Bybit(バイビット)で確定申告に必要な書類と税金について
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- 2020.10.10.
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- Bybit(バイビット)で確定申告に必要な書類と税金について
海外の仮想通貨デリバティブ取引所Bybitで取引をおこない利益を得られた場合、その利益額によっては所得税の確定申告をしなければなりません。
どれぐらいの利益を得てどのような取引をした場合に確定申告が必要になってくるのか、また、申告が必要な際の所得額の求め方については、本サイトの「Bybit(バイビット)で確定申告が必要なケースとは?」に詳しく記載していますので、そちらをご覧ください。
ここでは、確定申告の際にBybitで必要な書類とその取得方法、そしてどれぐらい税金がかかるのかについて解説します。
目次
Bybitで確定申告に必要な書類
確定申告が必要な基準(年間20万円以上の雑所得)に該当しているかどうかは、「Bybit(バイビット)で確定申告が必要なケースとは?」でご説明しているとおり、まず仮想通貨取引の所得額を算出する必要があります。
Bybitの仮想通貨取引で所得が発生するタイミングは以下の2つです。
- 証拠金取引(仮想通貨FX)でポジションを決済したとき
- 仮想通貨を他の仮想通貨と交換したとき
上記それぞれに所得額を求めるためBybitから以下の書類を入手しましょう。
- 実現損益レポート
- 出金履歴
- 資産履歴
仮想通貨FXの所得を算出するには、ポジションの損益およびかかった手数料の一覧があれば、計算できます。
「実現損益レポート」には、取引手数料や資金調達手数料などを差し引いた、決済注文の約定による確定した利益が記載されています。
このレポートを見ると、ポジションごとにどれくらいの利益が出たかどうかがひと目でわかります。
「出金履歴」には、出金した際のトランザクション手数料が記載されています。
トランザクション手数料は、必要経費として利益から差し引きましょう。
「資産履歴」には通貨を両替した履歴が記載されていますので、仮想通貨を他の仮想通貨に交換したケースの所得を計算するときに利用します。
Bybitの必要書類の入手方法
実現損益レポートを確認する手順
実現損益レポートを表示するには、Bybitにログイン後、右上の「アカウント名」>「個人資産(またはマイアセット)」と進み、「実現損益」をクリックします。
表示させたい取引のカテゴリ(インバース型契約またはUSDT契約)を選択し、契約(BTCUSD等)を選びます。
引用:Bybit
実現損益欄に記載されている数値が、決済注文で確定した損益(単位:BTC)です。
損益を米ドルに直すときは「実現損益」×「決済価格」という計算式で算出できます。
円貨にするときは、米ドルで算出された金額を、為替をもとに計算し直すとよいでしょう。
出金履歴を確認する手順
出金履歴を確認するには、Bybitにログイン後、右上のアカウント名から「個人資産(またはマイアセット)」と進み、「出金履歴」をクリックしましょう。
出典:Bybit
トランザクション手数料の欄が送金で支払った手数料の数値で、単位は送付した仮想通貨の単位(例 ビットコインであればBTC)です。
日本円と仮想通貨のレートをもとに円貨に換算すると、出金手数料としていくら払ったのかが明確になります。
資産履歴を確認する手順
資産履歴を確認するには、Bybitにログイン後、右上の「アカウント名」から「個人資産(またはマイアセット)」と進み、「資産履歴」をクリックします。
出典:Bybit
画面中央にある「種別」という項目をクリックし「両替金額」を選択すると、両替時に「支払った通貨」と数量が、「種別」を「受取金額」に変更すると、両替で「入手した通貨」の数量が表示されます。
所得額を求めるには、日本円とのレートを用いて「入手した通貨」の両替時の価格を算出し、「両替で支払った通貨」の取得価格を差し引きます。
エクセル形式のレポートはサポートに依頼する必要あり
1年間の仮想通貨取引の所得を計算するためには、実現損益とトランザクション手数料、資産履歴の1年間の記録が必要です。
さらに、データを合計したりドルや円に換算したりなど計算する必要があります。
しかし、先に説明した各種履歴は、2020年10月現在、エクセルやCSV形式でダウンロードすることができません。
よって1年間の所得を計算するためには、以下2つの方法しかありません。
- 1.画面をコピーしてエクセルに貼り付ける
- 2.サポートデスクにエクセル形式のレポートを依頼する
取引量が多い方であれば、1のエクセルにコピーするやり方は現実的ではないでしょう。
したがって、2のサポートデスクに依頼する方法がベターといえます。
Bybitのサポートsupport @ bybit.com宛に以下の内容を含んだメールを送付することで、エクセル形式のレポートを送付してくれます。
- 契約名(例 BTCUSD)
- データの日付範囲(例 2020年1月1日~2020年12月31日)
- データ名(例 実現損益と出金履歴)
なお、必要であれば注文履歴や取引履歴、保険履歴なども一緒に依頼できます。
税金はどれぐらいかかるのか?
