Bitflyerが新規口座開設を停止するに至った経緯と再開のめど
- 取引所
- 2019.04.22.
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- Bitflyerが新規口座開設を停止するに至った経緯と再開のめど
かつて、国内にある仮想通貨取引所の中でビットコイン(BTC)取引量ナンバーワンを誇っていたbitflyer(ビットフライヤー)。
しかし、bitflyerの新規口座開設受付(bitflyerFX含む)は、2018年6月から現在(※2019年4月19日)にかけて停止中のままです。
「bitflyerの新規口座開設はいつから再開されるの?」
「そもそもbitflyerは、なぜ新規口座開設を停止しているの?」
「bitflyerが新規口座開設を停止した後の経緯について知りたい」
本記事は、上記のような疑問を持った読者の方を対象にしています。
いつまで停止され続けるのか?そもそもなぜ停止中なのか?
本記事は、仮想通貨交換事業者bitflyerが新規口座開設を停止するに至った経緯や、再開のめどについてお伝えします。
bitflyer新規口座開設は現在も停止中
2019年4月19日現在、bitflyerの新規口座開設は依然として停止中のままとなっています。
また、再開時期についても未定です。
画像引用元:bitflyer公式サイト(https://bitflyer.com/)
bitflyer公式ホームページのトップページに掲載されているお知らせ(上図)には「適正なサービス運営態勢の構築およびご指摘事項の改善に全力を尽くすため、現在新規のお客様によるアカウント作成を自主的に一時停止しております。」と記載があり、新規口座開設の再開については今のところ特に触れられていません。
bitflyerは再開のめどについて、「適宜公式ホームページにお知らせする」と発表していますので、今後の動きについては公式ホームページの情報更新を待つようにしましょう。
なお、停止されているのは新規口座開設のみで、既存のユーザーはサービスを利用することができます。
ただし、一部のユーザーに対しては本人確認が再実施されるとのことです。
新規口座開設停止の原因は管理体制の不備
そもそもbitflyerが新規口座開設の受付を停止しているのは、2018年6月22日に金融庁から行政処分(業務改善命令)を受けたことがきっかけです。
金融庁の調査によって、一部のbitflyerユーザーに対し本人確認プロセスの不備があったと認められたのです。
通常、仮想通貨取引所で新規口座を開設する際は、身分証の提示など本人確認が義務付けられています。
もちろんbitflyerの新規口座開設においても本人確認がおこなわれていたのですが、一定のユーザーに対してはプロセスに不備を残したまま新規口座開設できる状態になっていたようです。
bitflyer新規口座開設停止の経緯
この項では、bitflyerが新規口座開設停止に至るまでと、その後の経緯を時系列で見ていきましょう。
先に、大まかな流れをお伝えします。
- 【2018年6月11日】公式ツイッターアカウントが業務停止命令の可能性を否定
- 【2018年6月22日】金融庁から業務改善命令を受けたことを正式発表
- 【2018年10月1日】持株会社の設立と株式移転を実施
ひとつずつ詳細を確認していきましょう。
経緯1.【2018年6月11日】公式ツイッターアカウントが業務停止命令の可能性を否定
金融庁から業務改善命令を受けることになる10日前の2018年6月11日、bitflyer公式ツイッターアカウントは、SNS上に流れているデマ情報について注意喚起のツイートを投稿しました。
一部 SNS において、「当社が明日業務停止命令を受ける」「資金が動かせなくなる」との話題が出回っておりますがそのような事実は確認しておりません。
事実と異なる不明確な情報にご注意ください。
引用元:bitflyer公式ツイート(2018年6月11日)
【2018年6月22日】金融庁から業務改善命令を受けたことを正式発表
2018年6月22日、bitflyerは金融庁から資金決済に関する法律に基づく業務改善命令を受けたことを正式発表。
発表概要は、下記のとおりです。
- 本日(2018年6月22日)、bitflyerは金融庁から業務改善命令を受けた
- 一定のお客様に対し、本人確認プロセスに関する運用の不備が認められた
- 改善プランとして本人確認状況の再点検を行うことを決定した
- 内部管理体制が整うまでの間、新規アカウント作成を自主的に一時停止する
さらに、金融庁の出した業務改善命令の内容として「経営体制の抜本的な見直し」や「マネー・ロンダリング及びテロ資金供与に係るリスク管理態勢の構築」などの対応を求められていることをあわせて公表しました。
参照資料:bitflyer 当社への行政処分に関するお詫びとお知らせ
【参考】bitflyerの発表から翌日にかけてビットコイン価格が2.3%下落
bitflyerが業務改善命令を受けたニュースを受け、ビットコイン(BTC)の価格は急落。
22日正午から翌日までに2.3%下落しました。
