食事のカード利用で仮想通貨還元実験が開始
- 仮想通貨関連
- 2019.07.27.
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- 食事のカード利用で仮想通貨還元実験が開始
画像引用:Synchrolife
日本は現金への信頼度が高く、海外と比較するとクレジットカードの使用率が低い国ですが、もしAIやSNSでの評価が高いお店で食事をした際、クレジットカード決済をすれば仮想通貨で還元されるサービスがあれば、利用したいと思われませんか。
実はこのようなサービスの実験が2019年7月25日から開始されています。
もちろん実験的に実施されているので、どのお店で食事してカード決済しても、このサービスの適用となるわけではありませんが、興味があるのではないでしょうか。
このニュースに関して詳しくご説明しましょう。
シンクロライフと三菱UFJニコスが実験
グルメSNSのシンクロライフが三菱UFJニコスとともに、クレジットカード決済のデータをそれぞれのマーケティングに活用するための実験をおこなうことを発表しました。
シンクロライフはユーザーとAIが作っていく、レストランの格付けをするアプリです。
シンクロライフの利用者が、シンクロライフに加盟しているレストランで食事をし、その決済を三菱UFJニコス発行のクレジットカードで決済すると、それだけで自動的に決済額の1~5%が仮想通貨「シンクロコイン・SYC」で還元されるというものです。
これまで実施されていた仮想通貨還元方式
シンクロライフでは既に仮想通貨「シンクロコイン」での還元は実施されていましたが、それは支払い時に店舗がQRコードを提供し、利用者はそれを読み取らなければシンクロライフのアプリにあるウォレットに還元されませんでした。
つまり利用者にとっては支払いを済ませるだけでなく、QRコードの読み取りも必要だったわけです。
しかし今回の実験では、シンクロライフ加盟店で食事をした際、支払いに三菱UFJニコス発行のクレジットカードを利用するだけで還元されるようになっています。
QRコードを読み取る手間がなくなりました。
シンクロコインについて
シンクロコインは香港法人のSynchroLife Limitedが発行した仮想通貨トークンです。
現在は海外の仮想通貨取引所であるLATOKENで上場されており、イーサリアム建てで取引することができます。
もちろん海外の取引所であれば、ビットコインや法定通貨と交換することも可能です。
画像引用:LATOKEN
今回の実験で利用者に還元される仮想通貨「シンクロコイン・SYC」は、シンクロライフが取引所で買戻しをして還元しており、その原資はシンクロライフに加盟している店舗による広告費です。
広告費が増える、つまり加盟店が増えるほど取引所からの買戻し量は増えていくため、アプリ利用者が加盟している店舗で食事をするほど「シンクロコイン・SYC」の価値も高まっていくことになります。
グルメSNSシンクロライフについて
画像引用:GINKAN
シンクロライフは株式会社GINKANが運営しているトークンエコノミー型グルメSNSアプリです。
アプリにはブロックチェーン技術が使用され、AIも搭載されています。
それによって検索が大変なレストラン探しが、利用者の嗜好に合った飲食店を5秒で表示できるようになっています。
利用できる言語は日本語と英語、韓国語、中国語の4か国語で、155か国において展開されています。
当初は飲食店の口コミを投稿するアプリとして運営され、投稿数も19万件以上投稿されていましたが、2018年8月からレビュアーや利用者から投稿された口コミの信頼スコアに対して「シンクロコイン」を還元する形をとっていました。
シンクロライフにレストランが加盟するメリット
シンクロライフに加盟するレストランは、加盟する際の初期費用や月額などは不要になっています。
ではどうやってシンクロライフは加盟レストランから広告費を受け取っているのでしょうか。
実はシンクロライフアプリを利用して飲食された場合のみ、加盟レストランは飲食代の5%を支払う形になっています。
つまりアプリを使って来店してもらった成功報酬として支払うわけです。
その費用がシンクロライフでの広告費となります。
またシンクロライフを利用して来店したことのある顧客に対しては、シンクロライフでリピートにつなぐためのCRM施策が展開されるようになっています。
レストランからすると、初期費用や月々の固定費が掛からずに利用者を誘引してくれ、なおかつ飲食代金という確実な売り上げの5%のみで済むのですから、活用したくなるはずです。
三菱UFJニコスにとっての提携のメリットとは
ではシンクロライフと提携する三菱UFJニコスにとって、今回の提携にはどんなメリットがあるのでしょうか。
最も大きなメリットは、自社のクレジットカード加盟店における利用額を増やせることであり、そのカードの会員に対する新たなサービスを提供できるという点です。
またシンクロライフの広告費が完全に成功報酬型のものであるため、クレジットカード加盟店に対してシンクロライフ導入を紹介したとしても、リスクがないために受け入れられやすいことが挙げられます。
クレジットカードの加盟店にとってもデメリットは非常に少なく、むしろ仮想通貨の付与を利用者が喜んでくれ、アプリでの広告露出量も増えることになります。
これによって来店客数の増大につながる可能性は非常に大きいといえます。
もちろん、三菱UFJニコス側は飲食店のクレジットカード加盟店数を拡大することにもつながっていくわけです。
シンクロライフにとってのメリットとは
シンクロライフが三菱UFJニコスと提携するメリットとはどのようなものでしょうか。
三菱UFJニコスには3,000万人を超える会員がいると公表されています。
つまりこれらの人々に対して、一気にシンクロライフアプリを認知してもらうことができるわけです。
認知度が高まっていくと、もちろんアプリのダウンロード数も増え、利用者も増えるでしょう。
そうなると加盟しているレストランからの広告費も増えていくことになります。
それがシンクロライフに加盟するレストラン数を増やすことにもつながっていくことが考えられます。
今後の課題はシンクロコイン・SYCの使い道
今回発表されたこの仕組みは、シンクロライフだけでなく加盟レストラン、そして提携する三菱UFJニコスとカード加盟店、またシンクロライフのユーザーとクレジットカード保有者など、関わる全て企業や人々にとってデメリットらしいものは見当たりません。
それだけ魅力的なプロジェクトだといえます。
ただし、今後の課題も残されています。
それがレストラン使用者に付与される仮想通貨シンクロコイン・SYCの使い道です。
前述の通り、シンクロコイン・SYCは海外仮想通貨取引所であるLATOKENで上場されており、ビットコインや法定通貨と交換することも可能です。
しかしレストラン使用者の全てが仮想通貨取引をする人ばかりではないでしょう。
またシンクロライフを使う人が増えれば、シンクロコイン・SYCの価値も高まっていくとしても、実際問題、どう使えば良いのかが見えてきません。
シンクロライフ側は、シンクロコイン・SYCの価値がおよそ1年で3倍近くになっていることを主張していますが、それをどう使えるのかが明確にならないとお得感を感じにくくなってしまう可能性もあります。
今後、もしシンクロコイン・SYCが大きく価値を高めたとしたら、その時にはシンクロライフと三菱UFJニコスには予想以上の大きなメリットが創出されるでしょう。
シンクロコイン・SYCの行く末、すなわち日本における仮想通貨の行く末が今後どうなっていくのかによって大きく左右されるのではないでしょうか。