グレースケールが投資家のビットコイン投資への意識を調査
- ビットコイン
- 2020.10.29.
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画像引用:Grayscale
2020年のビットコインは3月に新型コロナウイルスの影響で大きく下落しましたが、その後は上昇を続けており、2020年10月28日時点では140万円台に届こうかというところまで上昇しています。
この背景にはやはり新型コロナウイルスの影響があり、経済支援策としての量的緩和が実施されていることが原因であると仮想通貨関連メディアなどが指摘しています。
つまりFRBなどが大量の紙幣をバラ撒いていることによるインフレが懸念されているとメディアは説いているわけです。
メディアはこう報じていますが、実際の投資家はビットコイン投資についてどのように考えているのでしょうか。
その答えを導き出せそうな意識調査を、米の投資会社であるグレースケールが実施しました。
その内容や結果はどのようなものだったのでしょう。
このニュースについて詳しくご説明しましょう。
米グレースケールが投資家1,000人に意識調査を実施
ニューヨークに拠点を置く仮想通貨投資ファンドであるGrayscale(グレースケール)社が、米国内の投資家1,000人に対し、ビットコイン投資への意識調査を実施した結果をレポートとして発表しました。
意識調査概要
グレースケールの投資家に対する意識調査は、以下のように実施されました。
- 調査実施期間:2020年6月末から7月上旬
- 調査対象者 :米国在住で年齢25歳~64歳の投資家1,000人
- 年収 :世帯での年収が5万ドル以上
- 投資資本額 :年金や不動産などを除き、1万ドル以上投資できる資本がある人
意識調査結果
「Bitcoin Investor Study(Google翻訳:ビットコイン投資家調査)」と題された、投資家を対象にしたビットコインの投資に対する意識調査結果をまとめたレポート内容の中から、興味深い点を幾つかピックアップしてみました。
ビットコイン投資に対する関心度
ビットコイン投資に関心を持っていた人は2019年には36%でしたが、今回の調査ではおよそ20%増の55%に増えています。
つまり投資家の半数以上がビットコイン投資に関心を持っているということになります。
画像引用:Grayscale
ビットコイン投資を始めた時期
既にビットコインに投資をしている人に対しては、いつからビットコイン投資を始めたのかという質問を投げかけています。
投資を始めた時期は以下のように分類できました。
画像引用:Grayscale
38%の人は4ケ月前から投資をはじめ、26%の人が5~6ケ月前から、19%は7~12ケ月前からビットコイン投資を始めています。
これは合計83%の人がこの1年以内にビットコイン投資を始めており、その中でも4ケ月以内に投資を始めた人が最も多かったことになります。
この意識調査自体が2020年6月末から7月上旬にかけて実施されているため、4ケ月以内とは2020年3月頃の計算になります。
つまり、新型コロナウイルスによって経済の先行きが不安定になり始めた時期にビットコイン投資を始めた人が最も多いということです。
ビットコイン投資を始めた動機について
投資の対象となる金融商品は株式や債券、GOLDなど色々なものがありますが、どうしてビットコインに対して投資をしようと考えたのでしょうか。
その理由として挙げられたのが、ビットコインに対する投資は小額から始められるだけでなく、少しづつ投資額を増やしていくことができるというものでした。
このことが動機となった割合は、2019年は59%でしたが、2020年には65%にまで増えています。
レポートでは株や債券は小額では購入しづらいが、ビットコインは小額でも簡単に購入することができることは、投資を始めたばかりの人にとって非常に重要であると指摘しています。
画像引用:Grayscale
上記以外にビットコイン投資の動機となっているのが、ビットコインは将来的に大きく成長していく資産であるとする認識です。
このことをビットコイン投資の動機として挙げている人は、2019年では51%でしたが、2020年には59%と増加しています。
また投資家の中で、既にビットコインに対する関心があった人の場合、この動機は79%にまで跳ね上がっています。
新型コロナウイルスのビットコイン投資への影響について
「ビットコイン投資を始めた時期」では、新型コロナウイルスのパンデミックが世界中で起こっていた時期にビットコインに投資した人が最も多かったことが分かりましたが、果たして新型コロナウイルスのパンデミックはビットコイン投資に影響していたのでしょうか。
この質問に対して、2020年3月頃にビットコイン投資を始めた人のおよそ3分の2は、新型コロナウイルスのパンデミックが投資の意思決定に影響したと答えています。
さらに、新型コロナウイルスによってビットコイン投資における魅力は高まったと感じるかという質問に、否定的な人は13%でしたが、39%の人は魅力が高まったと答えています。
これは否定的な人に比べ、3倍数の投資家が魅力が高まったと感じていることになります。
画像引用:Grayscale
そしてビットコインの魅力として挙げていたのが、発行枚数があらかじめ決められていることや検証が可能であること、グローバル市場と相関関係がないこと、国や政府に管理されない存在であることです。
これらがビットコインに備わっているため、市場が大きく変化し、景気が後退する時には資産の安全な避難先になると考えていることも分かりました。
なおビットコインを資産の避難先と考える投資家の年齢層は35歳~44歳が最も多く、不動産や国債などの伝統的な金融資産は経済低迷時のヘッジになりにくいと考えているようです。
そのためこれらの代替え案となる金融資産を探している状態であるとレポートでは述べています。
グレースケールの総論
投資家に対してビットコイン投資に関する意識調査を実施し、このレポートをまとめたグレースケール社は、レポートの最後に総論として今後の予想をまとめています。
そこには、この1年でビットコインは多くの投資家に受け入れられるようになってきたこと。
さらに投資市場に参加している人々は、ポートフォリオに避難場所になる機能を持った投資先を求めていること。
また今後は教育水準の高いデジタル世代が投資に参入してくることから、デジタル形式の価値に目を向けることが当然であり、ビットコインも長期的にはさらに成長する可能性があるとも記述しています。
まとめ
米投資会社のグレースケール社が、投資家に向けビットコイン投資に対する意識調査を実施した結果についてご説明しました。
このレポート内には、ビットコインの価格上昇が投資を始めた契機になっているなどの記述は一切ありません。
それよりも、仮想通貨関連メディアが報じているのと同じように、米の投資家もインフレや経済の先行きに不安を感じてビットコインに投資し始めたことが分かります。
同時に、資産の避難場所を求めている投資家が多く存在していることも明確になりました。
そしてレポートの最後にあったように、ビットコインは長期的には成長、つまり価値が上がっていくのは半ば当然であると米の投資家は考えているのでしょう。
すなわちビットコインは多少の上下があったとしても、将来的に価格は上がり続けるはずだと考えられているということになります。
数年後、数十年後のビットコインがどうなっているのか、楽しみです。