ビットコインがおよそ半年ぶりに6,500ドル突破
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- 2019.05.31.
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- ビットコインがおよそ半年ぶりに6,500ドル突破
2019年5月11日、ビットコインは2018年11月8日以来初めての6,500ドル突破を記録しました。
CoinMarketCapの情報によると、夕方の時点では1ビットコインの額は6,720ドル(約738,890円)となり、前日比は+6.09%となっています。
また、市場規模は2018年11月14日ぶりに2,000億ドル(約22兆円)まで回復しました。
今回の価格上昇は市場の強気な流れを反映しており、いくつかの要因が組み合わさって発生した事象と考えられています。
今回は、大きな4つの理由に焦点を当てて、大きな値動きの背景をご紹介します。
要因1:抵抗線のブレイク
今回の値動きでは、ビットコインはいくつかの重要とされる抵抗線をブレイクしたと、専門家は説明しています。
具体的には、4,000ドル・5,000ドルという金額を超えていき、そこで抵抗線も低い高値から高い安値へと反転しました。
ここで言う抵抗線とは「過去のビットコインの高値と高値を結んだ線」のことを指します。
一般的には、その水準まで買い進まれると売り圧力が強まり、価格が下落しやすいといわれています。
また抵抗線をブレイクすると、今まで抵抗線であったものが価格を下支えするサポートラインに転じることが多く見られます。
今回は心理的な節目として、4,000ドル・5,000ドルが一つの目安になっていたものと考えられ、それらを相場がブレイクしたことから強気の流れが続いているものと推察されます。
出典元:tradingview
2019年3月~4月の値動きを見てみると、4,000ドル近辺で小さく上下していた相場は一気に上昇し、5,000ドルを突破しています。
その後は冒頭でお伝えした通り、5月にとうとう6,000ドルを超えるという結果になりました。
ファンドストラット・アドバイザーズのチャートウォッチャーであるロバート・スライマー氏は、過去の例を基に以下のように説明しています。
『2015年の第2四半期と同様、ビットコインは6,000ドル近くの抵抗ラインに戻ってきています。
しかし、反転したとしても驚くことではありません。
この段階でショート(空売り)を考えたり、ビットコインのリスク管理について微調整しようと試みたりするよりも、投資家の皆さんにはビットコインが【長期的な底値を形成しつつある点】に注目して欲しいと強く思っています。』
この発言を軸にして図を見てみると、2015年の第2四半期は、確かに一時的な変動こそあるものの底値は次第に上昇していて、長期的な目線で見ればプラスに転じています。
出典元:MarketWatch
また、図の中では2014~15年までの傾向と同様を再現し、ビットコインは6,000ドルにまで価値を戻したことも指摘されています。
2018年第4四半期から見ておよそ84%の過剰売却点から、6,000ドルにまで値を戻していることから、将来的に2015年の底値と同じ傾向にあるものと分析がなされています。
また、週間RSI(相対強度指数)においても、2015年と同様の傾向が見られ、最終的には2019年に6,500ドルの抵抗線を超えるものと予想されています。
この予想を裏付けるように、2019年4月23日には、50日移動平均線が200日移動平均線を上回るゴールデンクロスを観測しました。
出典元:tradingview
最終的にこの予想は現実のものとなり、2019年5月10日には6,531.35ドルを記録し、その後もチャートは上昇しました。
要因2:ビットコインの価値の再評価
ビットコインが登場した頃は、次世代の通貨として注目を集めていたものの、将来世界的に流通する通貨になると考えていた人はごくわずかでした。
しかし、ビットコインの価値が上昇するにつれて、価値の保存・価値交換の媒体としての用途を実現できる通貨として、機関投資家からも注目を集めつつあります。
