JVCEAが全加盟業者の統計データ最新版を公開
- 仮想通貨関連
- 2019.10.12.
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- JVCEAが全加盟業者の統計データ最新版を公開
画像引用:JVCEA 統計情報
日本に拠点を置く仮想通貨取引業者18社が加盟している日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が、全加盟業者の最新版統計データを公開しました。
JVCEAは2018年10月24日に金融庁から認定資金決済事業者協会として認められた組織であり、日本国内における仮想通貨の統計データは信頼性の高いものといえます。
今回の統計では、日本国内における仮想通貨保有数や取引数量なども記載されており、日本の仮想通貨取引の現状を見て取ることができます。
統計データの内容について詳しくご説明しましょう。
JVCEAが会員業者の統計データを発表
金融庁から認定資金決済事業者協会として認可されているJVCEAが、2019年10月11日、加盟している仮想通貨取引業者の取引状況などをまとめた最新の統計データを発表しました。
統計データは2018年12月から2019年8月までのデータを基にまとめられており、現物取引高や証拠金取引高、仮想通貨の種類別取引数量などが記載されています。
このデータによって、2018年の年末から直近までの日本における仮想通貨取引状況を把握することができます。
ビットコインの保有状況
下の表は、期間内のビットコイン保有状況を示したものです。
この表では保有している数量と金額が記載されていますが、金額はその時の評価額×数量で計算されており、売りと買いにおいてもその数量と金額は全て合算されています。
この表とビットコイン価格を照らし合わせてみると、色々なことが見えてきます。
画像引用:JVCEA 仮想通貨取引月次データ
画像引用:tradingview BTCJPY
特に2019年3月の数量を見ると、現物取引ではそれほど変化はないものの、証拠金取引において売りと買いが最も多くなっています。
それに伴い、合計金額もこの表の中で2番目に多くなっています。
しかしtradingview BTCJPYのチャートを見ると、2019年3月のビットコイン価格は大きく下落しています。
これらのことから分かるのは、価格が落ち込んだ際、現物取引の人はそのまま保有していますが、証拠金取引の場合にはピンチだと感じて売る人とチャンスだと感じて買う人の両方が存在するということです。
アルトコインの保有状況
下の表は、期間内のアルトコイン保有状況を示したものです。
ビットコインと比較すると、数量的に特に大きな変化はありませんが、モナコインが特に増えてきていることが目立っています。
画像引用:JVCEA 仮想通貨取引月次データ
取引高状況
ではこの期間内に取引された仮想通貨はどのぐらいのボリュームだったのでしょうか。
下の表は、期間内の取引高に関する一覧部分だけを抜粋したものです。
画像引用:JVCEA 仮想通貨取引月次データ
これを見ると現物取引では5月、6月が多く取引されていますが、証拠金取引では4月から取引数量が増えています。
つまり現物取引と証拠金取引とは取引タイミングに若干のズレがあり、証拠金取引の方が価格が高騰する少し前から取引を始めていることが分かります。
また現物取引は8月に取引数量が激減していますが、証拠金取引も落ち込んではいるものの、現物取引ほどの落ち込みではないことが分かります。
これはおそらく8月は値動きが大きかったこともあり、現物取引は様子見の傾向が強く、証拠金取引では短期的な売り買いがあったものと推察されます。
口座数状況
下の表は全ての口座数と、そのうちの証拠金取引の口座数、そしてそれぞれ稼働している口座数をあらわしたものです。
画像引用:JVCEA 仮想通貨取引月次データ
設定口座数では2019年1月に証拠金取引口座数も全体口座数も減っています。
この時は、ちょうどビットコインの価格が低迷していた時期にあたります。
しかしその後は証拠金取引口座数も全体口座数も順調に増えています。
稼働口座数では、2019年2月に証拠金取引稼働口座数、全体稼働口座数ともに減少しています。
この時期も設定口座数同様、ビットコイン価格低迷期にあたります。
その後、全体稼働口座数は順調に増えていますが、証拠金取引の稼働口座のみ2019年7月に稼働が減っています。
この時期はビットコイン価格が高値から落ち始めた時期にあたり、過去の大幅な下落を意識したものではないかと考えられます。
ちなみに全体設定口座数のうちの全体稼働口座数の比率、つまり稼働口座率を計算すると、以下のようになります。
2019年8月 63.2%
2019年7月 62.7%
2019年6月 63.2%
2019年5月 63.3%
2019年4月 63.2%
2019年3月 62.8%
2019年2月 60.9%
2019年1月 63.1%
2018年12月 55.7%
全体設定口座の稼働率は2019年に入ってから大きく増えたことが分かります。
また2月に若干落ち込んだものの、その後はほぼ横ばいの稼働率といえるでしょう。
2019年2月はやはりビットコイン価格が大きく下落している時期と重なっています。
証拠金取引の稼働口座率は以下のようになります。
2019年8月 25.3%
2019年7月 24.7%
2019年6月 25.2%
2019年5月 25.3%
2019年4月 25.3%
2019年3月 25.0%
2019年2月 22.1%
2019年1月 25.1%
2018年12月 15.6%
証拠金取引の稼働口座率は、全体設定口座の稼働率と比較すると非常に低いことが分かります。
これはおそらく2017年にビットコイン価格が高騰した際に証拠金取引口座を設けたものの、それ以降に取引をしていないことが考えられます。
また全体設定口座の稼働率同様に、2019年に入ってから10%近く稼働率が上がり、同年2月にやや下降していることが分かります。
保有仮想通貨コイン数
下の表はJVCEAに加盟する仮想通貨取引業者を利用する人の預託金残高を示した表です。
この中で注目していただきたいのは、仮想通貨保有数量(コイン数)の変化です。
画像引用:JVCEA 仮想通貨取引月次データ
仮想通貨保有数量は2019年5月に大きく減っていますが、それ以外は順調に保有数量を増やし続けています。
大きく減ったタイミングのビットコイン価格をみると、2019年初めから低迷していたのが5月になってから上昇に転じていることが分かります。
このことから考えられるのは、しばらく続いた価格低迷から抜け出し、ある程度の利益が見込めるまで上昇したこと。
そしてまた下落する前に利益を確定させたく、ビットコインを手放したと考えるのが妥当ではないでしょうか。
まとめ
JVCEAが発表した全加盟業者の統計データについてご説明しました。
このデータの動きを見ていると、アルトコインの動きも見逃すことはできませんが、やはりビットコインの値動きが利用者の動きに直結していることが分かります。
特に価格が大きく下落すると手放す人や今後の上昇を見込んで買い求める人の両方が存在し、しばらく低迷していた価格が上昇すると利益確定のために手放す人が増えることなどはその典型といえます。
また今回の統計データは、JVCEAに加盟している日本国内の仮想通貨取引業者のデータだけをまとめたものであり、日本に住み、Bybitなどの海外の仮想通貨FX業者と取引したデータは含まれていません。
海外業者の取引データを含めると、保有仮想通貨数量(コイン数)や取引高などはどうなるのか、非常に興味があるところですが、実際にはオープンにされることはないでしょう。
ただ間違いなくいえることは、多少の上下動はあるものの、日本においても仮想通貨を保有する人は確実に増えてきているということです。
それが日本の仮想通貨のあり方や取引をどう変えていくのか、今後の動きに期待しましょう。