アルトコインFXに取り組む際の注意点とは?
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- 2019.05.27.
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- アルトコインFXに取り組む際の注意点とは?
仮想通貨FXと聞けば、ほとんどの人はビットコインFXを想像するでしょう。
またビットコインFXに関する記事などは多く書かれているため、初めて取り組む人でもそれなりの知識を得ることができます。
しかしアルトコインFXをやろうと考えた時、このことに関する記事は少なく、あまり多くの情報を仕入れることはできません。
実際にアルトコインFXとビットコインFXとでは、特徴が異なります。
そのために、ビットコインFXと同じように考えてアルトコインFXに取り組むと、失敗してしまう可能性が高くなってしまいます。
そこでアルトコインFXに取り組む際の注意点やビットコインFXとの違い、メリット・デメリットなどについて解説したいと思います。
アルトコインFXについての理解を深め、実際の取引に活かしてみてください。
アルトコインFXとビットコインFXとの違い
アルトコインFXとビットコインFXは、次の2点で大きく異なります。
- ボラティリティが大きい
- レバレッジの最高倍率が低い
それぞれについて詳しくみてみましょう。
ボラティリティが大きい
アルトコインFXは、ビットコインFXよりもボラティリティが大きいことが特徴です。
つまり、一定期間あたりの値動きの幅がビットコインよりも大きいということです。
ボラティリティが大きいということは、投資を行う者にとって利益を狙うチャンスが多いことを意味していますが、一方で損失を生む確率も高いということでもあります。
レバレッジの最高倍率が低い
アルトコインFXは、ビットコインFXよりも最高レバレッジ倍率が低く設定されている取引所がほとんどです。
例えば、海外取引所BitMEXでは、ビットコインのレバレッジ倍率が100倍なのに対してイーサリアムは50倍、カルダノやビットコインキャッシュなどについては20倍の倍率となっています。
すなわち、ビットコインFXと同額のポジションをもとうとするときには、証拠金をより多く必要とすることになるわけです。
上記の例に挙げたBitMEXで具体例を示すと、100万円分のビットコインのポジションをもつときに必要な証拠金は1万円(100万÷100倍)です。
一方カルダノで100万円分のポジションを持つときに必要な証拠金は5万円分(100万÷20倍)となり、ビットコインよりも5倍の証拠金を必要とします。
アルトコインFXのメリット
アルトコインFXを利用するメリットは、大きなボラティリティを活かして利益を狙える点です。
ボラティリティの大きさがどれほど利益に結び付くかをご説明しましょう。
例えば5%の値動きと10%の値動きで比較すると、100万円ずつポジションを持っていたとき、5%動いた場合の利益は5万円ですが、10%動いた場合には10万円の利益となります。
ボラティリティが高いということは、この値動きが同じ時間内で起こると考えてください。
例えば1時間に5%動くか、10%動くかの違いということです。
1時間に10%動く方が、大きな利益に結び付くことは明らかであり、ボラティリティの大きさを上手く活かせば、多額の利益を挙げられるわけです。
これは大きなメリットといえるでしょう。
ただしこのことは、短時間に大きな損失が発生しやすいということでもあり、アルトコインFXの大きな特徴であることを理解しておきましょう。
アルトコインFXのデメリット
アルトコインFXのデメリットは、次の4つです。
- 短時間に大きな損失を生みやすい
- 流動性が低い
- スプレッドが開きやすい
- ロスカットされやすい
短時間に大きな損失を生みやすい
アルトコインFXのメリットの項でも説明したように、ボラティリティの大きさが短時間に大きな利益を生む可能性もありますが、ボラティリティの大きさは両刃の剣です。
短時間に大きな損失を生んでしまう可能性もあることを覚えておきましょう。
流動性が低い
アルトコインFXはビットコインFXに比べて流動性が低いです。
アルトコインFXを提供しているBitMEXの24時間取引高を、ビットコインと各アルトコインで比較しましょう。
仮想通貨 | 24時間取引高(BTC) |
---|---|
ビットコイン(BTC) | 499,411.18 |
イーサリアム(ETH) | 86,773.61 |
リップル(XRP) | 4,233.32 |
ビットコインキャッシュ(BCH) | 2,623.22 |
ライトコイン(LTC) | 2,077.92 |
カルダノ(ADA) | 1,979.14 |
イオス(EOS) | 1,684.77 |
トロン(TRX) | 1,306.29 |
※2019年5月23日19時頃にBitMEXにて確認したデータ
ご覧の通り、ビットコインFXは約50万BTCの取引高があるのに対し、イーサリアムは約8万7,000BTC、リップルは約4,200BTCとなっています。
それぞれ、ビットコインの24時間取引高の17%と0.8%程度です。
このことから分かるように、アルトコインFXはビットコインFXに比べて「取引は活発でない」といえます。
流動性が低いと必然的に、少しの売り買いがあっただけで価格が大きく変動してしまいます。
