100以上のインディケーターを重ねて表示できます。
例えば、「Volume Price」と「ボリンジャーバンド」、「Stochastic Momentum Index (SMI)」の3つの指標を重ねて表示できます。
もちろん、描画ツールも付属しています。
サポートラインやレジスタンスラインを自分で書き入れて、チャートを分析できるでしょう。
さらに、「Add Comparison」機能でチャートを重ねて比較できるため、他のチャートとの価格変動に関連があるかどうかを一目で判断できます。
なお、チャートの表示形式は次の20種類から選択できます。
- バーチャート/カラーバー
- ベースラインデルタ
- ベースラインデルタマウンテン
- ローソク足/中空ローソク足
- HLC/カラーHLC
- ラインチャート/カラーライン
- 出来高新足
- 平均足チャート
- ヒストグラム
- マウンテンチャート
- 価格分布図
- ステップチャート/カラーステップ
- スキャタープロット
- 出来高ローソク足
- ウェイブ
一般的な取引所では多くても3種類程度ですので、非常にチャートの種類が充実していると言えるでしょう。
チャートからワンクリックで発注できる
画像引用元:チャート取引- TRADING TECHNOLOGIES
TTプラットフォームのチャートでは、ワンクリックでオーダーできる機能があります。
チャートの横に表示された青いバーをクリックすると「買い」、赤のバーをクリックすると「売り」の注文が発注されます。
従来の取引所の取引ツールよりも、注文に手間がかかりませんので、チャンスを逃しません。
さらに、発注した時点をチャートに表示することも可能です。
つまり、チャートを見ると、自分がどの時点で「買い」または「売り」の注文を行ったのかがひと目で分かるようになっています。
自分の注文を視覚的に捉えられるため、注文後の対応も素早くできるようになるはずです。
注文タイプが充実
TTを利用すると、従来利用している取引所のネイティブサポート以外の方法で注文することが可能になります。
TTを利用して可能になる注文タイプは、以下のものです。
- ブラケット注文
- アイスバーグ注文
- イフタッチ注文
- OBV 注文
- OCO 注文
- 再試行注文
- ストップ注文
- 時間切り注文
- 時限注文
- トレイリング リミット注文
- ウィズ ア ティック注文
- OCO 注文管理アルゴ (OMA)
例えば、「時間切り注文」は、大量の注文を少量の注文に分割して発注する注文方法です。
発注すると一定の時間ごとに子注文が自動的に送信されますので、いちいち自分で小分けにして発注する必要がありません。
「トレイリング リミット注文」は、指値価格を「市場価格との差額」に合わせて注文する方法です。
指値価格が、変動する市場価格にあわせて注文に有利な方向に連動していくので、より約定する確率が上がります。
従来の取引所プラットフォームでは行えない多彩な注文方法を活用することで、より有利な取引がおこなえるようになるでしょう。
料金は月額700ドル(約77,000円)
TTプラットフォームの利用料金は、基本機能が入ったスタンダード版が月額700ドル(約77,000円)、高機能モデルのプロ版が月額1400ドル(約154,000円)となっています。
決して気軽に購入できるような価格ではありませんが、それでも世界でNo.1の取引プラットフォームとなっているのは、このTTプラットフォームが高機能であり、プロトレーダーに欠かせないトレードツールとなっているからでしょう。
TT社との提携が及ぼす影響
BitMEXがTT社と連携することで、より高度な注文を行う専業トレーダーが参戦してきます。
これにより機関投資家の資金がBitMEXへ流れこみ、BitMEXの取引はより活発になることが予想されます。
またこの提携をきっかけにして、BitMEXにさらなる革新的な動きが出てくる可能性もあります。
ただ、一部で言われているBitMEXのTPS能力が低いという説が事実であるとするなら、取引量が増えた場合にどうなるのかという点にも注意が必要です。
BitMEXの今後から、ますます目が離せない状況になってきました。