米大統領選の民主党有力候補者が仮想通貨規制に言及
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- 2020.02.20.
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2020年は米大統領選挙の年であり、各候補が予備選挙に向けての選挙戦を戦っています。
世界に大きな影響力のある米の大統領選挙であるため、各国から非常に高い注目が集まっているでしょう。
現在の米大統領であるトランプ氏は仮想通貨に積極的とはいえず、その影響からか中央銀行発行のデジタル通貨CBDCに対する各国の取り組みが進んでいる中でも、米はやや出遅れている感があります。
大統領が誰になるかによって、仮想通貨の今後にも大きな影響が及んできます。
そしてその影響は米国内だけでなく、世界にまで及ぶものになるはずです。
これほど仮想通貨の今後に影響がある米大統領選挙で、有力候補とされているMichael Bloomberg氏が仮想通貨規制のあるべき姿として整備案を公表しました。
はたしてどのような整備案なのでしょうか。
仮想通貨の行く末を左右する米大統領選の候補が公表した仮想通貨規制整備案について、詳しくご説明しましょう。
米民主党の大統領選有力候補が仮想通貨規制に言及
2020年の米大統領選の民主党における最有力候補とされているMichael Bloomberg氏が、仮想通貨規制についての整備案を公表しました。
Bloomberg氏の仮想通貨の現状についてと整備案については、仮想通貨やブロックチェーン関連情報メディアであるThe Blockが報じています。
画像引用:The Block
Michael Bloomberg氏の仮想通貨規制整備案
Michael Bloomberg氏は米大統領候補として金融改革についての構想を発表しました。
その中には米の金融システムから利用者の保護までが盛り込まれていましたが、さらに仮想通貨に関する法整備に関しても言及されています。
「暗号通貨は数千億ドルの資産クラスになりましたが、規制の監督は断片化され、未開発のままです」
「ブロックチェーン、ビットコイン、ICOのすべての約束には、誇大広告、詐欺、犯罪行為もたくさんあります。」
引用:The Block Google翻訳
すなわちMichael Bloomberg氏は、仮想通貨がこれだけ大きな資産になっているにもかかわらず、関連する規制機関は分断され整備もされておらず、そのために仮想通貨に関連した違法な行為が横行していると主張しているわけです。
そしてこれらを解決するためには、以下の施策が必要だと述べています。
暗号通貨を監視する責任の明確化、ICOのフレームワークの提供、暗号関連詐欺からの消費者の保護、暗号投資への課税の明確化、暗号通貨を保有する機関の資本の定義を提案しています。
引用:The Block Google翻訳
つまり、仮想通貨監視機関がどこからどこまでの責任を負うのか、トークンと証券との定義を明確にしてICOの枠組みを法的に定めること、犯罪からの保護、不明瞭で分かりにくい仮想通貨に対する税制の改革に加え、仮想通貨保有企業に必要な資産などを明確にする必要があると訴えています。
Michael Bloomberg氏のプロフィール
Michael Bloomberg氏は、本サイトでも度々ご説明している大手メディアであるBloombergの創業者でありながら、第108代ニューヨーク市長でもありました。
またWHO親善大使と民主党の政治家という顔も持ち合わせています。
さらに世界的にも有名な大富豪で、フォーブス誌の2018年版世界長者番付では11位に入っており、米でも知らない人がいないほどの人物です。
他の大統領候補の仮想通貨に対するスタンス
Michael Bloomberg氏の仮想通貨に対するスタンスは上記の内容から、積極的に取り組んでいこうとする姿勢であることが分かるでしょう。
ではMichael Bloomberg氏以外の大統領候補は、仮想通貨に対してどのようなスタンスを取っているのでしょうか。
Andrew Yang氏
民主党のAndrew Yang氏は、2019年4月に仮想通貨規制についての国家的な枠組みを発表しており、各機関同士の仮想通貨規制領域が重複している点についても明確にしていく必要があることを公表していました。
さらに同年5月に開催された仮想通貨やブロックチェーン関連イベントに出席し、ブロックチェーンが将来的に大きな部分を占めなければならないと述べていました。
大統領選の投票に関しても、ブロックチェーンを活用すれば投票所に長時間並ぶ必要がなく、携帯電話で不正ができない投票になり、本当の民主主義が実現できる旨を述べています。
また実際に仮想通貨での献金を受け付けるなど、仮想通貨に対して活発な活動を展開していましたが、民主党の大統領選候補者争いからは脱落してしまいました。
Eric Swalwell氏
そしてもう1人、仮想通貨に関する公約を発表していた民主党議員がいます。
米下院諜報特別委員であり、民主党下院運営政策委員会における共同議長を務めていたEric Swalwell下院議員です。
Eric Swalwell氏は、ブロックチェーンについての可能性について述べていたことがあり、普段の生活がもうすでにオンライン上に存在していることから、投票に関してだけでなく、民主化と経済発展にもつながっていく旨を説明していました。
さらに仮想通貨による献金も開始していましたが、残念ながら大統領候補者争いからは脱落しています。
Elizabeth Warren氏
そしてもう1人が上院議員でもあるElizabeth Warren氏です。
Elizabeth Warren氏は以前から仮想通貨に対して批判的な発言をすることで知られており、詐欺的なICOによって仮想通貨利用者が被害を受けるとの懸念を何度も述べていただけでなく、仮想通貨自体は簡単に盗むことができるものであると批判していました。
ただし、上院銀行委員会公聴会では「消費者の保護をしながら仮想通貨の生産的側面をどうやって促進するのかが重要だ」とやや批判の方向を変えてきているようです。
Elizabeth Warren氏は現在も民主党の大統領選候補として健闘しているようです。
トランプ大統領の仮想通貨に対するスタンス
では現在のトランプ大統領は、仮想通貨に対してどのようなスタンスを取っているのでしょうか。
トランプ大統領は仮想通貨に以前から否定的で、自分自身は仮想通貨を支持しないことや価格が不安定で資産としての価値の裏付けがないなどの発言をツイートしていました。
このことは2019年7月15日のニュース記事「リブラ公聴会直前の相次ぐ発言や動き」の中でも紹介しています。
また2021年度の予算教書では、シークレットサービスを財務省管轄下に編入して、仮想通貨取引の監視を強化していくことを提案するなど、仮想通貨に対する否定的な姿勢は変わっていないように見受けられます。
仮想通貨支持が本当の姿勢かどうか
現米大統領であるトランプ氏の仮想通貨に対する姿勢は上記のように否定的なものです。
一方、民主党の大統領選最有力候補とみられるMichael Bloomberg氏は仮想通貨に寛容で、積極的に活用できるための方策を検討しているように見受けられ、トランプ大統領と全く逆の方針を打ち出しています。
Michael Bloomberg氏が民主党の大統領選候補になれるかどうか、またなれたとしても大統領選を勝ち抜けるかどうかは選挙によって決まるため、不透明です。
しかしMichael Bloomberg氏の仮想通貨に対する方針や姿勢が、単に選挙戦を戦うためのものとして、トランプ大統領と差別化を明確にする道具に活用されてはなりません。
もし米大統領になったあかつきには、現在掲げている公約を間違いなく実行して欲しいものです。
まとめ
米大統領選はまだまだ始まったばかりです。
民主党の候補が決まるのも、2020年7月に開催される民主党全国大会まで待たねばなりません。
さらに共和党と民主党の選挙戦は年末近くにおこなわれるため、相当時間がかかってしまいます。
誰が大統領に選ばれるか現時点では全く予想も付きませんが、願わくば仮想通貨に理解があって、仮想通貨をより広く世界に広めてくれる人が選ばれて欲しいものです。