つまり安定せず、不安定な動きになるということであり、これは予測できないものになってしまいます。
予測できない値動きのものを、FX取引で利益を出そうとすることは困難になります。
アルトコインFXを行うのであれば、アルトコインの流動性が少しでも高い取引所を選ぶようする方が良いでしょう。
スプレッドが開きやすい
アルトコインFXの2つ目のデメリットは、ビットコインFXに比べてスプレッド(※1)が開きやすい点です。
そのため、ポジションを建てたときの含み損がビットコインFXよりも大きく、利用者にとっては不利となるでしょう。
ここでは、海外取引所BitMEXの仮想通貨ごとのスプレッド率を比較します。
仮想通貨 | スプレッド率 |
---|---|
ビットコイン(BTC) | 0.003% |
イーサリアム(ETH) | 0.01% |
ビットコインキャッシュ(BCH) | 0.20% |
トロン(TRX) | 0.29% |
ライトコイン(LTC) | 0.78% |
リップル(XRP) | 0.80% |
イオス(EOS) | 1.08% |
※2019年5月23日19時頃のBitMEXのデータから算出
見てお分かりいただけるとおり、ビットコインのスプレッド率は0.003%とごくわずかですが、アルトコインのスプレッドはビットコインの3倍~360倍となっており、差があることがわかります。
アルトコインFXを行うときは、ビットコインFXよりも不利な条件でスタートしなければならないことを把握しておきましょう。
なお、スプレッド率は、取引を行う時期や取引所によって変わります。
できるだけスプレッドの狭い取引所を利用する方が有利といえます。
(※1)買い注文と売り注文のベストレートの差額のこと。取引所に支払う実質的な手数料となっており、スプレッドが狭いほど利益を上げやすく利用者に有利とされている。
ロスカットされやすい
アルトコインFXは、ビットコインFXに比べてボラティリティが非常に大きいです。
そのため、ロスカットされやすいケースが多いことを留意しておきましょう。
例えば、レバレッジ倍率20倍、証拠金10万円で100万円分のポジションを建てたとしましょう。
このときの証拠金維持率は200%です(※2)。
(※2)計算式:10万円/(100万円÷20倍)
ポジションを建てたあと、予想とは逆にビットコインが5%、アルトコインが10%の価格変動したときのそれぞれの証拠金維持率はどうなるでしょうか?
5%価格変動したときのビットコインの証拠金維持率は100%(※3)ですが、10%価格変動したアルトコインの証拠金維持率は0%(※4)となってしまいます。
(※3)計算式:(10万-100万×5%)/(100万÷20倍)
(※4)計算式:(10万-100万×10%)/(100万÷20倍)
この証拠金維持率0%は、多くの取引所のロスカット水準を下回っていますので、証拠金維持率が0%に達する以前にロスカットが発動しているはずです。
このように、アルトコインFXは価格変動が大きいため、ポジションの含み損がビットコインよりも膨らみやすく、ロスカットされやすくなります。
アルトコインFXの注意点
アルトコインFXで注意すべきなのは、「証拠金維持率を高く保つ」点です。
では、具体的にどのようにすればよいのでしょうか?
アルトコインFX取引では以下の2つの戦略が考えられます。
- 証拠金を多めに入れる
- 大きなポジションを持たない
証拠金を多めに入れる
1つ目の戦略は、証拠金を多めに入れておくということです。
例えば、レバレッジ倍率20倍で100万円のポジションを持ちたいとき、本来の必要証拠金は5万円(100万÷20倍)ですが、それ以上の必要証拠金を入金しておけば証拠金維持率は高く保たれます。
例えば、必要証拠金の3倍以上入れておけば安心できるでしょう。
必要証拠金 | 証拠金維持率 |
---|---|
3倍(15万円) | 300% |
6倍(30万円) | 600% |
8倍(40万円) | 800% |
アルトコインの価格変動をある程度飲み込めるよう、証拠金維持率を300%以上に保つように心がけると、ロスカットを防げる可能性が高まります。
大きなポジションを持たない
2つ目は、大きなポジションを持たないということです。
例えば、証拠金10万円でレバレッジ倍率を20倍にし、100万円と50万円のポジションを持った場合を比べてみましょう。
100万円のポジションを持ったときの証拠金維持率は、200%(※5)ですが、50万円のポジションを持ったときは1000%(※6)です。
(※5)計算式:10万/(100万÷20倍)
(※6)計算式:50万/(100万÷20倍)
ポジションの金額が小さいほど最初の証拠金維持率が大きくなるため、ロスカットされるリスクが少なくなります。
もし金額の大きなポジションを持ちたいときは、その分証拠金を多く入金して、証拠金維持率を高く保つようにしましょう。
まとめ
アルトコインFXに取り組む際は、ロスカットを防ぐために証拠金維持率を高く保つように気をつけることが大切です。
ビットコインFXよりもボラティリティが高いアルトコインは、短期間で大きな利益を狙えるため、非常に魅力的な取引ではあるものの、損失を生みやすく、ロスカットのリスクも高いことを意味しますので、それに応じた備えが必要です。
「証拠金を多めに入金する」・「大きなポジションをもたない」ことを心がけ、アルトコインFXを上手に使いこなして下さい。