仮想通貨やポイントの複合決済プラットフォームが開発開始
- 仮想通貨関連
- 2020.01.20.
- ニュース
- 仮想通貨やポイントの複合決済プラットフォームが開発開始
今の世の中には多種多様なデジタル通貨があふれています。
買い物で貯まるポイント、プリペイドカード的なもの以外に、仮想通貨もデジタル通貨の仲間に含まれます。
しかしこれらは使えるシーンや場所が決まっており、どこでも使えるわけではありません。
ある特定のポイントがたくさん貯まっていても、使えないところもあるのです。
これらのポイントや仮想通貨などがどんなところでも使えるようになれば便利なのに、と思った人は少なくないはずです。
JCBと富士通が、このような問題を解決できるプラットフォームの共同開発に着手し始めました。
このニュースについて詳しくご説明しましょう。
JCBと富士通が複合決済プラットフォーム開発に着手
数あるクレジットカード会社の中でも、日本国内で最も多くの人に保有されているJCBと、エレクトロニクス事業やIT関連事業を展開している富士通株式会社とが、共同でデジタル通貨を複合的に決済できるプラットフォームの開発に着手したことが2020年1月17日に発表されました。
画像引用:global.jcb
現在のデジタル通貨の問題点
現在はチェーン店舗の独自ポイントだけでなく、交通会社や流通会社のICカード、地域限定の通貨など、多種多様なデジタル通貨が氾濫しています。
しかもそれらを使う際には、その場所に応じたカードなどを所持・提示しなければ使えないだけでなく、提携も分かりづらいためにどこの店舗や施設などで使えるのかも判断しにくくなっています。
またデジタル通貨が多数あるために、それぞれは少額だけしか保有していないケースもあるでしょう。
さらに特定のポイントを大量に持っていても、提携している店舗や施設でなければ使うことはできません。
つまり、せっかく利用価値が高いデジタル通貨を保有しているのにもかかわらず、それぞれが分散しているためにうまく活用することがしづらい状況になっているわけです。
開発するプラットフォームの目的とは
JCBと富士通株式会社が開発を始めたプラットフォームは、分散している個人のデジタル通貨を連携や変換することで、その時に使用可能な支払い方式に沿った通貨やポイントにして利用できるようにするものです。
これにより、全てのデジタル資産をどんな場面でも有効に活用することができるようになります。
画像引用:global.jcb
プラットフォームに活用される技術
今回の開発プロジェクトは、JCBがこれまで積み上げてきた決済に関する知見と、富士通が開発した技術の両方があってこそ成立するものです。
活用される富士通の技術はコネクションチェーンと呼ばれ、ベースの異なるブロックチェーンだけでなく、エコシステムまでを包括的にブロックチェーンで相互接続するものです。
しかもその接続は、安全で安心できるものになっています。
だからこそ、これまで成しえなかった異なるブロックチェーン同士を接続でき、ポイントシステムなども包括的に処理できるため、個人が保有しているデジタル資産を連携・変換することが可能になっています。
なお富士通のこの技術コネクションチェーンは2017年11月15日、株式会社富士通研究所によって開発されたことがプレスリリースで発表されています。
画像引用:FUJITSU
今回、複数のブロックチェーン間を新たなブロックチェーンで接続し、各チェーンにおける一連の通貨交換に関わる取引処理を紐づけることで、全体を一つの取引として自動実行可能とするスマートコントラクトの拡張技術と、各チェーンでの取引処理の実行タイミングを同期させるトランザクション制御技術を開発しました。
引用:FUJITSU
既にJCBと富士通株式会社は、2019年4月からこの技術を用い、デジタル通貨の決済に関する実験を開始しており、今後はこれまで以上の具体的事例に関する検証だけでなく、どこまでのサービスが展開できるのかを検討していくフェーズに入るとのことです。
対象とされるデジタル通貨
発表されたようなサービスが運用開始されれば、多くの人が活用することは間違いないでしょう。
各種のデジタル通貨がどこでも変換されて使うことができるようになるのは、大きなメリットがあるからです。
しかしデジタル通貨の定義自体が非常にあいまいであり、開発されるプラットフォームがどこまでの範囲のデジタル通貨を対象としているかは大きな問題です。
特に、仮想通貨取引などに取り組んでいる人には、仮想通貨がこのプラットフォームの対象となるかどうかは非常に興味がある点でしょう。
このことに関してJCBが発表している資料では、デジタル通貨の多様性として資金調達のためのICOが紹介されており、証券をトークン化するSTOについても記述されています。
そしてこれらもデジタル通貨に求められている要素であると紹介されていることを考え合わせると、JCBと富士通株式会社が開発を開始したプラットフォームは、仮想通貨をも対象としていることが充分考えられます。
すなわち仮想通貨や地域通貨、各種ポイントなどを相互に連携・変換することを視野に入れて開発されているということになります。
これは可能性として、仮想通貨同士をも連携・変換することが可能になってくるのかもしれないということです。
もしそうであれば、これまで仮想通貨取引所を通じてしかできなかったビットコインとアルトコインを簡単に交換することができるようになるのかもしれません。
JCBが進めるB2Bへのブロックチェーン導入
JCBと富士通株式会社が開発を進めるプラットフォームは一般消費者個人を対象にしたものですが、JCBはB2B領域でもブロックチェーン技術を導入した決済ソリューションを開発しようとしています。
そのために2019年12月20日にカリフォルニアのスタートアップ企業であるPaystand Incと覚書(MoU)を締結しています。
これは日本の中小企業を対象にしたもので、背景には2019年10月に実施された消費税増税によって税率が異なる軽減税率導入に伴う経理処理などに加え、2023年に導入予定のインボイス制度などから、B2B決済においてもデジタル化が進むことを見据えたものです。
つまりJCBは個人を対象にしたプラットフォーム構築だけでなく、中小企業に対してもデジタル決済がおこなえるプラットフォームを構築しようと考えているということです。
まとめ
JCBと富士通株式会社が開発を進めるデジタル資産の複合決済プラットフォームについてご説明しました。
このプラットフォームが完成して運用が開始されれば、ますます現金決済が必要なくなり、デジタル決済が進むことになるでしょう。
ただし7payなどのように包括されるポイントなどに脆弱性があれば、全てに影響してくることも考えられます。
またこれまでハッキングされることがなかったポイントなどがターゲットになりうる可能性もあります。
各デジタル通貨が、それぞれにセキュリティ対策を進める必要があるでしょう。
そして仮想通貨はこれまで投機の対処と揶揄されることが多かったものの、このプラットフォームが運用されれば、通貨として十分機能させることができるようになります。
すなわち仮想通貨の名前の通り、通貨として活用することができるようになるということです。
発表されたプラットフォームは非常に便利なものではありますが、今後予測しない課題が表れてくる可能性もあります。
しかしこの一歩は、デジタル資産の新しい可能性を生み出す大きな一歩となるのではないでしょうか。