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JR東日本3社と日本マイクロソフトとでブロックチェーン活用実験を実施

  • 仮想通貨関連
  • 2019.05.14.

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日本マイクロソフトとJR東日本3社がブロックチェーン活用実験を実施したことがわかりました。

 

このシステムが確立すれば、日本の交通網システムに大変革が起こり、格段に便利に利用できることは間違いないでしょう。

 

本記事では、このブロックチェーン活用実験の詳細と目的、ブロックチェーンを用いる理由などについて解説します。

 

日本マイクロソフトがJR3社とブロックチェーン活用実験を実施

2019年4月25日、日本マイクロソフトは、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社 JR 東日本情報システム、みずほ情報総研株式会社とブロックチェーンの実証実験を行ったことを発表しました。

 

この実験は、Hackfest(ハックフェスト)と呼ばれる、マイクロソフトが実施しているトレーニングイベントにおいて、2019年1月21日から2月8日までの19日間に行われました。

 

実証実験では、MaaS(Mobility as a Service)の基盤となるシステムが構築されています。

MaaSとは、出発地から目的地まで、鉄道やバス、タクシーなどの多様な交通機関をシームレスにつなぐ仕組みです。

複数の事業者の交通機関の横断的な検索と予約が行え、さらにチケットの発行や支払いまでを完結できるものです。

 

従来であれば、複数の事業者の横断的な経路検索は行えますが、チケットの発行や予約、支払いは事業者ごとに行う必要がありました。

これを、ひとつのアプリケーションで、移動手段の検索から支払いまでを完結するのがMaaSです。

 

このMaaSが実現することで、利用者の利便性がさらに高まるとされています。

この社会インフラを構築するには、事業者の垣根を超えてデータを利活用し、管理する高い技術が求められます。

 

日本マイクロソフトとJR東日本3社は、それぞれが持っている技術やノウハウ、サービスを集結し、社会インフラ基盤に対する有用性を確認しました。

このMaaSを実現するためのシステムのテスト構築を検証し、すべての人に安全で持続可能なスマートシティの実現に活かしていきたいとしています。

 

実験の内容

今回の日本マイクロソフトと3社の実証実験で作成したシステムは、次の性質をもっています。

 

  • サブスクリプション(乗り放題)モデル
  • 一度に検索、予約、支払いを行える
  • 移動に関わる周辺サービスも利用できる

 

インフラにBlockchain活用

画像引用:スマートシティ実現に向けた新たな社会インフラ構築を目的に、Blockchain を活用した実験を実施-Microsort

 

例えばA駅からB駅まで電車で移動し、B駅からはバスを利用するとしましょう。

 

このシステムでは、アプリ内でA駅からB駅までのチケット、それにバスのチケットまでもが購入でき、支払いまで完結できます。

 

バスは時刻や停留所が調べにくかったりするため、なかなか使うことが難しい方もいらっしゃるでしょうが、目的地まで一括でアプリが手配してくれると、格段に使いやすくなります。

また、地方の路線バスやタクシーは経営が苦しいところが多いとされていますが、このMaaSが実現することで、今よりも売り上げが確保できるようになる可能性もあります。

 

そして、今回の日本マイクロソフト他3社が構築したテストシステムでは、他社が容易に参画できるものにしたとしています。

つまり、新規に参入するために特殊な機材を購入したり、アプリケーションを構築したりする必要がないということです。

 

初期の導入コストを低く抑えることができるので、大規模な交通機関でなくても参加でき、どんな事業者でもシームレスにつながる仕組みを実現できます。

 

プライバシーは保護される

様々な交通機関がシームレスにつながり、アクセスできるデータベースをもつとき、課題となるのが個人情報の保護です。

旅行者の交通機関の利用履歴はすべてデータベースに収められますが、それが特定の個人と結びつくと、プライバシーが侵害されてしまいます。

 

そこで今回の実証実験では、特定の個人の行動履歴が予測できないよう、ハッシュ化された状態で保存されています。

もし万が一データが漏洩したとしても、誰がどの交通機関を利用し、どこへ行ったのかは追跡できないようになっています。

 

つまり利用者のプライバシーが保護される、秘匿性の高いシステムとして構築されているわけです。

 

なぜブロックチェーンなのか

この実証実験に使われたのは、ブロックチェーン技術でした。

なぜMaaSのテストシステムの構築に、従来のサーバー・クライアント型ではない、ブロックチェーン技術が使われたのでしょうか?