スイスのプライベートバンク専業大手のジュリアス・ベアは、仮想通貨などのデジタル資産市場に参入することを決めており、仮想通貨銀行の設立を目指すセバクリプトとの提携を2019年2月下旬に発表しています。
また、仮想通貨などの取引や資産の保管・管理、投資ソリューションについても提供する計画も存在しているようです。
ジュリアス・ベアは「デジタル資産は投資家のポートフォリオを構成する上で、合法的かつ持続可能な資産クラスになると確信している」と回答しています。
デジタル資産が自社のポートフォリオにおいて役割を果たすことができると考える、仮想通貨に好意的な機関投資家がいることを、具体的に証明した事例の一つと言えるかもしれません。
日本でも仮想通貨による実需を満たすための動きが進んでおり、仮想通貨交換業者のディーカレットがSuicaへの仮想通貨チャージを検討しています。
ビットコインの使用法に合わせて、価格が上昇し始めている傾向があるものと考えてよいでしょう。
要因3:ビットコインに関する評判
やや過剰な表現ではあるものの、仮想通貨の歴史を振り返ってみると、ビットコインの周囲には悪い材料が少なくなかったように思われます。
ハッキング・価格操作・違法行為に対する仮想通貨の使用といったように、否定的な見出しのニュースが年に数回のペースで流れています。
しかし、仮想通貨取引所の評価もある程度固定化してきており、ペナルティを受けた取引所がある反面、適切な対応を行った結果、高評価を得る取引所も出てきました。
代表的な取引所の一つとして、世界最大手の一つであるBinanceがあります。
2019年5月8日に大規模なハッキングを受け、7,000BTCを盗まれたものの、自前で用意した基金によって被害資産の補てんが行われています。
その後、セキュリティ面でのアップデートを早急に完了させるなど、迅速かつ適切な対応も投資家たちを満足させるものであったことから、この事件は尾を引くことなく、ニュース自体は今後のビットコインの不安材料として無視された格好となりました。
その反面、BitfinexとTetherがニューヨーク州検事総長(NYAG)に避難されているように、隠蔽の事実を隠そうとするような状況は厳しく弾圧されています。
これらを総合的に見てみると、ビットコインを含めた仮想通貨に関する評判は以前よりは好転してきており、上り調子にあると言えるのかもしれません。
要因4:法定通貨以外の資産
仮想通貨の相場は、基本的に各国の主要法定通貨とのペアで取引されます。
しかし、長期保有を目的とした安全資産である「金」を、仮想通貨取引に用いようという動きも見え始めています。
アメリカの仮想通貨投資会社「デジタル・カレンシー・グループ」の子会社である、グレイスケール・インベストメンツは、ビットコインが金に代わるものとして宣伝をする広告キャンペーンを開始しました。
金以上に安全・ボーダーレスである点を取り上げ、価値の保存対象として優秀であると宣伝しました。
広告自体が全ての仮想通貨関係者に好意的に受け止められたわけではなく、仮想通貨は金に代わるものではないという反論も少なからず存在していました。
世界の主要な金鉱山会社によって構成される非営利団体の「ワールドゴールドカウンシル」における、投資リサーチマネージャーのアダム・ペラキー氏は、そのボラティリティの高さが価値交換手段としての使用を妨げるため、戦略的投資にも悪影響があるものと反論しています。
もっとも、この反論も広告に対する反響であり、広告が投資家に金投資の方向性を「再検討」させてしまった可能性があります。
グレイスケール・ビットコイントラストの銘柄が、OTC(店頭取引)を行う「OTCCX」の株式の中で、2019年5月7日に最大の取引量を記録していたことがこれを示唆しています。
金に代わる投資対象としても、いよいよビットコインが注目されてきているようです。
おわりに
ビットコインの値動きは、複数の視点から読み解いていくと、上昇傾向にある点はほぼ間違いないと考えてよいでしょう。
プライベートバンクの参入や国内外での実需など、ビットコインを巡る状況は次第に良い方向へと向かっているものと思われます。
将来的に金の代わりとなるかどうかは不透明なものの、投資資産の中で主力の一つとなる可能性は、より高まりつつあると言えそうです。