「仮想通貨取引で○○円利益がでたから税金は△△円」とは一概に言えません。
なぜなら、所得税は「仮想通貨取引を含めた1年間の所得の合計金額」から税額を算出するためです。
したがって、仮想通貨取引で得た利益による税金がどれぐらいになるのかは、個々の年間総所得額と控除される額によってかなり違いが出てきます。
具体例を用いてご説明していきましょう。
所得税額を求める方法
まず、所得税額は以下の速算表から求められます。
●所得税の速算表
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
引用:国税庁
上記表中の「課税される所得金額」とは、年間の総所得額から保険料などの控除される額を減算した金額です。
※表中に記載の控除額とは、求めた税額から控除される額のことです。
所得税額は、以下の計算式で求められます。
- 「課税される所得金額」×「税率」-「控除額」
例えば、「課税される所得金額」が300万円の時には、税率が10%、控除額が97,500円ですので所得税額は以下のとおりです。
- 3,000,000×0.1-97,500=202,500円
次に、具体例として、一般的な給与所得者が仮想通貨取引で利益を得た場合に所得税がどうなるのかを見ていきましょう。
給与所得者の場合の具体例
給与所得者が所得税額を求める手順としては、以下の3ステップになります。
- 1. 給与収入から「課税される所得」を求める
- 2. 1に年間の仮想通貨取引の所得を加える
- 3. 2で求めた額に該当する「所得税率」から税額を求める
上記手順に沿って、例えば年収約680万円の給与所得者の人が仮想通貨取引で100万円所得が増えたときに、税金がどれくらい増えるのかを一緒に計算してみましょう。
1. 給与収入から「課税される所得」を求める
給与収入の「課税される所得」の額は、勤務先から交付してもらえる源泉徴収票を用いれば簡単に計算できます。
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」(赤枠)から「所得控除の額の合計額」(青枠)を引いたものが「課税される所得」です。
この例でいうと、課税される所得金額は以下のとおりです。
- 4,951,500円-2,292,254円=2,659,000円(※1,000円未満切り捨て)
所得控除の額の合計額は、基礎控除に加え、生命保険や地震保険料控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除などの合計です。
2. 1の「課税される所得」に年間の仮想通貨取引の所得を加算する
1で求めた課税される所得金額に、年間の仮想通貨取引所得を加えましょう。
- 課税される所得2,659,000円+仮想通貨取引の所得1,000,000円=3,659,000円
これが年間の「課税される所得金額」です。
3.所得税額を計算する
2で求めた「課税される所得金額」3,659,000円の税率は20%、控除額は427,500円ですので所得税額は以下のとおりです。
- 3,659,000円×0.2-427,500円=304,300円
因みに、給与所得だけのとき(課税される所得金額2,659,000円/税率10%/控除額97,500円)は、以下の税額になります。
- 2,659,000円×0.1-97,500円=168,400円
仮想通貨取引の所得100万円があるときの所得税は304,300円、ないときは168,400円です。
所得税は135,900円増えることになります。
※実際には、住宅借入金等特別控除額などがあればその金額が所得税額から差し引かれ、差し引かれた金額に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税額と合算しますが、ここでは省略しています。
所得が増えることで住民税もアップする
所得税額が約14万円アップすることはお分かりいただけたと思いますが、増える税金は所得税だけではありません。
居住地の地方公共団体へ納める住民税も、所得が増加することで税額がアップします。
まとめ
Bybitを利用した取引で確定申告に必要な書類と入手方法、所得税額についてご説明しました。
Bybitで取引をしているが確定申告が必要かどうか分からない、その判断基準は?と思われている方は、以下の記事を参考に判断して下さい。
個人の場合、所得があった翌年の1月1日以降に所得の確定をすることになりますが、取引回数が多い方などは定期的にBybitからレポートを取得し、早めに申告の準備をされておいた方がいいでしょう。