グレイグライト氏が110万BTCの秘密鍵入手を主張
- ビットコイン
- 2020.01.16.
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- グレイグライト氏が110万BTCの秘密鍵入手を主張
自分こそがビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトであると主張しているCraig Wright氏が、故Dave Kleiman氏とともにマイニングをおこなった報酬の110万ビットコインを独占しているとして、Dave Kleiman氏の遺族から所有権について訴えられていました。
これらに関しては、2019年8月28日のニュース記事「クレイグ・ライト氏が20万BTCの売り可能性を警告」、同年8月30日のニュース記事「クレイグ・ライト氏が裁判所勧告に徹底抗戦へ」でもご説明してきました。
Craig Wright氏は裁判の中で、この110万ビットコインにアクセスするための秘密鍵は第三者が保管しており、自分は現在アクセスできないと主張していましたが、その後、秘密鍵を入手したことが明らかになりました。
このニュースについて、過去のいきさつを含め簡単にご説明するとともに、110万ビットコインが今後どのように扱われる可能性があるのかも含めてご説明しましょう。
裁判所提出書類で秘密鍵入手が判明
Craig Wright氏が故Dave Kleiman氏とともにマイニングした報酬の110万ビットコインを独占しているとDave Kleiman氏の遺族から訴えられていた裁判において、Craig Wright氏が2020年1月14日アメリカ合衆国地区裁判所に提出した資料の中に、秘密鍵を入手したと記述してあることが分かりました。
画像引用:UNITED STATES DISTRICT COURT
アメリカ合衆国地区裁判所に提出された資料の中には以下のような一文が記述されています。
CRAIG WRIGHTの2020年1月10日の裁判所命令の順守通知
クレイグライト博士は、2020年1月10日付のこの裁判所の命令の遵守に関する通知を提出します。
具体的には、ライト博士は、第三者が暗号化されたファイルのロックを解除するために必要な情報とキースライスを提供したことを裁判所に通知し、ライト博士は治安判事によって命じられたビットコインの保有リストを今日原告に提出しました。
引用:UNITED STATES DISTRICT COURT Google翻訳
この資料からは、110万ビットコインの秘密鍵だけでなく、保管されている全アドレスを裁判の原告である故Dave Kleiman氏の遺族側に提供したことが分かります。
この裁判における和解後の経緯について
この裁判はCraig Wright氏がDave Kleiman氏の遺族側から共同でマイニングをおこなっていた110万ビットコインを独占していることで訴えられていましたが、2019年9月の裁判において半分のビットコインを支払うことを承諾したため、和解が成立していました。
ところがCraig Wright氏は2019年10月30日に遺族側に対して何の事前通告もなしに、和解金となる55万ビットコインの調達ができないため、和解を破ることにしたと通達しました。
この際、和解には拘束力はないという旨まで述べています。
原告側であるDave Kleiman氏の遺族側の主張では、この和解自体がCraig Wright氏からの要求であったこと、そして本人が和解金を調達できると表明したからこそ始まったものであるとしています。
この原告側の主張を信じるなら、Craig Wright氏は自分から持ち掛けた和解をいきなり破棄してしまったことになります。
画像引用:craigwright.net
またCraig Wright氏の主張によると、ビットコインの秘密鍵は第三者が管理しているため、保管してあるアドレスにもアクセスできず和解金を支払うことができないとのことでした。
この説明自体も和解の前提条件を崩してしまうことになります。
そのため裁判所は、Craig Wright氏に2020年2月3日の期限をもって秘密鍵の入手を命じていました。
110万ビットコインの検証の必要性
今回Craig Wright氏が裁判所に提出した資料によって、110万ビットコインにアクセスするための秘密鍵や全アドレスが伝えられたことが判明しました。