 

それは、「多くの企業が活用でき、かつ格納されたデータの信頼性が高い仕組みだから」です。

ブロックチェーンがMaaSの課題を解決するための、どんな特性を持っているのか、ご説明しましょう。

 

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは、複数のコンピューターにデータベースを保管し、更新していく分散型台帳技術のことをいいます。

仮想通貨に使われている技術として有名です。

 

ネットワーク上の取引履歴が一定時間ごとに取引の束(ブロック)にまとまり、時系列につながっていくため、ブロックチェーン(ブロックの鎖)という名前がつきました。

 

ブロックチェーンを支える複数の参加者が監視・検証する仕組みがあるため、改ざん耐性が高いことが特徴です。

 

MaaSにブロックチェーンが用いられる理由

MaaSを実現するには、複数の交通事業者が業種を超えてシームレスにつながる仕組みを構築しなければなりません。

しかし一般的なシステムをさまざまな業者が編集できるよう開放してしまうと、データベースが改ざんされてしまう可能性が高くなり、データの信頼性が失われていまいます。

 

一方、ブロックチェーン技術では、複数の参加者がデータの信頼性を担保しながら更新していくことが可能です。

更新されたデータが改ざんされていないどうかを逐一検証する仕組みがあるため、改ざんされる可能性が極めて低くなります。

 

ブロックチェーンは、複数の事業者が編集できる仕組みでありながら、データの信頼性が高いため、今回の目的に最適だったわけです。

 

MaaSでどのように変わるか

MaaSが実現すると、社会にどのようなインパクトを与えるのでしょうか。

 

利用者にとっては、交通機関を複合的に使う際の利便性が上がるというメリットがあります。

公共交通機関が使いやすくなるだけでなく、目的地までのルートが最適化されるために、公共交通機関を利用する人が増える可能性もあります。

 

またこのシステムでは、他社が参加しやすいものになっていることから、将来的に交通機関だけでなく、駅に付随した商業施設などとの連携も考えられます。

加えて、移動データが一元化されることで、そのビッグデータを活用した新たなビジネスが生まれるかもしれません。

 

また行政にとってもメリットは大きいです。

MaaSが整備されることで、駅から遠い場所であっても交通機関さえあれば移動しやすく、高齢者にとっても住みやすい街になるはずです。

 

世界の事例

MaaSの先進国はフィンランドです。

フィンランドのベンチャー企業MaaS Global社が提供するアプリ「Whim」では、複数の事

業者が提供する交通機関を統合し、都度決済や月額定額プランで支払えます。

 

当初は電車・地下鉄・バス等の公共交通機関とレンタカー・タクシーだけでしたが、現在はシェアサイクルとカーシェアリングも加わっています。

固定料金制の導入でユーザー数は拡大し、この「Whim」の事業モデルはヨーロッパを中心に世界各都市へ広がりつつあります。

 

そして2019年4月には、三井不動産がこのMaaS Global社と戦略的パートナーシップを締結しました。

三井不動産は、このパートナーシップを通じて日本でMaaS事業を立ち上げるとしています。

 

マイクロソフトとJR3社の狙い

マイクロソフトとJR3社の狙いは、MaaSのシステムインフラを最初に開発することで、第一次開発者としてのメリットを享受することだと思われます。

最初にサービスを提供することでシェアを獲得できる可能性が高くなるからです。

三井不動産を始め、さまざまな事業者がMaaS事業に参入してきていますので、今後開発の競争が激しくなってくのかもしれません。

 

MaaSが導入されることで、公共交通機関だけでなく、街づくりにも大きな影響を及ぼすでしょう。

今後のMaaS事業の動向に注目しましょう。

 

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