ビットコイン以外にも、イーサリアムやビットコインキャッシュなどが数%下落し、それまで横ばいだった仮想通貨相場が下落傾向に入りました。
【2018年10月1日】持株会社の設立と株式移転を実施
金融庁から業務改善命令を受けて約3ヶ月後の2018年10月1日、bitflyerは持株会社「株式会社bitFlyer Holdings(ビットフライヤーホールディングス)の設立を発表。
株式会社bitflyerは、株式会社bitFlyer Holdingsの完全子会社となる株式移転をおこないました。
ホールディングス化した背景についてbitflyerは、コーポレート・ガバナンスの強化とコンプライアンス体制の徹底を図ることが目的であることを発表。
株式会社bitflyerの代表取締役には、顧問だった鈴木信義氏が新たに就任しました。
参照資料:bitflyer 持株会社「株式会社 bitFlyer Holdings」設立と株式移転のお知らせ
金融庁の仮想通貨交換業者に対するこれまでの取り組み
ここまで、bitflyerの新規口座開設停止の経緯を見てきました。
金融庁の取り締まりの対象となった仮想通貨交換事業者は、今回取り上げたbitflyerだけではありません。
過去にも複数の仮想通貨交換事業者が行政処分を受け、今なお課題の改善につとめているのです。
2018年1月以降に行政処分を受けた仮想通貨交換事業者について、金融庁のホームページに掲載されている内容をもとにまとめました。
- 1月29日:コインチェック株式会社(本店:東京都渋谷区)
- 3月8日:株式会社ミスターエクスチェンジ(本店:福岡県福岡市)
- 3月8日:バイクリメンツ株式会社(本店:東京都港区)
- 3月8日:ビットステーション株式会社(本店:愛知県名古屋市)
- 3月8日:FSHO株式会社(本店:神奈川県横浜市)
- 3月8日:GMOコイン株式会社(本店:東京都渋谷区)
- 3月8日:テックビューロ株式会社(本店:大阪府大阪市)
- 3月8日:コインチェック株式会社(本店:東京都渋谷区)
- 4月6日:株式会社LastRoots(本店:東京都港区)
- 4月6日:株式会社エターナルリンク(本店:東京都中央区)
- 4月6日:FSHO株式会社(本店:神奈川県横浜市)
- 4月11日:ブルードリームジャパン株式会社(本店:岐阜県岐阜市)
- 4月13日:株式会社BMEX(本店:鹿児島県鹿児島市)
- 4月25日:みんなのビットコイン株式会社(本店:東京都港区)
- 6月7日:FSHO株式会社(本店:神奈川県横浜市)
- 6月22日:テックビューロ株式会社(本店:大阪府大阪市)
- 6月22日:株式会社ビットポイントジャパン(本店:東京都港区)
- 6月22日:ビットバンク株式会社(本店:東京都品川区)
- 6月22日:株式会社bitFlyer(本店:東京都港区)
- 6月22日:BTCボックス株式会社(本店:東京都中央区)
- 6月22日:QUOINE株式会社(本店:東京都中央区)
- 9月25日:テックビューロ株式会社(本店:大阪府大阪市)
参照サイト:金融庁 暗号資産(仮想通貨)関係
このように、現在までに複数の仮想通貨交換事業者が行政処分を受けており、複数回にわたって改善を求められているところもあるのです。
金融庁の取締強化のきっかけは2018年1月のコインチェック事件
金融庁の取り締まりが強化したきっかけは、2018年1月に発生したいわゆる「コインチェック事件」です。
コインチェック事件とは、当時みなし事業者(金融庁への登録が認可されていない仮想通貨交換事業者のこと)だったコインチェックがハッキングの被害を受け、580億円相当の仮想通貨が流出した事件です。
世界にも例を見ないほど巨額の損失が出たこの事件では、コインチェックの管理体制の不備が指摘されました。
この事件によって金融庁の取り締まりは本格的に強化しましたが、一方で仮想通貨交換事業者らによる自主規制団体「日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)」の発足が促されるなどの動きもありました。
bitFlyerは本協会の第一種会員です。
日本仮想通貨交換業協会は、2018年10月24日に金融庁の認定を受けました。
参照サイト:日本仮想通貨交換業協会 資金決済に関する法律第87条に基づく認定資金決済事業者協会の認定取得のお知らせ
まとめ
bitFlyerの新規口座開設は現在停止中で、今のところ再開のめども立っていません。
今後の進展については、bitFlyerの公式ホームページで確認しなければなりませんが、bitFlyerが行政処分を受けたのは、本人確認プロセスの問題です。
その点さえ改善されれば、bitFlyerは仮想通貨FXの取引プラットフォームとして活用するのに問題ないように思えます。
bitFlyer以外にも金融庁から行政処分を受ける仮想通貨交換事業者も多く、日本における仮想通貨市場の将来性にマイナスイメージを抱いている人も知れません。
しかし前向きに考えれば、現在は仮想通貨市場の安全性を高めるための過渡期ともいえます。
今年3月には、仮想通貨の呼び名を「暗号資産」へ変更する改正案が閣議決定されるなど、国内の仮想通貨市場は着実に改善の方向へ進んでいます。