整いつつあるトレーダーの仮想通貨市場への参入環境
- 仮想通貨関連
- 2020.02.04.
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- 整いつつあるトレーダーの仮想通貨市場への参入環境
2019年12月末に発生した中国の新型コロナウイルスは、拡大の一途をたどっています。
その影響は中国の産業活動はいうに及ばず、世界経済にも少しづつ影響が出始めています。
これらのことを背景にしてか、2020年2月3日現在のビットコイン価格は101万円前後で推移しています。
価格が上昇することは、その価値を世の中が認めているということにも通じますが、今後ビットコイン価格はどう動いていくのでしょうか。
ビットコイン価格が上昇傾向にある現在、仮想通貨市場にトレーダーが再参入したり、機関投資家が参入しやすくなる環境が整いつつあることが報道されました。
もし彼らが仮想通貨市場に参入してくると、ビットコインを含め、多くの仮想通貨が一気に値上がりする可能性があります。
仮想通貨FXに取り組むのであれば、是非知っておきたいニュースでしょう。
このニュースについて、詳しくご説明しましょう。
およそ60億ドル分が仮想通貨市場に再参入の可能性
Bitcoinや暗号通貨について分析をおこなう企業であるQuantum Economics社の創設者、Marty Greenspan氏が、仮想通貨の調査を専門に行うMessari社のデータから、全ステーブルコインの合計額が既に60億ドルにも達しており、ビットコインに移行する準備も整っていると2020年1月30日にツイートしました。
約60億ドル相当のステーブルコインがビットコインに移行する準備が整っており、すぐに通知されます。
引用:Marty Greenspan Twitter Google翻訳
ステーブルコインは法定通貨などにペッグされている仮想通貨ですが、価値が安定している法定通貨にペッグされていることで、常に一定の価値を保つことができるのが大きな特徴です。
それゆえビットコインなどのように、ボラティリティの大きな仮想通貨からリスクを回避するために機関投資家などに多く利用されています。
そのことを裏付けできるものとして、世界的な仮想通貨取引所であるBinanceが提供しているBinance Researchのデータが挙げられます。
Binance Researchの2019年11月の調査レポートによると、仮想通貨資産として10万ドルから2,500万ドルを保有している69の機関投資家の96%がステーブルコインを利用していることが明らかになっています。
ステーブルコインの中で最も多く利用されているのはUSTD(テザー)であり、機関投資家が中国語圏か英語圏かを問わず、この状況は変わりませんでした。
またUSTD(テザー)は全ステーブルコインの中で40.25%の使用率になっていました。
USTD(テザー)は全発行量の80%が318口座によって所有されていることが過去に報道されており、ほとんどをクジラが所有していることが分かっています。
なお、この報道に関しては2019年8月9日のニュース記事「テザーは全体の80%がクジラに占められている」でもご説明しています。
Marty Greenspan氏が主張しているのは、この60億ドル分にもなるステーブルコインが再びビットコインなどに交換されようとしているということです。
そして、トレーダー達はビットコインなどに交換するタイミングを見計っているとも主張しているのです。
これだけの額のステーブルコインが例えばビットコイン市場になだれ込んでくれば、ビットコイン価格はどうなるのでしょうか。
また、どんなタイミングで参入してくるのでしょうか。
仮想通貨FXに取り組んでいる方にとっては、非常に気になるはずです。
野村総合研究所が仮想通貨投資の指標を提供開始
日本最大手のシンクタンクである野村総合研究所が、仮想通貨に投資する際の評価のベンチマークになる「NRI/IU暗号資産インデックスファミリー」のリリースを2020年1月29日に発表しました。
画像引用:NRI newsrelease
この「NRI/IU暗号資産インデックスファミリー」は、仮想通貨に対してノウハウがあり、なおかつ国内の仮想通貨取引所とのパイプがあるインテリジェンスユニット合同会社と共同開発されており、野村総研が金融情報データを提供している「IDS」から機関投資家に配信されます。
現時点でインデックスの対象になっている仮想通貨はビットコインとビットコインキャッシュ、イーサリアム、ライトコイン、リップルの5種類に限定されており、これらが選ばれた理由としては、日本国内の仮想通貨取引所で上場されているだけでなく、海外のカストディサービスでも保管が可能なものを基準としているとのことです。
また配信されるデータは「NRI/IU暗号資産インデックス(円)」と「NRI/IU暗号資産インデックス(ドル)」のみとなります。
「NRI/IU暗号資産インデックス(円)」は、日本国内の仮想通貨取引所で上場されているJPY「円」とのペアに関してのデータであり、NRI/IU暗号資産インデックス(ドル)」は、海外の仮想通貨取引所で上場されている米ドル(USD)ペアに関してのデータを配信します。
野村総研が仮想通貨投資指標を提供する背景
ではどうして今のタイミングで、野村総合研究所が仮想通貨投資のインデックスを配信することにしたのでしょうか。
このことに関して野村総合研究所は、世界中の国で仮想通貨に対する規制が進んできたこと、従来からある金融機関が仮想通貨市場に参入することでインフラが整備されつつあること、仮想通貨市場の流動性が以前と比べて高まってきていることを挙げています。
そしてこれらのことから仮想通貨が単なる投機手段ではなく、株式や債券のような従来からある資産以外の新たな資産となっている現状や、機関投資家や富裕層などが仮想通貨に投資を始めていることもインデックス配信の背景になっていることを説明しています。
これはつまり、仮想通貨は新しいオルタナティブ資産であると野村総合研究所が認めたということでもあるわけです。
他国での仮想通貨インデックス配信について
日本以外の国で、既に仮想通貨に関するインデックスを配信している事例をご紹介しましょう。
CF Benchmarksは2019年9月、英において規制当局のベンチマーク管理者として必要なライセンスを取得し、欧州において初めて仮想通貨のインデックスを配信することが可能となりました。
画像引用:CF Benchmarks
また米ではNASDAQが2019年10月からAIを活用し、仮想通貨の出来高上位100を示すことができるインデックス「CIX100」を、仮想通貨取引をしている全ての人に対して提供しています。
このニュースは2019年10月17日のニュース記事「取引指標になるNASDAQインデックスとeToroの感情分析」で詳しくご説明しています。
まとめ
トレーダーだけでなく、機関投資家までが仮想通貨市場に参入しやすくなる環境が整いつつある状況についてご紹介しました。
この環境の変化は、仮想通貨の位置付けが以前の「一部の人の投機対象」としての地位から、「多くの人が認める新たな資産」という位置づけに変わりつつあることと同義であるといえます。
多くの人々に関心を持ってもらい、仮想通貨が市民権を得ていくことは喜ばしいことではあります。
しかしそれは一方で、多くの人が取引に参加するということであり、これまでの仮想通貨の大きな特徴であったボラティリティの大きさが穏やかになる可能性も高くなるということです。
ボラティリティの大きさに魅力を感じ、仮想通貨FXに取り組んでいる方には厄介な問題でしょう。
そういう方にとっては、仮想通貨が正常に進化した姿として、いずれは受け止めなければならない時がやってくるのかもしれません。