Craig Wright氏はこれまでの裁判の中で数々の偽証や前言を覆す内容の証言をおこなっているため、今回提出された秘密鍵やアドレスが正確なものなのかどうかを確認する必要があります。
さらに、本来は提示したアドレスに110万ビットコインが保管されていなければなりませんが、2018年12月、Craig Wright氏は裁判所によってDave Kleiman氏の死後に30万ビットコイン以上を換金して海外信託に移動していることを指摘されています。
そのため、提出されたアドレスにどのぐらいのビットコインが残されているのかも確認しなければなりません。
またCraig Wright氏がこれまで偽証や前言を覆す内容の証言をおこなってきたのは、既に110万ビットコインのほとんどを換金しているため、単に時間稼ぎをしたいからとも考えられ、確認の結果が待たれるところです。
20万ビットコインは売却されるのか
Craig Wright氏がまだ110万ビットコインを提示したアドレスに保管しており、Dave Kleiman氏の遺族に対して110万ビットコインの半分である55万ビットコインを渡したとすると、それでこの話は解決なのでしょうか。
実は裁判の途中でCraig Wright氏が主張していたことがあります。
それが冒頭でもご紹介した2019年8月28日のニュース記事「クレイグ・ライト氏が20万BTCの売り可能性を警告」の内容です。
このニュース記事の内容が俄然真実味を帯びてくるわけです。
改めてCraig Wright氏の主張していた内容を簡単にご説明しましょう。
Craig Wright氏は110万ビットコインの半分の55万ビットコインをDave Kleiman氏の遺族側に渡すと、Dave Kleiman氏はすでに亡くなっているために遺族側は相続税を支払う必要があり、20万ビットコインを売りに出す可能性があると説明しています。
米国における2020年度の遺産に関する基礎控除額は日本円にしておよそ11億円です。
しかし55万ビットコインを受け取ると基礎控除額を超えてしまうため、相続税を支払わねばなりません。
2020年度の相続税率は最高で40%ですから、55万ビットコインの40%にあたる20万ビットコイン分がちょうど相続税額と同等になります。
そのためCraig Wright氏は20万ビットコインが相続税支払いのために売られることから、ビットコイン価格の大幅な下落を招くと主張しているのです。
Dave Kleiman氏の遺族が55万ビットコインを受け取ることは正当な行為ではありますが、相続税の支払いのために20万ビットコインが売られてしまうと、ビットコイン価格は前代未聞の急落に襲われてしまうことが予想されます。
高値更新時に一気に売られる可能性
Craig Wright氏が本当に今も110万ビットコインを保管しているのか、また遺族側に55万ビットコインを本当に渡すつもりはあるのかは不明です。
また仮に110万ビットコインが存在しており、55万ビットコインを渡すつもりがあるとしても、実際に受け渡しがいつになるのかは分かりません。
つまり、遺族側によっていつビットコインが売られるのかは、現段階では予想がつかないのです。
ただし相続税の計算が、いつの段階でおこなわれるのかは非常に重要なことです。
相続税が確定した時のビットコイン価格が相続税に反映されるのであれば、その時の価格を高値更新したタイミングで売ろうと考えるでしょう。
その方が差額分の金額が残るからです。
しかしその際に大幅な急落があることは、覚悟しなくてはならないでしょう。
相続税の確定タイミングやどう計算するのかなどは報道されていませんが、幾らの価格の時に確定したのかを知っておくことは、急落の可能性を考えれば非常に重要なことです。
仮想通貨FXに取り組むのであればなおさらでしょう。
まとめ
Craig Wright氏が110万ビットコインの秘密鍵やアドレスを入手し、遺族側に伝えたとされる裁判資料を提出していたことに関して、その詳細や今後の影響についてご説明しました。
この裁判におけるCraig Wright氏の証言はこれまで信憑性がありませんでしたが、秘密鍵やアドレスは初めて示した具体的な証言だといえます。
これらも正確なものなのかどうか真偽のほどは分かりませんが、仮想通貨FXに取り組む人にとっては55万ビットコインが遺族によってどう扱われ、20万ビットコインがいつ売られるのかは気になるところです。
今後の情報をしっかりと見定めておく必要があるでしょう。